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Bになった

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「外で魔剣は見せびらかすなよ?」

「「えー」」

二日掛けて地上に戻り、今はジョンの部屋で戦利品を検めている。魔剣を手に入れたダートとガットは残念そうだが、国に奪われちゃうと聞いて納得したようだ。
今回の報酬は、少年隊にはトカゲの魔石を各二つ、魔剣と魔槍、皮と爪と牙。ニットにはそれだけだと足りないので魔装で出た額当てをあげた。側頭部にS字に曲がった角が垂直に付いてる奴で、二つ返事で受け取ってたよ。
俺とジョンは魔石と換金した通常武器。ジョンの予備は売って、代わりに通常武器と交換してた。残る魔装は売れないと言うか買取不可なので俺が預かる事になった。
少年隊のランクはまだ護衛依頼をしてないのでCのままだが、護衛依頼を一度でもこなせば直ぐにBに上がると言う。俺はBになった。国からの依頼が来るみたいなので事務処理は今まで以上に欠かさないでくれ、だと。

「どう考えてもお前はA、いやそれ以上なんだが、飛び級は出来ないし、此処の王に会いたくないだろ?」

お裾分けしようとしたトカゲを丸々奪われて家族に殆ど食わせなかったケチな親父には頭を下げたくないな。

「息子娘にだけ会いたい。ハークが王になったら此処でAになるよ」

「ハーク?だれ?」「新しいおんな?」「よめにするの?」

「男じゃ!お前等より可愛い王子様だ!」

イゼッタとネーヴェの声真似がちょっと似ててイラッとした。

「可愛いハーク様でしたら街に戻られておりますよ?」

可愛くないハークも居るのか?聞くと長期の休みだそうな。手持ちにトカゲ肉もあるし、寄ってみようかな。ジョンに頼んで通行証を発行して貰うと、マッカランが羨ましそうな目をしてた。不埒な輩め。明日伺っても良いかと言う旨の手紙を書かせて持って行って貰おうとすると、もの凄い速度で書き上げて、ダッシュで部屋を出て行った。変態の行動力よ…。
色々処理を済ませたら、樵に帰って昼飯食って、風呂で兎を洗い清めて寝る。

 午後になり、女将がアイツをしゃぶりに来た…訳では無く、ハーク邸からの手紙が届いたそうで持って来てくれたのだ。お礼にペニスケを外して好きに使ってもらおう。手紙の内容は、明日だね!わかった!必ず来てねっ!今からでも全然構わないよ?カケル大好き!…って感じでした。今はイかなきゃいけない用事があるから明日行くよ。仕込みの時間まで女将の中へ、夜になったらティータの中でイキ捲った。


 朝食を食べて、少しゆっくりしたら三人を連れてハーク邸に遊びに行く。目出し帽の上から角を着けるガットは不審だが、通行証を見せると怪訝な顔で通してくれた。

「カァーーーケルゥーーーッ!」

門に着くなり駆け寄って来る美少年は鉄格子から手を伸ばして俺を捕まえに来る。そりゃメイドも走って来るよな…。

「ハーク様、はしたないですよ」

「カケルは別格なの!それでカケル、そちらの三方は…嫁?」

「男じゃ!俺の可愛い弟分だよ。歳も近いし仲良くしてやってくれ」

「分かった!早く開けてよ、お客様に寒い思いさせるの?」

ハークよ、お前が鉄格子に齧り付いてるから開けられないんだぜ?門を開けて中に入り、玄関前にはブルランさん率いるメイド隊が揃って俺達を迎えてくれた。お土産のトカゲ肉をどうぞ。メイド二人に一抱えずつ渡すと喜んで厨房に向かって行った。

「僕はこの家の主のハークだよ。君達は?」

「俺、ダート」「ガットだ」「ニット!」

目出し帽を外してピンとした耳が見えると、メイドが萌えた。朝起きて《洗浄》したからふわふわな上に、静電気でモコモコしてるよ。此奴等が女の子だったら俺もモフりたい。なでなでに留めとく。

「地下に部屋を作ったんだ!見に来て!」

「ほう、部屋を…」

「頑張りまして御座います」

「これは、期待せざるを得ませんね。拝見させて頂きましょう!」
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