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苦し紛れ

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 見せてたつもりは無いのだが、龍の《感知》は玉の皺まで高精細に見える8K画質なようです。

「私では、足りませんかぁ?」

「あれはちょっとイラッとしたから楽し、懲らしめただけだよ」

「また会えたらするのだろ?」

「ミズゲルの核でどんな事するのか興味あるしな」

光の棒みたいに、魔石の力を直接使う魔道具は俺程度の頭でも作れるが、魔石を動力源として使う方法は素人の俺には考えも付かんのだ。

…苦し紛れの言い訳である。

装備を《収納》して二人の胸にタックルした。

「んもう、怒ってなんていませんよ、ふふっ」

「行き摩りの相手にとやかく言わんさ。したくなったら何時でも来い」

許して貰えたようだ。両腕の自由を奪われて、夕飯の時間まで風呂に幽閉させる俺であった。スッキリして風呂から上がると、家主が帰宅していた。

「お帰りになられたのですね、カケリュたま~ん」

平常運転のカロである。あれからは夜勤も無く、毎日定時で帰って来られるそうだ。抱き着いて、全身を擦り付けてまるでマーキングする熊のようなカロをチュッチュしながら自室まで連れて行き、お着替えシーンを凝視してやった。
皆が揃って夕飯を食べ、湯上りの身重三人を優しく抱いて、メイド三人を激しく犯した翌朝。朝食を食べ終えてお茶を飲み飲み休んでいると冒険者達が遊びに来た。少年隊に恋友、それにワーリンだ。

「カケル様おひさしー」「おひさしー」「ぶりー」

「ワーリンがカケルさんの匂いがするってから、来ちゃった」

「したのは魔法ギルドの方から何だけどね」

「魔法ギルドが何かやらかしましたか?」

「特に何も無いよ。少し魔石を工面してやっただけだ」

普段なら、女達が真っ先に纏わり付いて来るのだが、今日は少年隊が前三方に陣取って鉄壁ガードしている。何か企んでるな?

「カケル様あ!ダンジョン行きてえ!」「素材剥ぐ時間が惜しい!」「色々作りたいっ!」

「ダンジョンかー」

街に一番近いダンジョン都市は、俺の逆鱗に触れてゴーストタウン化まっしぐらなんだよな。

「ダンジョン行っても良いけど、俺の指示を聞かないと死ぬぞ?それでも良いか?」

「「「おおー!」」」

やる気だけはありそうだ。恋友とワーリンも同行するそうで、準備もしっかりして来たらしい。俺に頼めば断らないと思ってるな?

「カケル、カララは、また…お留守番なの?」

部屋の隅からボソリと放った一言に、俺の魂は引き裂かれんばかりに痛め付けられた。

「カーラークーレナイー!」

「ぎゃーおーん」

抱き合って頬擦りすりすり。離れたく無い。

「娘よ。旦那様は仕事だ。女と交合いに行くのでは無い。心を込めて送ってやれ」

「お土産持って来てくれるの…?」

「何でも良いぞ」

「魔石!」

魔石は売る程あるんだが…。そんな物で喜んでくれるなら安いモンである。一個四百万とかするけどな。
斯くして、カラクレナイの許しを得た俺と冒険者達は魔道車に乗り込み煙突と化したダンジョンに向かうのだったが、煙突の上空に着いてどうしたものかと悩んでしまった。

「なんか、いっぱいいるな」「家建ててるみたい」「人だらけー」

煙突の周りに柱を組んで、上へ上へと伸ばしているのだ。煙突自体はとぅるんとぅるんで登る事等出来無いが、周りに足場を作れば上がれてしまう。煙突の周りに毒の沼地でも作っておけば良かったな。

「お前等、選べ。此奴等を殺してダンジョンに入るか、諦めるか」

「お前さん。此奴等は敵なのかい?」

「この街のギルマスの指示で動いてるなら、敵だな」

「カケルさん、殺るならギルマスだけにしよ?この人達は金貰って働いてるだけなんだろうし」

「私もそう思います」

「カケル様をただの人殺しにするくらいならダンジョンなんて行かなくて良いぜ!」

「だな」「おれもー」

「お前等は、良い子だな」

諦めて帰路に着く。煙突の口にはキツい蓋をしておいた。




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