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新居作り
しおりを挟む明日からは新居作りと言う事で、昨夜はゆっくり寝かせてもらった朝。朝食を食べたら作業に取り掛かる。
先ずは整地から。ミーネの家の横。緩やかな斜面の木を《集結》させて、根っこ毎引き抜いたらそのまま圧縮して丸い塊にしてしまう。余裕を見て三十×六十ハーンを切り開いた。《散開》《集結》《伸縮》を駆使して地均しを行い整地が完了した。
「カケル、家まだ?」
まだ始まっても無いよ。イゼッタが持って来た熱々のお茶をフーフーしながら飲んで作業再開だ。因みにイゼッタ達は属性魔石を組み立ててるそうな。
地均しした土地に柱状節理を突き刺して行く。前は長さを計って穴を開けていたがスキルに慣れた今なら効率的に作業が出来るぞ。均した地面を《伸縮》で柔らかくして、五ハーン間隔でキレイに整列させた柱状節理を真っ直ぐゆっくり垂直に降ろしてやると、地面にズブズブ飲み込まれて行く。一番低い場所が深さ十ハーン埋め込まれた所で《伸縮》を解除すると、五十五本の柱が並ぶ墓場のようになった。
続いて床梁を組んで行く。短辺の側から梁を並べる事五十一本。《伸縮》で密着させたら長辺側だ。余分を切り取りながら十五本並べたら縦横の梁が面一になるまで《伸縮》で押し潰して表面を均した。石材の使用はここ迄。余った石柱は斜面の土留めとして尾根側の柱に壁になるように積み重ねた。ミーネの家の方もやっておこう。
「カケル様、ご昼食の用意が整いまし…カケル様?」
リアが新居の土台の近くで呼んでいる。俺はミーネの家の下で作業してたので見付けられないようだ。
「こっちだよ。直ぐ行く」
埃塗れの体を《洗浄》し、リアを抱き上げ昼飯だ。午後は陸に上がると言うと、無言でカラクレナイがしがみ付く。街には行かないのよ?二人きりは不安なので保護者同伴してもらう。
「家族三人水入らずでお出掛けですね、うふふ」
「グリューネワルターが行きたいのなら私は構わないがカラクレナイはどうしたい?」
「グギ…」
「良かったな。嫌々ながら同行して良いそうだぞ?叔母よ」
「貴女にとっては妹です」
苦しいのでオーラを纏わないで!吐きそうなの!!
「辞めろ。連れてかないぞ。吐くぞ?」
「あら、ごめんあそばせ」
「妹よ、お前は構い過ぎるんだ。その内嫌われるぞ?」
「解りました。好かれるように善処しまーす」
懲りてないな。ミーネから放たれたほんの一瞬の殺気、俺にも分かったぞ?とても吐きそう。お茶の時間を少し長めに取って、何とか体調を持ち直した。不運にもドラゴニックオーラに触れてしまった数人の兎は、今もイゼッタの回復魔法で治療中だ。
「ついムキになってしまいました。ごめんなさい」
「非を詫びる事が出来るのはリュネの良い所だが、今苦しんでる子達には伝えたかい?」
頭を冷やしたリュネがシュンとしてる。溢れ出る魔力もだいぶ抑えられて…、ああ、俺も魔力が見えるようになったのか。ともかく詫びに連れて行き、終わった頃には日が傾きだしていた。このまま行っても帰りが遅くなるし、今日は諦めよう。
明けて翌日、反省して遠慮がちになったリュネに跨り空に上がる。ミーネの上にはカラクレナイが乗っている。ミーネ曰く、飛ぶ練習も兼ねているのだと。ハーネス着けて首から下げればもっと飛んでる感が出そうだな。
「カケルさん、始めて乗せるのでゆっくりで良いですか?」
「落ちても俺は飛べるから、風の結界だけしっかり頼むよ」
リュネはグルルと返事をすると、言葉通りゆっくり移動し始めた。リュネの鱗は龍にしてはだいぶ細かく、背中でも掌程の大きさだ。そしてスベスベしてる。ミーネと違って摩擦力も掴む所も無いので結構滑る。結界のおかげで風は来ないが鞍が欲しいな。
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