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美味しく食べる迄が狩り

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 脳味噌が固まった老害は他人の言葉を信じようとしないから困る。

「ある!石の階段や、地下を封じた石の蓋が見つかっとる。それに見た事の無い魔物が居る!遺跡かダンジョンがある筈なんじゃ!」

「それ、俺が作ってぶっ壊した家の階段と排水升だ。モンスターはタマゲルと木のモンスターだな」

「嘘だ!」

「木のモンスターならハイネルマール商船会社にも居るぞ」

「お前如きがハイネルマールと関わり合える筈が無い!」

「公女と関わってるのにか?」

「公女様の名を騙る不届き者だ!衛へげっ!」

「お前の時間は終わりました」

「短気は損気って言葉、知ってるか?」

「王者の余裕、ですね?カケルさんを侮辱されたのです。子兎だって同じ対応をしますよ」

彼奴等の怒った顔は見たくないな。横でぐったりしてる受付嬢を回復してやる。ぐったりしてても会話の内容は理解しているだろうし、曲解したらどうなるかも理解しているだろう。遺跡やダンジョンとしての価値が無くなった湖周辺の土地は二千万ヤンまで下がった。

「魔石での支払いでも構いませんか?」

断れば死ぬと思ったのだろう、即答で肯定していた。リュネの手持ちからドカドカとデカい魔石が排出され、二千万を超えたくらいでお会計となった。ま、砕く訳にもいかないし、手数料だな。そして名義は俺で無くリュネにした。俺より長生きしてくれるだろうしな。
 使用権が綴られた権利書を受け取り、晴れて島の所有者となった。

「カケルさぁん、狩りに行きましょ」

「美味しいのが良いな。乗せてくれ」

「はぁい」

念を押さないと此処で巨大化しそうだからな…。夕方前には帰りたい事も伝え、二人並んで街を出た。


 久しぶりに龍の姿に戻ったリュネは、デカい。頭の上に座っても平気なくらいデカい。スベスベした細かい鱗を撫でながら美味い肉が捕れる場所に向かってる。場所はリュネにお任せなので何処に行くのか分からないが、夕方前に帰るならそう遠くへは…行けちゃうのか、此奴は。
 で、着いたのはかなり内陸の山岳地帯。俺も初見なこの場所に、一体何が居るのやら?

「カケルさん、あそこ」

岩場に山羊っぽいのが移動してるのを見付けて指を指すリュネを撫でながら、頭を狙って一撃必中。圧縮した煉瓦の弾は左右の目を貫通し、岩壁に傷を付けて弾けた。岩場から転げ落ちる前に《収納》した。

「やりましたね!」

「そうだな。時間も無いし、後一匹取ったら戻ろうか」

「えー、残念です」

「美味しく食べる迄が狩りだよ。料理もしないとな」

「仕方無いですねぇ。あ、あそこ、大きいのが居ますよ」

「あれだな?」

煉瓦の弾は後頭部から入り眉間を抜けた。音も気配も無く超高速で飛んで来る小さな弾を避けられる物はそう居まい。しかもソイツが信じられない程曲がるのだ。この世界に野球は根付かないな。倒れて土が着く前に回収した。

「リュネのおかげで久しぶりに食料を調達出来たよ」

「一杯褒めて下さい」

頭頂部に五体投地して撫で回す俺を乗せたリュネは、街に近くと《阻害》を掛けて街に入った。リュネさんや、姿を消しても溢れる魔力は消せてないぞ?跪いて祈りを捧げる冒険者は元傭兵かな?カロ邸の庭に降り立つとアルネスが駆け寄って来た。

「お、おおおおお、お初に御目にかかりましゅ!わたくひとうメリクヒャー家のメイドのあ、あるアルネスと申しなす!何方様であられましゅかしゅがたをおみしぇくらさいましえ~!」

「よう、俺俺、俺だよ俺俺」

「か、カケル様?カケル様の魔力を掻き消す程のお方…」

「間違えるなよー?今家には四頭龍が居るぞー?」

「うぇ~ん!私の命は差し出しますのでお嬢様は幸せにして下さ~い」

「カケルさぁん、おいたしちゃダメですよ。ふふ」

ああん、バラすなよぉ。
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