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疲れマラ
しおりを挟む城からそよ風のような《威圧》が飛んで来た。ブルランさんは中々やる執事さんだな。とは言え俺が城に忍び込む訳には行かないので思案してしまう。ブルランさんはきっと、鳴りを潜める潜伏者と黒幕を炙り出すか処理するかして欲しいのだろう。
《収納》してある騎竜と岩、街中の悪人を黒幕と思しき者の入ってる部屋に無理矢理詰め込む。部屋はほぼ岩。《威圧》の壁が無ければ扉からどぶぁ~っと赤くて臭い流動体が放たれていた事だろう。
岩が部屋を真っ赤に染めた音を、近くに居た数人が気付いたようだ。ご愁傷様。《威圧》の壁を解いて流動体が通路を汚して行くと、匂いが隠し扉から漏れて来ているのだろう、匂いの元を探す生贄達。見付けられそうに無い生贄達に引導を渡してやった。強く生きろよ?
隠し扉を 《集結》で小さくすると留め具が効かなくなりバタンと倒れる。溢れるどろどろと匂いに阿鼻叫喚。声を聞き付けどんどん集まり被害者は増えて行った。
メイドや衛兵に紛れた敵意は《集結》で集めてエントランスに一纏めにしておいた。この距離から出来る事はここまでだな。息を吐き、ソファーに身を沈めた。
「知らない内に頑張ったみたいね」
「オレにはこんな事しか出来無いけど…、よしよし」
「ではわたくしも、なでなですりすり」
ペニスケ撫でられてムラムラする。疲れマラだな。
本当に疲れていたようで、気付いたら既に夕方だった。流石に何泊もするのは気が引けるのでお暇させてもらいます。メイドに聞いたそれなりの宿へ向かい、三名一部屋でチェックインした。
「お前さん、もう平気かい?」
「寝たからだいぶ良くなったよ」
「子種が出ない程熟睡してたものね」
寝てる間にナニをされていたのか?誰がしたんだ?どうしたんだ?気になって眠れなくなる前に夕飯食べて寝ちまおう。
焼いた干し魚と魚のスープにソーサー。旨味が利いて塩味が強い。飲兵衛女子に釣られてエールを三杯も飲んじゃって、三人揃って酔っ払い。
気付いたらベッドで寝てたけど、どうやって帰って来たのかは誰も分からなかった。
「ワーリンの帰巣本能じゃない?」
「初めての宿じゃ無理だよ。お前さんが浮かせて連れて来たとか?」
「俺が落ち掛けてた時は二人は起きてたよな?キュルケスは浮けるし、俺もワーリンが引っ張って来たのかと思ってた」
「私浮けるの?」
「「覚えてないのか~」」
朝飯を食べ損ねた俺達は、二日酔いを醒ますべく全身を《洗浄》し気合いを入れ、昼飯を食べに食堂へ向かった。そして一階に降りた所でいつの間に場所を教え特定出来たのか、ブルランさんが訪ねて来ていた。
「昨日はお世話になり感謝に堪えません」
「おはようございます。よく此処が分かりましたね」
「坊っちゃまの指差す方向にある宿を尋ねて回っておりました」
「気にしてなかったけど、魔力漏れてるわよ?」
まじでか。仕舞って仕舞って…。
「それで、どのようなお話で?」
「はい。先ずは場所を変えましょう。坊っちゃまのおわす所にお越し頂きたい」
ハークの居る場所、か。今はゴタゴタしてそうだけど大丈夫なのか?断るつもりも無いし、ホイホイと付いて行くだけである。宿をチェックアウトして、向かうは東門。ブルランさんを先頭に顔パスで入ってく。ゴモランさんの時のように走らずに、街並みを見ながら歩いて行った。
「カケルー!」「カケル様ー!」
裏口から城に入ったり、使用人用の階段を使えるのは何だか得した気分になるな。通さた部屋には美男児と美女児が待っていた。俺の姿を見て駆け寄って抱き着いて来る可愛い。両手で二人を撫で回し、撫で回し、撫で回す。
「坊っちゃま」「お嬢様」
窘められてすごすご引き下がるのも可愛い。
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