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ドラゴンローリングスラッシャー

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 瞬歩を駆使して空を跳び、トカゲの羽を斬って行く。トカゲの体を足場にし、落下のエネルギーをも利用して空中で方向転換してる。そして十一匹のトカゲに攻撃の暇を与える事無く地面に落として行った。
羽や尻尾を斬られたトカゲ達は何としてもジョンを食ってやろうと空に向かってブレスを放つ。
だがそれはトカゲの思い込みで、既に餌は地面に降りて必殺の一撃を放つ準備を終えていた。

「んんっ!んーーーーっ!!」

言えよ技名。回転しながら巨大剣を振り回し、トカゲの中を瞬歩で駆け抜けると、残心のジョンの後ろでトカゲ共が煙に変わった。

「「「すげー!」」」

派手好きな少年隊に、ジョンの戦い方は刺さったようだ。俺も好きだけどな。息荒く肩を上下し戻って来たジョンを、三人が大手を振って出迎える。

「ぜぇ、ぜぇ、ひぃ…。どうじゃ!?」

「「「すげーじょーん!」」」

「さ、さんを、付けろ…」

「ドラゴンスラッシャーに回転を付与するとは、やるなジョン」

「「「ドラゴンスラッシャー!」」」

「やめろよ」

「これはドラゴンローリングスラッシャーだな」

「「「ドラゴンローリングスラッシャー!!」」」

「だからやめろって」

十一頭ものレッサードラゴンをドラゴンローリングスラッシャーによる同時単騎討伐を果たしたジョンは、緊張と疲労度でへたり込むのであった。

「お前等、ジョンが落としたドロップ拾って来い」

「「「はーーい」」」

さてと、回復回復。

「お疲れさん」

「恥ずかしいじゃねーか」

「彼奴等にもジョンくらい格好良くなってもらいたいからな」

「恥ずかしい事言うなよ」

「彼奴等には身体強化のスキルしか無いからさ、俺には教える事が無いんだよ」

「充分やれてるだろ?」

「まだまださ。見てろよ」

魔石やら魔装やらを拾ってる三人の足元が、正確には三人の居る周辺が俄に膨らみだし、地響きと共に巨大な何かが地面の爆発と共に姿を現した。

「な!?何だありゃ!」

「「「ぎゃっ!」」」

土煙の中から現れたそれは、小さな山程もある巨体を持つ亀のような姿で、奥の方はよく見えないが手足は多分六本。長い首の先に小さな頭を生やしていた。否、小さく見えるだけで龍の頭程はあるな。少年隊の三人は背中の甲羅の上にへばり付いている。

「ちょっと行って来るわ」

ふわりと浮いて三人の元へ。デカい奴はぎゃあぎゃあ言ってるが、龍語では無いからモンスターなのだろう。

「ドロップは拾えたか?」

「魔石落としたー」「俺は死守したぞ!」「牙と爪だけー」

「気配を探れば分かっただろ?危険がありそうなら行かないのも行動の一つだ」

「「「はぁーい」」」

三人を浮かせてジョンの元に飛ばしてやる。しかしこのデカブツはどうしてやろうか。少年隊やジョンでは殺れないだろうし、俺なら殺れるが殺ったとして、魔石をお土産にしても取り合いになるかも知れん。魔装とか貰っても正直要らない。人の世には過ぎたる獲物なのだ。
考えてる隙に、デカブツの顔が寄って来る。口を開いて食うつもりなのだろうか。食っても腹の足しにもならんと思うが、うんこにはなりたくないのでササッと避けて鼻っ面に飛び乗った。

「寝てるのを起こして悪かったな」

デカブツに《洗脳》を施すと、直ぐに大人しくなった。

「殺んねーのか?」

跳んで来たジョンが甲羅に乗って確認して来るが、此奴のドロップは人には余ると説明したらすんなり諦めた。トカゲ達ですら遠巻きで見てるような奴だ。人の手には負えんよな。

「オーバーフローしないように、間引きは念入りにしとけよ?」

「ああ。肝に銘じるよ」

襲って来る人は殺して良いと指示を出し、俺達はドロップを拾って帰る事にした。

「俺等にはあんなの無理だなー」「龍よりは弱いと思うけど」「おれたちよりはつよい!」

三人も納得したようだ。ジョンのドロップした魔剣を貰ったダート、新しい皮を手に入れたガット、デカい爪と牙を手に入れたニット。皆ホクホク顔で地上に戻った。
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