上 下
504 / 1,519

戦いは数

しおりを挟む


 地下何階か分からんが、中々雑魚が多い。ギルドが一日五万ヤンも毟り取るモンだから、下の方まで行く奴が少ないのだろう。上へと繋がる階段までの道程で、余裕で百は越えたと思う。

「カケル様の凄さが身に染みて惚れてしまいます」

「あ、なら私もー」

「私はあの日からぞっこんラブです」

赤と黄色に乳首まで…、今夜は寝かす訳には行くまい。

「惚れても良いですが、嫁には出来ませんよ?もう既に三人と五体居りますからね」

「五、体…?」

「こらエージャ、リュネ達も一人二人で数えなさい。それと、彼女等も妾だ」

「お妾さんまで居るのね…」

「もっ…て、もっと居るみたいだぜ?」

「あんなので貫かれたらまあ、わかりますけど…」

「ほれほれ、喋ってないで階段に着いたぞ。上がれ上がれー」

女達の尻を揉み揉み階段を昇る。ぷりぷり揺れる尻が眼福なり。階段を昇って扉を開けるとボス部屋だった。十階置きにエリアボスが居るので、最短で八階上がれば三人娘が見知った階に繋がると言う事になる。なれば良いな。
ボスが出ると思われる魔法陣が光り輝き、デカいトカゲ顔が十匹、威勢の良い咆哮を上げて出現した。俺達に背を向けて。
皆をそっと手で制し、脳味噌《散開》。トカゲ顔等は、俺達の姿も見ずに煙となって消えた。

「何階か分からんし、先を急ぐべきだと判断した」

「そうですね。ボス戦はお任せします。道中の間引きと増援の対応は引き続きお願いしますね」

「任されよ」

ドロップを拾うのも一瞬だ。とっとと先に進…戻ろう。
で、期待して八階分上がってみたのだが、三人娘の知らない階層だったようでガッカリ。下の階より弱くなったトカゲ顔とトカゲを虐めてボス部屋へ。大きい犬顔と普通の犬顔と、大きい犬がわんさか出て来たが、大量の煙と魔石になった。

「普通の冒険者なら心折れる数でしたね…」

「死なずに殺せば何れ居なくなる程度の敵だよ。戦いは数だけど、多過ぎても効果を発揮出来なきゃ居ないのと変わらん」

「理屈は解るけどね」

更に行くと、雑魚の数も質も悪くなって行く。ゴールは近そうだ。女達も余裕で対応出来るようになり、エリアボスの大きい犬顔10匹も、女達だけで屠って見せた。

「私達、こんなに強かった?」

「下の階の奴等より全然弱いからね」

「期せずして良い経験が積めたって事でしょ」

「カケル様。私もそれなりに勘を取り戻せたようです」

「それは良かったな。ママ上殿達を守ってくれよ?」

「必ず」

「新しい女が出て来た」

「カケル様のお母様?」

「妻の母だよ。エージャはそこで住み込みで働いてるんだ」

喋りながらでも蹂躙出来る程度の敵になり、遂に二十二階に辿り着く。

「こんなの相手に美味いとか言ってた昔の私を笑ってやりたいぜ」

「慢心は敵だぞ?手堅く稼ぐ方が敵も増えないしな」

サスーンが拾った魔石の大きさは、下の階のそれより明らかにしょぼい。強くなったからっていきなり大量のドロップを持って行こうものなら絶対に目を付けられるからな。思い当たる節しか無いし軽く釘を刺しておいた。

「やっと二十一階です!」

カリータが階段を指差し嬉声を上げる。皆ほっとしてるが気を抜いたらいけないぞ。休憩場所に向かう軽い足取りの三人に気を張りながら付いて行った。

 二十一階は広いエリアだった。下への階段を上がって来たのに、下に五十ハーン程抉れた空間になっていて少し不思議な感覚だ。壁に沿うように下へと階段が伸びていて、一度下って自然一杯のフロアを探検し、対面の壁にある階段を昇って帰るのだそうな。

「ここにはゲルしか居ないんだ」

「ゲルって言うと、ぷるんぷるんで中に核のあるあれか?」

「そうそうそれそれ」

「ドロップはやっぱり核なのか?」

「そうだよー。歩きながら話そ?」

休憩場所は真ん中辺りの大きい木、との事なので皆で階段を降りて行く。大きい木、大き過ぎない?


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

没落した元名門貴族の令嬢は、馬鹿にしてきた人たちを見返すため王子の騎士を目指します!

