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べろべろべろべろ

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 あの後龍をトイレに連れて行き、垂れ方を教えたのに尻拭いてないって言うから風呂で洗ってやり、寝室で三人並んで寝た。気付いたら二人に抱き締められてるのだが、寒かったのか?左側にくっ付いてる全裸の子はちょっとひんやりする。

「ん…、人の姿になると腹が減るのが早くなるな…。飯を寄越さんとお前を取って食ってやる」

残ってる肉は胸肉とネックか…。此奴の食う量を考えると、ちと足りないな。

「外で何か取って来るかな」

「早くせんとこの女を食うてやる」

「おっぱいぺろぺろするくらいにしといてくれ」

するりと飛んで抜け出したら、龍の開けた穴から外に出た。下は大海原。《収納》から尻尾の余りを取り出して、落っことす。大体十ハーンかな?止めて数ピル、海面が盛り上がりデカい口が現れて、尻尾を飲み込んだ。

 スレてない魚は釣るのが楽で良い。上空一万ハーンでキンキンにした魚を《収納》の中で解体し、塩と乾燥した香草とマタル粉を纏わせて、焼けた煉瓦で焼いている。

「い~匂~い」

「魚を焼くとこんな匂いになるのか」

座して待つ二匹の肉食獣に待てをして料理を作り、食って焼き、食って焼きでお腹一杯。龍は焼き方を覚えたようで、一人で焼き焼き食っている。
鱈腹食って龍が野生を捨てて絨毯でゴロゴロ始めた頃、漸く島の上空に辿り着いた。

「着いたぞー」

「あ、島がある」

ワーリンが、龍の開けた穴から顔を出して見下ろしてる。落ちるなよ?

「あ、何か飛んでき…」

「ギャゲー!ギョグルギョワー!」

「ぎゃっ!」

ワーリンがすっ転んで開いたスペースから赤い首がにょっきり入って来た。

「ただいまカラクレナイ。龍語を覚えたんだな」

「ギャ…か、カケルー!カケルカケルカケルーー!」

バキバキと壁を砕いて押し入って来たカラクレナイは凄く成長していた。足から頭迄六ハーンはあるだろうか。そんな巨体が抱き着いて来るのに策無しでは居られない《強化》を重ね掛けして熱い抱擁に耐えた。べろべろべろべろ。

「人語もちゃんと使えるようになったんだな、偉いぞ」

大きくなり過ぎてカロに貰った服や作った装備はもう着られそうにないなこりゃ。子供服に悩む親の気分だ。

 島に降りると皆総出で迎えてくれた。

「おかえりなさいカケル様。いらっしゃいませ妾の方、龍の…方?」

二番手に甘んじたテイカ。龍は角では無く魔力を見て判断したか。羊呼ばわりしなくて偉いぞ。

「オレ、妾?良いの?」

「妾認定されたなら良いのだろきっと」

「おかえり、カケル」

「ただいまイゼッタ。結局ダンジョン入れなかったよ」

飛び込んで来たイゼッタを迎え抱き、くるくるまわる。妊娠してるし優しくしなきゃな。

「おかえりなさい、旦那さま」「お待ちしておりました」

「ただいまサミイ、リア。ゆっくり休んだら子作りしような」

「おかえりなさいカケルさん、それにしても何故貴女が此処に?」

「貴様、生きていたのかグリューネワルター」

「今はリュネです。で、何をしに?まさかカケルさんに従属する気ですか?」

「は?ミネストパーレの子供が産まれる頃だから見に来ただけ…まさか此奴が!?」

「そうだ。私の子、カラクレナイだ」

「ミネストパーレまで」

「此処ではミーネだ、妹よ」

「姉妹だったのは以前二人に聞いた気がするが、あんただったのか」

「人の身で物怖じしない訳が解ったわ。飯で懐柔されたか」

「私の命の恩人です。今は命を尽くす殿方です」

「飯で懐柔された。今は喧嘩別れ中だ」

「ミーネ、ごめんな?」

「訂正する。今も昔も娘共々愛の虜だ。旦那様よ、此奴は我が妹でリュネの姉、グリームンドルフだ」

「名乗り遅れたな、カケルだ。此処で立ち話もなんだし、中でお茶でも飲みながら話したら良い」

俺は子兎達に絡み付かれながら食堂に連れて行かれ、皆も付いて来た。お茶を飲み飲み自己紹介したり雑談したり、賑やかな我が家に帰って来たのを実感した。
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