213 / 1,519
心外である
しおりを挟む《並列思考》で頭の回転を良くしているが、中々答えが見付からず、結果うろうろしてしまう。
「カケルさまだー」「カケルさまがうろうろしてるぞー」「サボってるー」
心外である。リュネに甘噛みしてもらおうか。
「ミーネの家を何処に作るか探してんだ。サボってねーよ、リュネに甘噛みさせるぞ?」
「う!」「お、男は脅しにゃんかに屈しないぜ」「リュネさまそんな事しねーもーん」
引き攣り、噛んで、目が潤ってる。
「お前等もミーネの家を何処に作るか考えろ。条件は、出来るだけ家の近くで、地下禁止。龍の寝床サイズの家だ」
「考えたらご褒美くれよ」「そーだそーだ」「角!」
角ならまあ…。
「何でもとは行かんが出来るだけ応えてやる。さあ、我に知恵を授けよー!」
膝を折り、両手を天に掲げ、邪悪な存在から力を得るポーズで可愛いガキンチョ共に催促する。暫く固まってヒソヒソしていたが、出て来た案がこちらである。
地面を平らにしちゃう。
それは俺も考えた。平地を広げる程急な傾斜が発生するので地滑りが怖い。地下水が出なくなったり川が干上がったりする可能性もあるので没にしたのだ。依ってこれは没。
海の上。
船か?龍が住むなら浮遊島か人工島だな。水深にも依るが、俺を何時も食って来る彼奴等を何とかすれば何とかなるかも知れん。
空の上。
人がゴミのようか?高床式の大型化は俺も考えてた。高い所に家が建つと日照の問題があるが、傾斜地に作るならこれしか無いと思ってる。
取り敢えず案は集まったがどれも難しいな。居間のソファーでぐったり休んでいると、両側頭部を柔らかい物で包まれて、首を優しく締められた。
「難儀してますね」
「俺の土木スキルは質量を増やす事が出来無いんだよね。無から有を創り出す魔法が羨ましいよ」
そうなのだ。《集結》は密度を増やすスキル、《散開》は密度を減らすスキル、《伸縮》は名前の通り伸び縮みさせるスキルだが、《集結》と併用しないと《散開》同様スカスカになる。即ち、体積は増えても質量は増えないのだ。以前作ったナーバーグ跡地の壁やエディアルタの難民施設は、堀を削った分を壁や建物に使っている。何処かから材料を取って来ないと建物レベルの物は作れないのである。
「建材を取って来なきゃいけないから、家作りはちょっと時間掛かるかも」
「早くしないと私がママになっちゃいますよ?」
「頑張るよママー」
胸の鼓動が増した。そう言うプレイもお好みか?望む所である。
昼飯を挟んで午後は建材探しに行く事にした。
硬い石、もしくはスキルで硬くした石材を柱として使おうと思っている。硬いと言ったら花崗岩だが、俺は中でも玄武岩を使う予定だ。あれば良いけどな。空に上がって指示を出し、体を押す方向へ向けて飛んで行った。
向かった先は大陸の際。黒っぽい断崖絶壁が広がる海岸だ。規則正しい縦の割れ目が美しい、柱状節理の絶景である。六角柱の太さは一ハーン程、高さは三十ハーン程もあり、杭として充分な長さだ。
柱状節理の根元を大体の長さで百×三十ハーンを真横に切るように《散開》させる。次に、上方向から百×二十ハーンで同じく《散開》すると、切れた岩が僅かに沈みこんだ。切り出し成功である。
切れた石材毎ゆっくりと空に上がると、スポッとキレイに抜けてくれた。後は帰ってから一本ずつ柱にすれば良い。以前までヒーヒー言ってた石材加工もスキルのおかげで楽チンポンだ。
大質量の岩塊に乗って島に飛んでった。
「何かと思えばカケルじゃないか」
島の前で誰何して来たのはミーネである。そりゃこんな岩塊が飛んで来たら飛んで来るわな。
0
お気に入りに追加
137
あなたにおすすめの小説
喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜
田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。
謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった!
異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?
地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。
冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
転生テイマー、異世界生活を楽しむ
さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
二度も親を失った俺は、今日も最強を目指す
SO/N
ファンタジー
主人公、ウルスはあるどこにでもある小さな町で、両親や幼馴染と平和に過ごしていた。
だがある日、町は襲われ、命からがら逃げたウルスは突如、前世の記憶を思い出す。
前世の記憶を思い出したウルスは、自分を拾ってくれた人類最強の英雄・グラン=ローレスに業を教わり、妹弟子のミルとともに日々修行に明け暮れた。
そして数年後、ウルスとミルはある理由から魔導学院へ入学する。そこでは天真爛漫なローナ・能天気なニイダ・元幼馴染のライナ・謎多き少女フィーリィアなど、様々な人物と出会いと再会を果たす。
二度も全てを失ったウルスは、それでも何かを守るために戦う。
たとえそれが間違いでも、意味が無くても。
誰かを守る……そのために。
【???????????????】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
*この小説は「小説家になろう」で投稿されている『二度も親を失った俺は、今日も最強を目指す』とほぼ同じ物です。こちらは不定期投稿になりますが、基本的に「小説家になろう」で投稿された部分まで投稿する予定です。
また、現在カクヨム・ノベルアップ+でも活動しております。
各サイトによる、内容の差異はほとんどありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる