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よーしよしよし
しおりを挟む「カケル、付与くらいなら休んでるのと同じ。私がやる」
イゼッタはこう言ってくれるが精神労働も結構オーバーワークさせてたと思うし、やっぱりダメだ。
「光の付与をしたいなら、カケルでも出来るだろう?」
「シルケの光をイメージ出来無いんだ。俺の知る光は袋に入れて持ち運べたりしないんだよ」
「だとしたら、カケルの知る光をイメージしたら良い」
「俺の、か…」
地球でも、シルケでも、光の性質は同じ筈だ。唯、魔法に関してだけは質量がある。もしかして、光の魔法は光子を生み出しているのでは無く、光子を発生させる粒子を生み出しているのか?例えば雲だとか塵だとか、蛍の光もあったな。
「うわーんテイカー」
ギブアップである。
「よく頑張りましたね、よーしよしよし。イゼッタ様の為に努力するカケル様は素敵ですが、もっと周りを頼っても良いのですよ」
俺の顔を埋め込んで、優しく包み込んでくれるたわわに、折れた心が癒される。
「カケルはイメージし切れない物は苦手か。仕方ない、魔石を出してよく見ておけ」
ミーネが人差し指を立てて魔力を薄らと込めると、極淡い光を放つ細かい粒子が指先に集まって行く。光が淡いので小麦粉のような粉に見える。
蛍光灯の中に塗ってある蛍光体みたいだ。魔力を光に変える蛍光体と考えればイメージ出来るかも知れない。
が、ダメ!蛍光体なんて言葉知ってても中身なんて知らねーよ!再びテイカに抱き着くのであった。結局ミーネに風呂場と通路の分の属性魔石を作ってもらい、テイカとミーネが取り付けに行ってくれた。その後、光の属性魔石を作ったのがミーネだとアルネスにバレて御礼口上が始まってしまった。
夕方になり、馭者アルネスと護衛二人、そしてカラクレナイを纏ったサミイがホルスト車に乗ってカロを迎えに行った。今夜はサミイの部屋でお泊まり会をするのだ。治安が悪くなりつつあるとは言え、此方は厄災級の迎撃体制が二人も居るので問題は無い。風呂に湯を張り食事の支度等して過ごした。
家主が帰宅したのは夜遅くだった。今後の予定としては、明日は下級貴族と正規兵の凱旋で一日。明後日からは傭兵や冒険者、非正規雇用のゴロツキ達がゾロゾロ現地解散すると言う。
「かけるたまぁ~、明日の夜には家に戻あえても良いのれふよ?」
御礼口上と検診を終え、新設した風呂で溶けているカロが気遣ってくれる。
「ばどーぶ…ぷは。魔道具の売り出しを見てから帰りたいんだよな。けどゴロツキの土産物にはしたく無い」
「かけりゅたまぁん、お口が止まってますぅ」
タイルの上に、フェルトを敷いて横になり、顔面騎乗のカロのお股をぺろぺろなう。俺のアイツはアルネスがお口でお掃除してくれている。
「いっその事、消してしまいましょうか」
リュネの雰囲気が変わる。《感知》で港を調べると、こんな夜中に小舟が三隻向かって来てる。
「悪い事したら晒し者にしちゃえば良いよ。とっとと帰りたいだけかも知れんしなー」
「え?カケぅ様、如何されました?」
「小舟が三つ、陸に上がる。悪さしたらリュネにお仕置きしてもらえば良いさ」
「おひおひえふぁ…」
「相手は死ぬ」
「生かしておく必要もあるまい」
「ミーネ様に賛同します」
「この街の民の平穏の為でしたら致し方ありません」
「みんな物騒な事言うなぁ」
「それだけ警戒してるのよ」
「人を思い、街を思うカケル様の優しさに、より一層の忠誠と献身を。あとそろそろ変わって頂いても良いのですよ?」
「あ、ふぁい」
アルネスに変わりましてテイカがマウントポジションに着いた。
俺もお湯に浸かりたい。
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