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うんともすんとも

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 昨夜は少し寒かったので、俺の部屋でお湯を沸かして三人で寝た。部屋着に着替えたワーリンにムラムラして襲いかかり、ねっとりたっぷり二人の中に注ぎ込んだ翌朝。朝食を摂ってギルドに行くと、昨日の惨劇から持ち直し、普段通りの賑わいを見せていた。
今日も列成すハズレ組の、短そうな列に並ぶ事暫し。

「後どれくらいでDになれる?」

「さあ?」

「さあ?って、ちゃんと教えておくれよ」

無気力な受付嬢にワーリンが吠えるが、肩を竦ませ苦笑いの受付嬢。

「時期的に依頼が少ないのですよ。外に出るのは冒険者や商隊くらいなのでモンスターの被害は殆どありませんし、野盗の被害届も出てませんからね」

「この間の依頼、やらなきゃ良かったわね。被害届が出ないと貢献度にならないみたいだし」

金にはなったんだがなー。ホント、それだけ。

「そうなると、商隊が襲われるまで様子見してれば良かったか」

「物騒な事言わないで下さいね?」

「野盗の首五十個とか持って来たのにうんともすんとも言わないのが悪い」

「貴方達が?ギルド証を確認しても?」

三人のギルド証を確認してる。討伐記録でも見てるのだろう。常駐依頼を重複してこなすか、通常依頼をノルマ分だけ達成させるしか無いみたいだな。野盗も、被害が出たら間引きする野生動物と同じ扱いであると思った。そう考えると時間は掛かるが護衛依頼は貢献度的に美味があるのか。

「確かに。確認が終わりましたのでギルド証をお返ししますね。物騒な物言いでしたが言いたい事は分かります。確かに効率的ではありませんね。上に報告して改善出来るよう務めます」

「宜しく頼むよ。で、今の時点で貢献度ががっぽり入る依頼は無いの?」

「残念ながら…「此処にありますぞ?」」

「何奴?」

振り返るとセバスチャンが歩み寄り綺麗な挨拶を見せた。名前セバスチャンじゃ無いけど。此方も腰を折り挨拶を返す。

「ハーク坊っちゃまの護衛ですか?」

「お察しの通りでございます。お受け頂けますならば指名依頼とさせて頂きます。坊っちゃまもお喜びになられる事でしょう」

「失礼ながらブルラン様、カケル様のパーティはキュルケス様がCランクですが、ワーリン様とカケル様はまだEランクですので些か力不足かと…」

「ほう、私の主を野盗からお救いたらしめたお力を不足と申しますか。主の妹君をスノーライガーからお救いたらしめたお力を不足と申されるのですか」

セバスチャンの目力が強い。

「…あの、カケル様?スノーライガーは討伐なされたのですか?」

「追い払っただけだよ。お腹空いてただけみたいだったから手持ちのお肉をあげて帰ってもらったんだ」

あんな可愛いのを殺すなんてとんでもない。そしてセバスチャンはセバスチャンじゃ無かった。ブルランさんだった。
ギルドの決まり事なので俺への指名依頼は出来無いが、キュルケスへの指名は出来るそうなので、そのように処理された。

「勝手に受けちゃったけど、良かったのよね?」

流れるように、自然に依頼を受理されてしまったのでうんともすんとも言えなかった。まあ、なるようになる。

「詳しい話は当家で致しましょう。ですが申し訳ございません。只今当家の客間は月一の大掃除中でして…、大変心苦しくございますが、使える部屋がしかございません…」

「サロン、ですか」

「サロン、でございます」

「あ、これ絶対行くやつだ」

「私にもわかるわ」

依頼受けちゃったし、大掃除中で使えないなら仕方無いよねー?ブルランさんを先頭に、ウキウキしながらハーク邸に向かう俺と、生暖かく見守り着いて来る二人であった。

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