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日給二万ヤン

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 ゴロツキ共の入って行った排水口の前には、既に三組の小隊が集まって相談事をしていた。臭いから入りたくないとかでは無く、動きを封じてあると言う報告を信じてないらしい。動けてたらもう捕まらんと思うんだけどな。
相談事に参加するアマルディの隙を突いてナイニャイちゃんとシトンとアズを連れて排水口に潜入する。さも当然のように振る舞うと、意外と気にされないものだ。そして、入って右折し直ぐの所で固まって動けなくなっている賊を発見した。

「こ、ここ殺すの?」

「そう言うのは他の奴等に任せたら良い。此奴等も出来るだけ長生きしたいだろうしな」

その場の十人を《感知》で調べると、暗器や刺青、鑑札が見付かった。奥歯に毒を仕込むのは宇宙規模での常識らしい。刺青を切り取ってスキルで治し、鑑札を頂いたら一人ずつ引き摺って外に出た。外で話し合いしてる警備兵達は驚いてたが、賊が動かないのを見ると挙って中に入って行った。後六人しか居ないのに三組全員入る事無かろうに…。

「独断専行を許可したままだったな…」

「管理者一人同行させたし、何ら問題は無い筈だ」

臭くなった者を《洗浄》し、後から来た組に賊四人を任せて持ち場に戻った。

 現在持ち場で休憩中。隙間の一つを封鎖して、屋根も作って休んでる。《感知》に動きが無いならば、巡回するだけ無駄なのだ。

「カケル、ナイ、先程の賊についての報告はまだか?」

「え?ああ、そうでした。報告します。排水路に入って直ぐに賊が居たので一人が一人を引き摺って出て来ました」

「やれば出来るじゃないか」

「賊は暗器を所持していて、皆体に同じ模様の刺青を入れていた為、傭兵や冒険者では無く暗殺者である可能性がある。相手国の要人か、自国の要人か、どちらが標的だったのかは知らんがな」

「カケルさん、暗殺者だって戦争くらい行くんじゃないの?」

「鉈持ちの俺が言うのもなんだけど、超近接武器の暗器じゃ戦闘は出来無いべ?それに、明日は住民は引き篭るだろうし、昼間に現地解散しても問題無いと思うぞ?」

「昼間に出られない訳でもあったのでしょうね」

「ああ、ガキの頃、よく真夜中にコソコソ動いてる奴いたなー、あれ暗殺者だったのかな?」

「よく生きてられたわね」

「同業者と思われたのかもね」


 結局その後は何も無く朝になり、ギルドの地下に全員集合して解散となった。

「近くに感じられると思ったのに…」

これから仮眠して再び仕事となるカロに愚痴を零されるが、冒険者に事務仕事は無いだろう。俺は簿記とか得意だけどさ。
依頼はまだ終わって無い。カロ邸に戻って仮眠したら、再び夜勤があるのだ。これが後二日、三日の仕事で金貨六枚。日給二万ヤン。これから短時間でこなせる依頼を受ける強者も居るようで、何事も無ければ美味しい仕事なのだろう。

俺は寝る。
ギルドから離れ、暫く歩くと現地解散のゴロツキ共が向かいからやって来るのが見える。面倒事は嫌なのでとっとと裏道に入っちゃおう。しかし裏道にもゴロツキが居る。此奴等にとってはこっちがメインストリートだったか。ニヤニヤしながら女達を見てくる辺り、やはり治安は悪化して行くのだろうな。

「カーケールさんっ」

「なーあーに?」

「疲れたので抱っこして下さい」

頭の上にたわわを乗せられ前が見えない。リュネは取り敢えず煽って行くスタイルなんだな。

「いーなー。あたいもー」

「私は後で添い寝してくれたら良いです」

「添い寝なら俺等が…」

言ってる傍から消えて行くゴロツキ。食いついたら死ぬ餌なんて食べちゃいかん。金にならない殺生はしたくないので《威圧》を振り撒いて帰った。害意や殺意を持って近付いて来る奴だけ、とリュネには念を押しといた。

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