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また始まった

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 やって来ました新居です。さっきまで三階で寝てたけど、装飾はほぼノータッチなので見ておきたい。
外見はテイカをメインに頑張って削ったようで煉瓦模様に梨地、石柱に出窓風と様々な装飾が彫り込まれている。

「ほう、この外壁の装飾は…、これは草花を模しているようですね。此方の柱も素晴らしい。古代ローマ建築を伺わせる中程が膨らんで行く柱が壁の装飾と見事な調和を奏でています。今から中に入るのが楽しみです」

「…また始まった」

「こだいろーま?古代ローマ?聞いた事の無い地名?地名ですよね?」

「褒めている事は伝わって来ます」

イゼッタ&シャリーにテイカも加わり俺の呟きを解説している。

「それでは先ずは玄関から、拝見させて頂きます。中に入ると…ほぅ、これは奥に続く廊下が真っ直ぐ通っていて奥行きを感じる事が出来ます」

「奥様、エントランスが無いのは貴族を捨てた意思表示ですか?」

「作り忘れた」

「妾以外の客は来ないので問題ありません」

「左側には大きな窓がずらりと並び、干物を作る干場が良く見えます。干場は西側ですので、この廊下は熱を遮断する効果もありそうですね。干場に窓が沢山あって日当たりがある為、この廊下もとても明るく、創意工夫が見て取れます。では干場に向かって見ましょう」

「移動するようです」

「あたしはお茶を淹れて来ます」

「いってら」

玄関左側のドアを開けて中に入ると、既に干し肉の加工がされていて、肉の香りと暖かさが全身を包み込む。

「ほう、これは暖かいですねぇ。干し肉が幾重にも掲げられておりますが乾燥も早そうです。部屋の中心には、これは階段でしょうか?面白い作りになっております」

「自画自賛?」

「干し肉のシャンデリアに彩られたエントランス、とでも言えば良いのでしょうか」

「上手い事を言いますな、シャリー殿」

  「エントランスにしてはお腹の空く匂いですね」
掃除でも終わったのだろうか、居間の方からメイド二人が合流して来た。因みにフラーラは殿、ノーノはさん付けでシャリーを呼ぶ事にしたらしい。

「ご主人、テイカ殿がお茶を淹れてくれたぞ?飲まないか?」

「施行主の優しさに感謝して、頂きましょう」

  「カケル様、また何か変な物でも食べたのですか?」
「問題無い。変なスイッチ入ってるだけ」

嫁達の扱いが酷い。新居の居間に集まってお茶にした。幅広のローテーブルを、女の子なら五人は座れるローソファーが二つ更に二人掛けくらいの二つが囲んでる。皆頑張って作ったんだな。これ以上嫁なり妾を増やすな、とも取れるが増やす気は無いんだよ、本当に。
窓際には観葉植物の代わりに蔓草が植わってる。これ、ワタウリか?その内部屋中蔦だらけになりそうだ。床から直接生えてるのがとても気になる。

「あの蔓草ってワタウリ?」

「私がエディアルタから持って来た…と言うより、恥ずかしながらポケットに入れっ放しだった物です。若い実のふわふわは甘くて美味しいんですよ?」

「シルケに来たての頃に食ったなぁ」

「甘いと聞いて、植えてみた」

外に植えろよ。まあ、その内外にも生えるだろ。タオルくらいは自家生産出来るようになれば良いな。
そう言えば、最近は木の実を取って来てないな。狩りの序に摘んで来るようにしよう。肉はリュネ達が取って来れるし、俺は木の実メインでも良いかも知れない。

「そう言えばリュネにミーネよ、お前達が何時の間にか取って来た肉って、骨や皮はどうしてるんだ?後、内臓もか」

「骨は煮てスープにすると言うのでくれてやっている。内臓は料理出来んと言うので泣く泣く捨てているがな」

「皮や牙、角なんかは全て残してありますよ?外貨獲得、でしたよね?ふふっ」

龍を相手に不義理は出来無いと確信した。
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