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野糞

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「兄貴、なーんもねーな」「雪しかねえ。初めて見たけど」「畑?」

モコモコ達もその光景に不思議に思ったのだろう。

「子供達よ、よく聞け?これはとある極悪冒険者が森林を破壊し尽くした跡だ。暖かくなるまで草も生えないぞ」

「宅地造成を只でやってやるとは素晴らしい冒険者だな」

「兄貴を怒らせたんだな?」「街が無事で良かったな?」「ダメ、絶対」

「ちぃ、可愛くないガキ共めぇ」

「何やらかしたかしんねーけど、兄貴は龍と戦って勝った事あんだぞ?」「優しいけど怖いんだぞ?」「おっぱい大っきいぞ?」

「ネーヴェ様じゃないよな?」

「戦ったのはリュネさまだぜ」「鱗が白くてピンクに見えるぜ」「角がいっぱいだぜ」

「カケル、お前がドラゴンキラーをドラゴンバスターって言い直させるのはそのドラゴンのせいか」

「手加減してもらって勝っただけだからな。一番ヤバい攻撃を受けたのはネーヴェだがな。辞めとけよ?」

「俺だって命は惜しいわ!」

「俺ネーヴェさまに一撃当てたぜ?」「三人がかりだけどね」「ほめてくれたぜ?」

「そ、そりゃあ凄いな…」

知らぬ間にそんなバトルしてたのか。まあ、遊びだろうけど。そんなこんなで着きました。ジョンが紙ペラを受付に出して、鑑札を受け取り中に入る。

「兄貴ぃ、隊列はどーすんだ?」

「前後上下、しっかり見て、罠と索敵をしてみろ。折角買った服に穴なんて開けるなよ?」

「じゃあ俺達が前で、兄貴達は後ろで見てくれ」

ダーニーガーがニーダーガーの並びで前に立ち、その後ろを俺とジョンが並んで歩く。《感知》で見てるが敢えて答えは言わず、ウロウロしながら階段を見付けて降りて行く。五階降りたら小休止。お湯と薄焼肉で体を温め、野糞して移動再開。オマル作るから出す前に言って欲しかった。尻を拭け。手も洗え。小便踏むな!
十階のエリアボスは俺達にとっては雑魚なのでダーニーガーに任せてみるが、やはり雑魚だったようだ。

「お前等、中々やるじゃねーか。道中もしっかり探索してるし、子供だなんて言えねぇな」

「兄貴より冒険者してるからな!」「働いてっからな!」「金入れてるからな!」

俺だって入れてるよ…。冒険者はしてない自覚はあるけどよう。人知れず、心にダメージを負いながらもダンジョンを進んでく。
三十一階まで降りて、そろそろ武器が心許なくなって来たようだ。真面に通るのはニットのダガーだけとなり、ダートに一本貸して戦ってる。ガットは回避盾みたいな感じでヘイトを集めているが、狭い通路では少し不安だな。

「ガット、ちと来い」

「はぁ、はぅ。なんだ?」

「これ貸してやる」

大鉈を貸してやり、回復を掛けて送り出す。避けてるだけだと逆に舐められるからな。間合いは狭いが斬れ味抜群の大鉈が、敵の鎧をザクザク斬って行く。もっと深い所でも殺り合える武器だからこんな所じゃ敵無しだ。

「兄貴ぃ、俺も武器欲しい!長い剣!」

「箱の中身に期待するか、敵からもらえ。ガットのも貸しただけだからな?」

「わーっーてるっ!」

「ダート、だったら俺の予備を貸してやる」

「マジで!?」

「嘘吐いてどーすんだ。壊さず返せよ?」

「ありがとじょーん」

「さんを付けろこのデコスケ野郎」

「へ~い」

ジョンの予備は、予備と言ってもダンジョンのドロップ品で、魔剣では無いがそれなりのモンだ。雑魚の頭をバカバカ斬ってる。酷い使い方なのが俺にも分かる。その内壊すだろうな。貸してやったジョンも何も言わないし、壊れたとしても気にしないのだろう。まさか壊したら俺の魔剣くれとか言わないよな?ケバケバした魔道砲なら良いぞ?

 そんなこんなで四十階。ジョンの武器が使い物にならなくなったトカゲのボスだ。ネーヴェが居ないからか活き活きしてるな。ガットに貸した大鉈は問題無いが、ダートが借りた剣は何とか皮を斬れる程度だ。それでもどうにか目玉を貫き、ニットのダガーを一本借りて、仲良くとどめを刺していた。



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