女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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万死に値する

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 朝の作業は昨日?取って来た鉄で鉄板作り。膝の上に身の丈二ハーンを超えたカラクレナイが乗っていて、尻尾と首が絡み付いてて動けない。手は動かせるので多分問題無い。
《収納》から鉄球を取り出して、直径三十ドンの円盤にしたら、魔石が三個嵌まる穴を開け、テイカが魔石を埋め込んで行く。十個の鉄球は五十枚の鉄板になり、内十二枚が魔導コンロになった。

「なあサミイ、これ売れると思うか?」

「値段次第ですが…、旦那さまは利潤を求めてませんよね?」

「元ナーバーグのインフラ用に良いかなーって」

「三千ですね」

「高くね?」

「家に火を付ける犯罪が三百ハーンそこらでされたらたまったもんじゃ無いですよね?」

「そりゃあ、まあなあ」

百均ライターで放火事件とか万死に値するよな。

「鉄板だって、転売されたらいやですよね?勝手に値段を釣り上げて、文句はこっちに来るんですよ?」

「そりゃあ、まあなあ」

買い占め転売ヤーは万死に値するよな。

「一家四人で考えて、光の棒は四本、水の棒は二本、コンロが一つ売れるとして、バルタリンドの半数でだいたい千家族。四千の二千の千です。持ち込み数が足りませんよね?」

「そりゃあ、まあなあ」

このままでは物売るって言うレベルじゃねぇぞ!って事態になってしまう。

「出来た物はわたしが売ります!なのでとにかく数を揃えてください。先ずは八百の四百の二百!五回売って様子を見ます。分かりましたか?」

「わ、分かった」

一番の年下なのに中々の商才をお持ちなサミイは言うだけ言って飛び込んで来た。

「明日には帰って準備します。カララさま、サミイの事忘れないでくださいね?」

物言わずぺろぺろするカラクレナイ。味を忘れないようにしているのだろうか?俺もぺろぺろしてやろう。
さて、今必要な魔石の数は凡そ千個、鉄板も千枚必要となる。魔石はともかく、鉄板は凄い数だ。明日はサミイを送って行くのでそのままミズゲルを狩らなくては。建具屋にも寄らなきゃな。鉄板は現地で形にして、帰ったら魔石を嵌め込むだけの状態にすべきだろう。熱対策は…やはり盾だな。昼飯食ったら盾を作ろう。多分こんなの防具屋には売って無いし。

 昼飯食べて、使ってない煉瓦を玄関前に運び出す。居間で作業して汚したりしたらテイカが嫌な顔するからな。

「カケル様、これで最後です」

気配無く後ろに立つテイカにびっくりしたのを悟られないように礼を言い、午後の作業の開始である。盾の種類は×ハーンのタワーシールドにした。凝ったの作れないからだ。地面に枠線を引いて煉瓦を並べて行く。
《集結》でくっ付けたら《伸縮》で柔らかくし、更に地面を蒲鉾型に膨らませて弓形ゆみなりに曲げて固めたら巨大屋根瓦…基、タワーシールドの完成だ。重いので基本浮かせるから持ち手も要らないシンプル設計だ。
テストしたいのでお昼寝係のリアを呼んで来よう。

「これに火の魔法を当てれば良ろしいのですか?」

「当てたら壊れちゃうかも知れないから近くに置く感じで頼む」

盾を浮かせて後ろに隠れ、リアの魔法を待つ。ごにょごにょっとした後結構な熱量が近づいて来るのが分かる。リアの魔法では鉄は溶かせないし、煉瓦も耐火煉瓦として売られていた物だからこの程度なら問題無さそうだ。一旦魔法を止めてもらう。
テストの結果、外観には異常無し。外側は触っちゃいけない程の熱さになっているが内側は火傷しない程度の温度だった。これで何とかなると良いな。








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