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語彙が無い

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 カラクレナイを抱き締めて、ちゅちゅ~っと龍の血を補充したらお買い物に出掛けます。女将さんに防寒着の店を聞いて、服屋に向かう。二重扉の店内は暖房が効いていて、ネーヴェは眠そうになっていた。

「この子に似合う可愛いのを頼む」

「失礼ですがご予算は如何程にしましょうか?」

「オーダーメイドする時間は無いから今あるもので可愛くて暖かいのを頼む。手持ちで足りなきゃギルド行って下ろして来るよ」

「はぁ」

「金無いと思ってる?樵の女将のおすすめで来たけどヤメヤメ。ネーヴェ…起きような。ジョンのトコ行くぞ」

「なむい…」

雑木紙でキレイにラッピングして店を出る。店員はオロオロしてるだけの木偶の坊だった。よくあれで店やれてるモンだ。

 仕方無く向かったギルドでは、びっくりする程の塩対応。さっきのやり取り見てなかったのか?それとも交代したてなのか。何方にしても失礼極まりない。瞬間脱糞の刑に処し、ギルドから出て三階まで浮き上がる。

「ジョーーーーン」

「お、来たか。待って、たぞ…」

三階の扉を開け放つジョンだが、俺のオーラを感じて後退あとずさる。

「職員の対応マジで何とかしろ。俺が来たらお前に連絡行くようにしてんだよな?」

「お、おう」

「ギルド証見て、その上でお前如きにお会いするかって言われたぞ。如きだぞ?会う会わんはお前が決める事だよな?なんで一職員が勝手に決めてんだ」

部屋に入ってソファーにネーヴェを安置して、その横にそっと座る。起こしたらもっと大変だろうからな。

「職員共にはもっと強く言い聞かせとくよ、悪かった」

「どの国でもそうなんだが、俺、ギルドに嫌われ者として登録されてねーか?」

「何をしたかにも因るが…、ちっと調べさせるわ」

まだその機械操作出来無いのな。得手不得手あるからそれは仕方無いとして、ドアの向こうに居る人物を呼び入れて、また失礼な態度を取られた。

「貴様何時の間にぎぃぃぃっ!」

「カケル、それ以上はシャレにならねーって」

「茶を出して持て成せとは言わん。けどその態度は許せん。見せしめの為に死んでもらおうか」

「ぼ!ぼうじばげ、ごがいがげぐぇぇ!」

「カケル、頼む!止めてくれ!」

「次は静かに殺すから、覚えとけ」

「ぜぇ!がはっ!」

「カケル…、ギルドと何か揉めたのか?」

「最近揉めたのはオーバーフローでダンジョンから出るモンスターを激減させた。街の被害も無く、依頼通り雑兵共に仕事もさせたのに、俺の仕事を無かった事にされた上ダンジョンの出入りを禁止された。酷くね?売れる物は全部ギルドに流したんだぞ?」

「減らし過ぎたのか?」

「レッサードラゴンも殺れない奴等に残してやる意味あるのか?」

「おい、マルーク起きろ。カケルの討伐履歴を見れるようにしろ」

無理矢理起こして機械に座らせ、俺のギルド証からデータを出してマルークは倒れた。ジョンは機械に映される討伐記録を見て声も無い。

「すげぇ……」

語彙が無いな。

「これだけ殺ってCとかギルドは馬鹿なのか?」

「この街を出た時も、そう言う扱いをされたんだよな」

「そうだったな…」

「物が無いからダメーってな。けどこんなのポロポロ出されたら戦争になるぞ」

《収納》から魔剣を数本出してやる。ジョンの目付きが変わった。

「直ぐに仕舞え。そいつはトーシロの目から見てもとんでもねーモンだ」

「ジョンはちゃんとしたAランクだな」

「もっと褒めても良いが、ちゃんとしてない奴なんて居るのか?国王に呼ばれてなるんだぞ?」

「危機意識がしっかりしてないと、一瞬でこの子に殺される。さっきからしっかり間合いを取ってるよな?何時もなら飛び付いてスゲーとか言って振り回すのに」

「《威圧》食らった時は死ぬかと思ったよ。俺はAランクのクセにドラゴンと戦った事も無い、甘ちゃんなんだよ」

「人じゃ絶対勝てないからな」

「?カケルはドラゴン殺ってるだろ?」

「レッサーな。この子、キルヒネーヴェは真のドラゴン。しかも原種のクリスタルドラゴンだ。機嫌を損ねるなよ?」

「す、すげぇ…」

やはり語彙が無いな。



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