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リュネ先生
しおりを挟む勝手口から庭に出て少し。伸びかけの雑草広がる裏庭に来た俺達は、早速魔法の練習に取り掛かる。
「今日はどの魔法を習いたいのですか?何でも良ければ子供でも出来るメテオでも…」
「こんな所じゃ出来ませんよ。今日は土魔法をお願いします。皆で入れる風呂が作りたいです」
メテオなんて子供に教える魔法では無いと思う。思考のあぶないリュネ先生は風呂と聞いてやる気が出たようで、土の出し方から造型、硬化まで事細かく実演して教えてくれた。やれば出来るリュネ先生だ。
土のイメージは以前採掘した粘土にした。焼けばきっと良い焼き物になるだろうしな。イメージがしっかりしてるので土を出すのは直ぐに出来た。次は、土を自分の思う形に造型して生み出す。煉瓦のイメージは立方体。簡単なので此奴も直ぐに出来たが、少し変わった形をイメージするとえらく時間が掛かってしまう。
硬化に関してはスキルでも出来る。が、これをマスターしないと煉瓦を生み出す事は出来無いのだ。全てをマスターしてしまえば煉瓦の家を一回の魔法で生み出す事も可能だろう。スキルでのイメージがあるおかげで硬化自体は成功した。唯、縮むので同じ大きさにする事が難しい。精進せねば…。
が、今日の所はスキルを併用するのでこれで良し。
「リュネ先生のおかげで予想よりだいぶ早く魔法を覚えられました。ありがとうございます」
「ささ、吸いましょ?」
「風呂が出来てからゆっくり吸いたいです」
「カケルさんは我慢の出来る生徒なのね、ならさっさと作ってしまいましょう」
先ずは土台。魔法で生み出す煉瓦は二×十×十ハーンの巨大サイズ。地面をスキルで柔らかくしたら上から煉瓦を乗せてめり込ませ、二十ドンを残して沈むのを止めた。
次は壁。五×十×一ハーンの煉瓦の壁を作り、スキルで伸ばして角で曲げ、端と端をくっ付けた。勝手口に近い面に穴を開けて入口とし、入口から、入って三ハーンの所で仕切りの壁を付ける。脱衣場だ。仕切りの壁の端っこに浴室への入口を作って壁作りは一旦停止。
お次はメインの浴室だ。立方体の内側を凹ませる事が出来無かったので、立方体の状態で生み出してスキルで中を凹ませた。序に角を丸くする。高くなった分、階段も作り、此方も角を丸くした。
最後は屋根。ぶっちゃけ板を乗せるだけで良いのだが、滴が天井からポタリとするのが嫌なので工夫する。十×十ハーンで厚みを二ドンにした薄い煉瓦を空中で柔らかくして上から壁に重ねると、壁の当たる所を残して垂れ下がる。そこで硬さを戻してひっくり返して乗せると、モコモコっとした屋根になった。
「リュネ先生、出来ました!」
「工夫を感じますが殺風景ですね…。カケルさん、鉄を少し頂けますか?」
両手で持てる程度の鉄の塊を出すと、リュネは一度《収納》し、次に出した時は既に加工されていた。壁掛タイプのライトスタンドだ。魔石を仕込んだり、火や光の魔法をくっ付ける事で明かりにするのだと。更に、土魔法で白い風呂椅子や手桶、お湯が湧き出る龍を象った蛇口を作った。
極めつけはタイル。部屋全体に白いタイルが貼られ、明かりも無いのにとても明るく感じた。
「流石リュネ先生」
「もっと褒めて下さい」
「大好きリュネ先生」
「抱き締めて下さい」
「おっぱいも吸いますリュネ先生」
「何時でもどうぞ」
「カケル、リュネ様、何やってる…」
こう言うテンションの時に見られるのって恥ずかしいよね…。まあ、ドアを付けてない俺が悪いのだが。
「扉、付けてきますね…」
「はい、先生…」
二つのドアも白い石でキレイだった。
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