日之影ソラ
ファンタジー
 かつては騎士の名門と呼ばれたブレイブ公爵家は、代々王族の専属護衛を任されていた。 しかし数世代前から優秀な騎士が生まれず、ついに専属護衛の任を解かれてしまう。それ以降も目立った活躍はなく、貴族としての地位や立場は薄れて行く。  ブレイブ家の長女として生まれたミスティアは、才能がないながらも剣士として研鑽をつみ、騎士となった父の背中を見て育った。彼女は父を尊敬していたが、周囲の目は冷ややかであり、落ちぶれた騎士の一族と馬鹿にされてしまう。  そんなある日、父が戦場で命を落としてしまった。残されたのは母も病に倒れ、ついにはミスティア一人になってしまう。土地、お金、人、多くを失ってしまったミスティアは、亡き両親の想いを受け継ぎ、再びブレイブ家を最高の騎士の名家にするため、第一王子の護衛騎士になることを決意する。 こちらの作品の連載版です。 https://ncode.syosetu.com/n8177jc/

婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。 お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。 婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。 過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。 ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。 婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。 明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。 「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。 そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。 茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。 幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。 「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?! ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

引退したオジサン勇者に子供ができました。いきなり「パパ」と言われても!?

リオール
ファンタジー
俺は魔王を倒し世界を救った最強の勇者。 誰もが俺に憧れ崇拝し、金はもちろん女にも困らない。これぞ最高の余生! まだまだ30代、人生これから。謳歌しなくて何が人生か! ──なんて思っていたのも今は昔。 40代とスッカリ年食ってオッサンになった俺は、すっかり田舎の農民になっていた。 このまま平穏に田畑を耕して生きていこうと思っていたのに……そんな俺の目論見を崩すかのように、いきなりやって来た女の子。 その子が俺のことを「パパ」と呼んで!? ちょっと待ってくれ、俺はまだ父親になるつもりはない。 頼むから付きまとうな、パパと呼ぶな、俺の人生を邪魔するな! これは魔王を倒した後、悠々自適にお気楽ライフを送っている勇者の人生が一変するお話。 その子供は、はたして勇者にとって救世主となるのか? そして本当に勇者の子供なのだろうか?

もふもふで始めるVRMMO生活 ~寄り道しながらマイペースに楽しみます~

ゆるり
ファンタジー
ようやくこの日がやってきた。自由度が最高と噂されてたフルダイブ型VRMMOのサービス開始日だよ。 最初の種族選択でガチャをしたらびっくり。希少種のもふもふが当たったみたい。 この幸運に全力で乗っかって、マイペースにゲームを楽しもう! ……もぐもぐ。この世界、ご飯美味しすぎでは? *** ゲーム生活をのんびり楽しむ話。 バトルもありますが、基本はスローライフ。 主人公は羽のあるうさぎになって、愛嬌を振りまきながら、あっちへこっちへフラフラと、異世界のようなゲーム世界を満喫します。 カクヨム様にて先行公開しております。

貴方にとって、私は2番目だった。ただ、それだけの話。

天災
恋愛
 ただ、それだけの話。

【完結】8私だけ本当の家族じゃないと、妹の身代わりで、辺境伯に嫁ぐことになった

華蓮
恋愛
次期辺境伯は、妹アリーサに求婚した。 でも、アリーサは、辺境伯に嫁ぎたいと父に頼み込んで、代わりに姉サマリーを、嫁がせた。  辺境伯に行くと、、、、、

亜人至上主義の魔物使い

栗原愁
ファンタジー
人生に疲れた高校生――天羽紫音は人生の終止符を打つために学校の屋上に忍び込み、自殺を図ろうと飛び降りる。 しかし、目を開けるとそこはさっきまでの光景とはガラリと変わって森の中。すぐに状況を把握できず、森の中を彷徨っていると空からドラゴンが現れ、襲われる事態に出くわしてしまう。 もうダメかもしれないと、改めて人生に終わりを迎えようと覚悟したとき紫音の未知の能力が発揮され、見事ドラゴンを倒すことに成功する。 倒したドラゴンは、人間の姿に変身することができる竜人族と呼ばれる種族だった。 竜人族の少女――フィリアより、この世界は数百年前に人間と亜人種との戦争が行われ、死闘の末、人間側が勝利した世界だと知ることになる。 その大戦以降、人間たちは亜人種を奴隷にするために異種族狩りというものが頻繁に行われ、亜人種たちが迫害を受けていた。 フィリアは、そのような被害にあっている亜人種たちを集め、いつしか多種多様な種族たちが住む国を創ろうとしていた。 彼女の目的と覚醒した自分の能力に興味を持った紫音はこの世界で生きていくことを決める。 この物語は、限定的な能力に目覚め、異世界に迷い込んだ少年と竜の少女による、世界を巻き込みながら亜人種たちの国を建国するまでの物語である。

「僕は病弱なので面倒な政務は全部やってね」と言う婚約者にビンタくらわした私が聖女です

リオール
恋愛
これは聖女が阿呆な婚約者(王太子)との婚約を解消して、惚れた大魔法使い(見た目若いイケメン…年齢は桁が違う)と結ばれるために奮闘する話。 でも周囲は認めてくれないし、婚約者はどこまでも阿呆だし、好きな人は塩対応だし、婚約者はやっぱり阿呆だし(二度言う) はたして聖女は自身の望みを叶えられるのだろうか? それとも聖女として辛い道を選ぶのか? ※筆者注※ 基本、コメディな雰囲気なので、苦手な方はご注意ください。 (たまにシリアスが入ります) 勢いで書き始めて、駆け足で終わってます(汗

処理中です...