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勿体無い

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 朝食を食べたらテントを潰してバルタリンドに向けて出発だ。更地に植林するのも忘れない。
上空千ハーンを往くので野盗も出なけりゃモンスターも出ない。屋根に鳥が無賃乗車する程度で、ドラゴンなんて現れない。これが普通なのであり、暇ではなく平和なのだ。
小鳥の声を聞きながら、二人とチュッチュして過ごし、昼前にバルタリンドに到着した。サミイが居ないのに寝具店に駐車するのも気が引ける。脇道に隠れたら《収納》で仕舞っちゃおう。
特に誰との用事も無いので今日も宿を取る。女子二人に三人部屋を頼んだのに何故かダブルだった。まさか前泊まった宿も仕組まれていたのか?望む所だ。

とは言えエッチな事は空の上で散々したので夕方までは仕事モード。海岸でミズゲルを集めてべしゃっとするのだ。昼飯の串焼きを調達した序に建具屋に寄り、ゲル版を見せてもらう。それなりの値段だが高くは無いな。一先ず一ハーン四方のゲル版を二十枚購入し、話の流れでミズゲルの核について聞いてみたら、勿体無い事に全部捨ててるのだと。処分用のミズゲル水槽にドボドボ流して食べさせてしまうそうだ。売れるけど二束三文だし、買い手の魔法ギルドだけでは数が捌けないと言う。今あるのも含めて全て買うぞ!
洗って核にした物なら全て買う旨伝えると、一ナリ五百ヤンで卸して貰える事になった。やったぜ。とは言え今直ぐ買える訳でも無いので海岸行ってべしゃりますよ。

集めて陸揚げしてべしゃり。
集めて陸揚げしてべしゃり。

テイカは解体ナイフを使って器用に核の袋だけ摘出し海に帰している。イゼッタは前回やって懲りたのか陸揚げ係に徹している。そしてテイカが海に帰した奴を持って来たりする。

「イゼッタよ、これ、水魔法で脱水や乾燥させられるか?」

「ん、やってみる」

テイカがキレイに抉ったミズゲルを宙に浮かせてやると、ごにょごにょっと呪文を唱える。暫くするとミズゲルから水分がじょろじょろ垂れ始めた。水分が抜けたミズゲルは薄ら白いキクラゲのようで、乾燥したら軽い煎餅みたいにカサカサになった。食べられそうだが食べない方が良いだろうな。
軽く叩いて粉々にしたミズゲルに水を注ぐと、水を吸ってプルプルになった。

「プルプルー」

「お二人共、休憩でしたらお茶でも淹れましょうか?」

「そうしよう。それよりこれはヤバい物を作ってしまったな」

「何がヤバいの?」

「技術さえあれば色々使える素材になるぞ?オムツに入れればおしっこ漏れないし、ベッドのマットの水漏れ対策さえ完璧ならブルンブルンするベッドになるぞ」

「なんか凄い」

「お金の匂いがしますね」

「まあ、技術が無いから無理だがな」

地球の技術はこっちじゃ無理だよ。化学繊維が無いからな。休憩がてら昼食の串焼きを食べて、一休みしたらまた核を集めるぞ。夕方になる迄べしゃりまくり、三百個程集まった。時給百ヤン…、買った方がマシとつくづく思う。

「効率良く核を取り出す機械等があると良いですね」

「《集結》で核だけ集められんものか…」

「洗う時試してみる?」

「死んでる方はそれで。生きてる奴には明日の午前中にでも試してみよう」

汚れた体を《洗浄》して宿に戻ろう。
宿には内風呂があるが、お湯は別料金だ。しかし属性魔石のある俺達は無料で使い放題だ。湯に浸かり、ミズゲルの核を取り出して、核だけを《集結》させる。核単品を認識してるせいか、簡単にぬるぬるの袋から分離出来た。やったぜ。これってもしかしたら、ミスリル鉱石からミスリルだけ取り出せんじゃね?とか思ったが、ドロドロに溶かした状態で無きゃ無理そうだよな。スカスカにしたらいけるか?これは帰ってから試してみるとして、明日は生きたミズゲルで試してみよう。


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