女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
上 下
258 / 1,519

よーしよしよし

しおりを挟む


「カケル、付与くらいなら休んでるのと同じ。私がやる」

イゼッタはこう言ってくれるが精神労働も結構オーバーワークさせてたと思うし、やっぱりダメだ。

「光の付与をしたいなら、カケルでも出来るだろう?」

「シルケの光をイメージ出来無いんだ。俺の知る光は袋に入れて持ち運べたりしないんだよ」

「だとしたら、カケルの知る光をイメージしたら良い」

「俺の、か…」

地球でも、シルケでも、光の性質は同じ筈だ。唯、魔法に関してだけは質量がある。もしかして、光の魔法は光子を生み出しているのでは無く、光子を発生させる粒子を生み出しているのか?例えば雲だとか塵だとか、蛍の光もあったな。

「うわーんテイカー」

ギブアップである。

「よく頑張りましたね、よーしよしよし。イゼッタ様の為に努力するカケル様は素敵ですが、もっと周りを頼っても良いのですよ」

俺の顔を埋め込んで、優しく包み込んでくれるたわわに、折れた心が癒される。

「カケルはイメージし切れない物は苦手か。仕方ない、魔石を出してよく見ておけ」

ミーネが人差し指を立てて魔力を薄らと込めると、極淡い光を放つ細かい粒子が指先に集まって行く。光が淡いので小麦粉のような粉に見える。
蛍光灯の中に塗ってある蛍光体みたいだ。魔力を光に変える蛍光体と考えればイメージ出来るかも知れない。

が、ダメ!蛍光体なんて言葉知ってても中身なんて知らねーよ!再びテイカに抱き着くのであった。結局ミーネに風呂場と通路の分の属性魔石を作ってもらい、テイカとミーネが取り付けに行ってくれた。その後、光の属性魔石を作ったのがミーネだとアルネスにバレて御礼口上が始まってしまった。

 夕方になり、馭者アルネスと護衛二人、そしてカラクレナイを纏ったサミイがホルスト車に乗ってカロを迎えに行った。今夜はサミイの部屋でお泊まり会をするのだ。治安が悪くなりつつあるとは言え、此方は厄災級の迎撃体制が二人も居るので問題は無い。風呂に湯を張り食事の支度等して過ごした。
家主が帰宅したのは夜遅くだった。今後の予定としては、明日は下級貴族と正規兵の凱旋で一日。明後日からは傭兵や冒険者、非正規雇用のゴロツキ達がゾロゾロ現地解散すると言う。

「かけるたまぁ~、明日の夜には家に戻あえても良いのれふよ?」

御礼口上と検診を終え、新設した風呂で溶けているカロが気遣ってくれる。

「ばどーぶ…ぷは。魔道具の売り出しを見てから帰りたいんだよな。けどゴロツキの土産物にはしたく無い」

「かけりゅたまぁん、お口が止まってますぅ」

タイルの上に、フェルトを敷いて横になり、顔面騎乗のカロのお股をぺろぺろなう。俺のアイツはアルネスがお口でお掃除してくれている。

「いっその事、消してしまいましょうか」

リュネの雰囲気が変わる。《感知》で港を調べると、こんな夜中に小舟が三隻向かって来てる。

「悪い事したら晒し者にしちゃえば良いよ。とっとと帰りたいだけかも知れんしなー」

「え?カケぅ様、如何されました?」

「小舟が三つ、陸に上がる。悪さしたらリュネにお仕置きしてもらえば良いさ」

「おひおひえふぁ…」

「相手は死ぬ」

「生かしておく必要もあるまい」

「ミーネ様に賛同します」

「この街の民の平穏の為でしたら致し方ありません」

  「見せしめにもなりますしね」
「みんな物騒な事言うなぁ」

「それだけ警戒してるのよ」

「人を思い、街を思うカケル様の優しさに、より一層の忠誠と献身を。あとそろそろ変わって頂いても良いのですよ?」

「あ、ふぁい」

アルネスに変わりましてテイカがマウントポジションに着いた。
俺もお湯に浸かりたい。





しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

処理中です...