509 / 1,519
天井
しおりを挟む二の鐘が鳴り終えた頃にダンジョン前に着いた俺達は、サクッと受付を済ませて中に入る。人が流れ出すと列になってても入るのは容易いな。
前のパーティーに居る、女魔法使いの尻を追い掛け十階までノンストップで走ってく。
「カケル様、しましょうか?」
「後でな。男の尻を見たくないだけだからな?」
「聞こえてたよ!?何か見られてると思ったら!」
前を走る女にドヤされてしまった。訝しげな視線がクセになりそ。
「すまんな。聞こえてた通りだ」
「こちとら見せもんじゃ無いよ!」
「悪かったって」
取りやすいように金貨を一枚投げて寄越すと、受け取った女はニヤッと笑い、ローブを捲って尻を見せてながら走ってくれた。眼福眼福。殿を走る女の尻を見ながら十階まで楽しく走り切ったよ。
仲間を蹴落として勧誘する裏切り者共を無視してボス部屋へ入ると、昨日と同じ犬顔が十人、隊列も無しに走って来た。二人相手なら囲んでボコるのが早いからな。
「減らすか?」
「問題ありません」
言葉の通り、エージャは先頭に居る奴から次々と首を撥ねて回る。囲まれる前に後ろへ回り込み、二~三人纏めて首スパー。俺はドロップした物を回収する大事なお仕事だ。数リットで倒し終え、休憩も無しにさっさと階段を降りてった。
「此処は広いから飛んで行こう」
「はい。後ろから抱いてください」
草原エリアに着いて飛んで行く事を告げると、エージャが足の間隔を広げ、少し腰を落とした。股の間に挟みたいのだろうな。アイツを尻に挟ませて抱き抱え、空に上がって後悔した。
ガンッ!
此処、ダンジョンなのよね。空だと思ってたけど天井があって、思い切り頭をぶつけてしまった。
「カケル様…」
「ヘルメットが無ければ即死だった…。痛い」
「撫でますか?舐めますか?」
「撫でてて」
メットを外してエージャになでなでしてもらいながら低い所を飛んで階段まで移動した。階段前に居るであろう敵は先行者が倒しちゃったみたいだな。拾い忘れた魔石一個ゲット。
十二階から下は《感知》を使い、一直線に下へと向かう。転移罠の部屋に宝箱が無かったのだ。これも先行者が使ってしまったのだろうか?敵もチラホラ出るのでエージャが屠って行くが、ぶっちゃけエージャの敵じゃ無い。どんどん先に降りて行く。
二十階のエリアボスも勘を取り戻したエージャには物足りぬ相手だったようで、途中からは俺が一掃してやった。暫くは俺が露払いするのが早くて良いだろう。
「泊まりますか?」
「まだ昼飯にも早いし、此処は素通りでも良さそうだな」
二十一階の入口で、エージャの誘いを断った。ゲルしか居ないし、オナホはゆっくり使いたい。向かい合わせで抱き合って、向こう側の壁まで水平移動で飛んで行く。巨木がサラサラ葉を揺らしていた。後でな。
犬と犬顔にトカゲが混じり、犬が消えてトカゲ一色になるまで露払いをした。そろそろエージャも存分に戦える頃だろう。
「先ずは一匹ずつな」
「何時でもどうぞ」
先に進みながら出て来た敵を間引きしてエージャを当たらせる。トカゲは目の前で立ち上がる馬鹿だ。一閃で煙になる。トカゲ顔は剣で斬り掛かって来るが、剣で弾かれ手を斬られ、結果首スパー。二体三体と増やしても攻撃手段が変わらない上に通路も狭いので数的有利が無く、エージャの敵にはならなかった。
しかしエリアボスは部屋が広くてそれなりに難儀していたよ。一体ずつ丁寧に手や足を斬り落として戦力を奪い、危なげなく殲滅してはいたがな。
「だいぶ強くなったな」
「カケル様のご指導の賜物です」
「相手が良かったんだろ。トカゲに感謝しないとな」
とにかく数が出るのでドロップもウハウハだ。四十階のエリアボスを倒して階段を降りると洞窟ダンジョンに変わった。やっと此処まで来た感じ。
0
お気に入りに追加
133
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
キャンピングカーで往く異世界徒然紀行
タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》
【書籍化!】
コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。
早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。
そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。
道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが…
※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜
※カクヨム様でも投稿をしております
左遷されたオッサン、移動販売車と異世界転生でスローライフ!?~貧乏孤児院の救世主!
武蔵野純平
ファンタジー
大手企業に勤める平凡なアラフォー会社員の米櫃亮二は、セクハラ上司に諫言し左遷されてしまう。左遷先の仕事は、移動販売スーパーの運転手だった。ある日、事故が起きてしまい米櫃亮二は、移動販売車ごと異世界に転生してしまう。転生すると亮二と移動販売車に不思議な力が与えられていた。亮二は転生先で出会った孤児たちを救おうと、貧乏孤児院を宿屋に改装し旅館経営を始める。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる