上 下
507 / 1,519

番になった

しおりを挟む


「んもう、言ってくだされば…」

 後ろからエージャに声を掛けられた。どうやら皆、起きていたらしい。

「朝から腰砕けにするのはいかんからな。それにこれは此奴に魔力をやってたんだ」

溢れ出す程出したのに、一滴残らず全てを飲み込んだオナホはゆっくりと萎んで壁に変わった。充分な魔力を得られて満足なのだろう。俺はもう少ししていたかった。

「…舐めてみるか?此奴の樹液だが」

「では、失礼して…」

躊躇い無く舌を伸ばすエージャが、先っぽを舐めて直ぐ様口を離した。不味かったのかな?

「何とも、甘露な味わいで…」

「は?」「甘露って、何?」「確かに甘い香りがしますが…」

どれどれどうした、とアイツの前に集まって、一人ずつペロリと舐めてエロい顔になる。甘味はシルケでは超貴重品。甘いちんぽなら尚更だろう。皆交代でペロリペロリと味わっていた。


 朝食を食べて、上の方で寝てるアホを待つ…のだが、降りて来る気配が無い。

「普通なら腹が減って降りて来ると思うんだけど…」

ヤーンを背負ってアホの穴まで飛んで行くと、むにょむにょのオナホに襲われてヘコヘコしてた。

「これ、さっきの…」

気持ち良さそうに腰を振るアホ。こんな奴から魔力が出るとは思えんが、集中して見ると、子種と一緒に仄かに出てた。

「魔力を吸われてる。これでは引き剥がせないな」

「し、死ぬのかい?」

「放っとけばな」

オナホの主に《念話》で語り掛けると、暫くしてニュルっと管が出て、アホの口に入った。栄養でも出すのだろうか?

「此奴はこの木の番につがい なった。養分と魔力を引き換えに、死ぬ迄快楽に溺れて生きていける」

「嫌いじゃ、無かったんだ…。自分がモテると勘違いするまでは、ね…」

アホの隣に座り、髪を撫でるヤーン。暫く撫でて、ギルド証を回収した。

「せめて、最後まで気持ち良くさせてあげてね」

木に語り掛けるが、木には答える口は無い。立ち上がるヤーンを抱き締め舌を絡め合い、別れも告げず下に降りた。

「どうしたんだい?」

「この木に、気に入られちゃったみたい…。嬉しそうに腰を振ってたよ」

いつの間にか、穴は閉じていた。少し気が重いが生き残った俺達は稼いで食って行かねばならん。奮い立たせて狩りに行こう。

 女八人になった俺達は、三十階まで降りながら狩りや箱を開けて昼まで過ごし、夕方には地上へと戻って来た。延長金の一人五万ヤンは、やはり高い気がする。

「こんなに稼いだの初めてだよ」

「安心しな、私達もだよ」

「全てはカケル様のなせる御業です」

それでも黒字だそうで皆ホクホクだ。ドロップの買取りはギルドの方が高く買い取ってくれると言うし、元ハーレムはアホの死亡報告もあるので、皆揃ってギルドに向かった。

「あら、カリータ。それに、ヤーンさん?えっと、貴方はカケルさん…でしたよね?何で女性に囲まれてるんですか?」

「私が説明するよ」

前に出たヤーンが二十一階での出来事を説明し、ギルド証を提出した。

「初めて聞きましたが…、男性には注意を促すよう報告させて頂きます」

ちょっと赤くなった受付嬢が板切れにメモを取る。

「ダンジョンだしな。見張りも立てずに寝るなってだけだろ」

「…ですね。それでも注意はしておかないと」

「切り取って持って帰ろうなんて馬鹿が居るかも知れんしな。多分だがアレ、切ったら木に戻るぞ」

「ぬ、抜けなくなりますね…」

「挿れた状態では切らんだろ」

「あ、あ…、そうですね…」

増々赤くなってしまった。余り揶揄うのも後ろの視線が痛いので、とっとと換金してしまおう。

「ドロップが多くて此処に出せない。場所を変えてくれるか?」

「あ、はい。でしたら係の者を呼んで来ますので買取りカウンターの前でお待ちください」

言われた通り、買取りの前で待つ事暫し、奥から現れたのはハゲで髭モジャの小さいおっさんだった。武器屋の親父と言われてもしっくり来るな。初めて来たのに見覚えのある解体場に誘われ、皆のドロップを換金した。エージャの装備も揃ったし、皆も潤ったようで何よりだ。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第二章シャーカ王国編

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

特殊スキル持ちの低ランク冒険者の少年は、勇者パーティーから追い出される際に散々罵しった癖に能力が惜しくなって戻れって…頭は大丈夫か?

アノマロカリス
ファンタジー
少年テイトは特殊スキルの持ち主だった。 どんなスキルかというと…? 本人でも把握出来ない程に多いスキルなのだが、パーティーでは大して役には立たなかった。 パーティーで役立つスキルといえば、【獲得経験値数○倍】という物だった。 だが、このスキルには欠点が有り…テイトに経験値がほとんど入らない代わりに、メンバーには大量に作用するという物だった。 テイトの村で育った子供達で冒険者になり、パーティーを組んで活躍し、更にはリーダーが国王陛下に認められて勇者の称号を得た。 勇者パーティーは、活躍の場を広げて有名になる一方…レベルやランクがいつまでも低いテイトを疎ましく思っていた。 そしてリーダーは、テイトをパーティーから追い出した。 ところが…勇者パーティーはのちに後悔する事になる。 テイトのスキルの【獲得経験値数○倍】の本当の効果を… 8月5日0:30… HOTランキング3位に浮上しました。 8月5日5:00… HOTランキング2位になりました! 8月5日13:00… HOTランキング1位になりました(๑╹ω╹๑ ) 皆様の応援のおかげです(つД`)ノ

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

成長率マシマシスキルを選んだら無職判定されて追放されました。~スキルマニアに助けられましたが染まらないようにしたいと思います~

m-kawa
ファンタジー
第5回集英社Web小説大賞、奨励賞受賞。書籍化します。 書籍化に伴い、この作品はアルファポリスから削除予定となりますので、あしからずご承知おきください。 【第六部完結】 召喚魔法陣から逃げようとした主人公は、逃げ遅れたせいで召喚に遅刻してしまう。だが他のクラスメイトと違って任意のスキルを選べるようになっていた。しかし選んだ成長率マシマシスキルは自分の得意なものが現れないスキルだったのか、召喚先の国で無職判定をされて追い出されてしまう。 一方で微妙な職業が出てしまい、肩身の狭い思いをしていたヒロインも追い出される主人公の後を追って飛び出してしまった。 だがしかし、追い出された先は平民が住まう街などではなく、危険な魔物が住まう森の中だった! 突如始まったサバイバルに、成長率マシマシスキルは果たして役に立つのか! 魔物に襲われた主人公の運命やいかに! ※小説家になろう様とカクヨム様にも投稿しています。 ※カクヨムにて先行公開中

処理中です...