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奢ってやる

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「騒がしい店だったんだな、と思ってな」

「ハハハ、女連れで気取ってるよ此奴」

絡んで来た女を軽くあしらおうと思って言葉を返すと、隣に座ってる女に煽られた。黄色い髪を短く切って、装備を見なけりゃ男と間違えてしまうかも知れない。ビキニアーマーの前衛だ。見ないようにしてたのに、声掛けられたらからじっくり見てしまったよ。

「そりゃあ良い女に声掛けられたら気取るだろ」

お世辞とでも思ったのだろうか、凄く睨まれてしまった。《威圧》でも掛けてるつもりなのだろうか?

「カケル様、犯すのですか?犯すのですね?私もして下さい」

見てるのを気付かれたか、鋭い奴め。行きにぬぽぬぽ、さっきイチャイチャしたろうが!

「明日はダンジョン行くから早く寝るつもりだぞ?」

「日和ったね」

「二人共やーめーなよー、あははっ」

これが俺のトリガーになるとは誰も予想出来まい。《威圧》の空間を女に纏わせ動きを封じると、抑えていた魔力を女に向けて放出した。あははな女は装備からして魔法系後衛、多分アタッカーだ。魔力が見える相手にはこれが一番効く。動けるのに動けない。三人の内、自分だけに判る恐怖に、涙を流して許しを乞うた。

「ご、ごべんなざい…」

「スールズ!…あンた、何したの!?」

「スールズと言うのか。ちゃんと謝れる子は許してやろう」

「カリータ、サスーン…ダメ…。その人、とんでも無く、強い…」

「はっ!どんなに強くたって魔法系にこの距離で負ける気はしないね!」

「立ちなよ。スールズを可愛がってくれた礼、させてもらうよ」

「構って来たのはお前達だが?」

「ねえダメだって。魔法とかそんなレベルじゃ無いんだってば!」

「安心しろスールズ。手加減はしてやる。店の物壊すと無駄金だしな。…その代わり」

《威圧》による前後の便意が赤と黄色の女を襲う。

「「うぐっ!」」

「逃げたら犯す」

トイレに向かおうとする足に《威圧》を纏わせ足止めし、食事の続きを楽しもう。ステゴロでは届かないので椅子を持ち上げ投げ付けて来るが、俺に当たる前に《威圧》の空間に阻まれてしまっていた。

「何だそれ!」

「卑怯だ!」

「手加減してやってんだがな?早く詫び入れて垂れて来いよ」

「糞野郎…」

「カケル様に失礼な言葉を吐かないで頂きたい」

殺気の篭もるエージャを手で制し、食事の続きをしてもらう。

「エージャ、エール二つ頼んでくれ。お前等良かったな。奢ってやるよ」

「飲ませて…、近くする算段かいっ!」

「飲むもんかよ!!」

店員が嫌そうに持って来たエールを一杯、床に流す。木で出来たジョッキから流れ出たエールは床を汚す事無く空中に留まり続ける。それを見た二人は大きく息を吸って鼻と口を塞いだ。
普通ならそれで良い。普通ならな。宙を浮いていたエールが突然その場から消え失せた。

「なっ!?そっ、そっち!?」

「カリータ、どうした!?」

赤い方がカリータ、黄色い方はサスーンのようだ。サスーンには、顔を青ざめ震え出すカリータに何が起きたか理解していないようだ。同じ事を味わせてやろう。テーブルに置いてあったジョッキからエールが消えた。

「あっ!何で…、そんな事っ出来るんだよぉ…」

「修練の賜物だな」

一杯三百ヤン。一ナリ程もあるエールは、今は二人の尻の中。シュワシュワ泡を吐き出して、通り道をパンパンにして行く事だろう。そして吸収されて膀胱へ向かう。口から飲んで、一杯でべろべろになってる奴も居るのだ。粘膜から直で飲んだら悪酔い待った無しだぜ?
案の定、みるみる顔色が悪くなってく。

「漏らしても知らんぞ?」

「ダメ…」

「……」

「俺の勝ちで良いな?」

「良い!良いから二人を許してあげて!お願いしますっ」

尻の穴に《威圧》の栓をして、二人を浮かせてやる。

「ひっ!」「んくっ…」

「付いて来い」

スールズを誘い、浮いてる二人を操作して、ザワ付く酒場を後にした。上手い事ヤリやがった…って、ヤるつもりは無かったんだがな?エージャはこっそりエール一杯飲んでたよ。此奴め…。

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