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セカンドハウス
しおりを挟む午後まで寝て、残り物のソーサーを齧りながらミスリルを掘る。今日はカラクレナイとサミイが遊びに来た。サミイはすっかりドラゴンライダーになっちゃって、鞍の無い裸龍に跨り手放しで切り揉み飛行してる。ちゃんとした装備を着けたら布団屋の娘と言われても信じられないだろうな。
「街に行っても騎龍のマネが出来るようにがんばって練習してるんです」
「褒めて良いの」
よしよしよしよし。けどその大きさの騎龍、居るのかな?カロに装備をもらった時は少し大きいかな?って感じだったけど、エメラルダスに作らせた奴も含めて今ではあて布にしかならない程に成長している。着けられて角飾りだけか。トカゲモドキの方がまだ少し大きいけど、それを超えるのも時間の問題だな。
一頻り撫でたら再びミスリル掘り。今日も二十ハーン四列で止めとこう。
「旦那さま、これ一つでいくらになるんですかね?」
今日採れた中では一番小さい、直径一ハーン程の玉を指してサミイが聞く。
「さあなあ、売った事がないから分からんなぁ。ミスリル貨って一枚十万ヤンだけど、偽造防止の魔法が掛かってんだろ?地金にしたらもう少し安いんじゃないのかな?」
「高かったら溶かしてインゴットにされちゃいますもんね」
「だな」
「お金もあって、力もあって。旦那さまはもう敵無しですね!」
「ははは、敵だらけだよ。ギルドなんて俺のランクを上げないようにしてるみたいだしな」
「それならカロ様に言って何とかしてもらったらどうです?」
「そうだな、たまには泣き付いてみるか」
「カララのおうちも作ってもらうの」
「セカンドハウス、欲しいかもな」
カラクレナイがお腹空いたと言うのでランデブーして帰宅した。
昼飯を食べ終えて、シャリーを呼んだ。俺より絶対詳しいからな。
「家、ですか?」
「ああ。家は作れるとして、土地を買ってセカンドハウスにしたいなーって」
「妾でも囲うのですか?」
「それもまた良し。けど何時までもカロの家に厄介になる訳に行かないし、男の子達を街に慣れさせてやりたい。それにカラクレナイがゆったり過ごせるようにしたい」
「土地次第ですね。エディアルタみたいに壁を勝手に増築とかは止めた方が良いですし」
「カケル、島はどう?」
「奥様のおっしゃる島ってどんな島です?」
「湖の真ん中」
あそこか。タマゲルに木のモンスター、元気にしてるだろうか。
「人が入ってないならそこでも良さそうだよな。ゴーラも一杯居るし」
「ん」
「各ギルドへの渡りは私とカロ様でしましょう。家造りは他の方にお任せしますね」
「なら明日はシャリーを連れて街に行くか」
「「「「私も」」」」「「「俺もー」」」「カケルさぁん」
街に行くと言った途端これだ。シャリーは必須として、実家持ちのサミイ、買い物したい少年隊の三人とテイカとメイド二人。そして理由不明のリュネが来たいと名乗りを上げた。ひーふーみーの総勢九人か。以前作ったUFOサイズを風呂無しにすれば余裕だな。街には入れないけど。
「ダーニーガー、お前ら街に行った事あるか?」
「無いぞ!文句あっか!?」「それよりダーニーガーって」「俺、ガー?」
「お前等を街に、連れてく前に、言っておきたい、事がある。かなり厳しい、話もするが、俺の本音を、聞いておけ」
「カケル様はお歌もお得意なのですね」
歌と分かったリアは撫でとく。
「奴隷商人に、捕まってはいけない。怪しい女に、捕まってもいけない。飯は三食食え。いつもキレイでいろ。出来る範囲で、構わないから…」
パチパチパチパチパチパチ
「要するに、元気で居りゃ良いんだな?」「三食なら任せろ」「できるはんい!」
「そんなお前等の為にセカンドハウスを建てる為の準備をする予定なのだ。カラクレナイも泊まれる立派な家になると思う」
皆喜んでる。街に行けるってそんなに嬉しいか?嬉しいんだろうなぁ、娯楽無いし。
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