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心外である

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 《並列思考》で頭の回転を良くしているが、中々答えが見付からず、結果うろうろしてしまう。

「カケルさまだー」「カケルさまがうろうろしてるぞー」「サボってるー」

心外である。リュネに甘噛みしてもらおうか。

「ミーネの家を何処に作るか探してんだ。サボってねーよ、リュネに甘噛みさせるぞ?」

「う!」「お、男は脅しにゃんかに屈しないぜ」「リュネさまそんな事しねーもーん」

引き攣り、噛んで、目が潤ってる。

「お前等もミーネの家を何処に作るか考えろ。条件は、出来るだけ家の近くで、地下禁止。龍の寝床サイズの家だ」

「考えたらご褒美くれよ」「そーだそーだ」「角!」

角ならまあ…。

「何でもとは行かんが出来るだけ応えてやる。さあ、我に知恵を授けよー!」

膝を折り、両手を天に掲げ、邪悪な存在から力を得るポーズで可愛いガキンチョ共に催促する。暫く固まってヒソヒソしていたが、出て来た案がこちらである。

 地面を平らにしちゃう。
それは俺も考えた。平地を広げる程急な傾斜が発生するので地滑りが怖い。地下水が出なくなったり川が干上がったりする可能性もあるので没にしたのだ。依ってこれは没。

 海の上。
船か?龍が住むなら浮遊島か人工島だな。水深にも依るが、俺を何時も食って来る彼奴等を何とかすれば何とかなるかも知れん。

 空の上。
人がゴミのようか?高床式の大型化は俺も考えてた。高い所に家が建つと日照の問題があるが、傾斜地に作るならこれしか無いと思ってる。

取り敢えず案は集まったがどれも難しいな。居間のソファーでぐったり休んでいると、両側頭部を柔らかい物で包まれて、首を優しく締められた。

「難儀してますね」

「俺の土木スキルは質量を増やす事が出来無いんだよね。無から有を創り出す魔法が羨ましいよ」

そうなのだ。《集結》は密度を増やすスキル、《散開》は密度を減らすスキル、《伸縮》は名前の通り伸び縮みさせるスキルだが、《集結》と併用しないと《散開》同様スカスカになる。即ち、体積は増えても質量は増えないのだ。以前作ったナーバーグ跡地の壁やエディアルタの難民施設は、堀を削った分を壁や建物に使っている。何処かから材料を取って来ないと建物レベルの物は作れないのである。

「建材を取って来なきゃいけないから、家作りはちょっと時間掛かるかも」

「早くしないと私がママになっちゃいますよ?」

「頑張るよママー」

胸の鼓動が増した。そう言うプレイもお好みか?望む所である。


 昼飯を挟んで午後は建材探しに行く事にした。
硬い石、もしくはスキルで硬くした石材を柱として使おうと思っている。硬いと言ったら花崗岩だが、俺は中でも玄武岩を使う予定だ。あれば良いけどな。空に上がって指示を出し、体を押す方向へ向けて飛んで行った。

向かった先は大陸の際。黒っぽい断崖絶壁が広がる海岸だ。規則正しい縦の割れ目が美しい、柱状節理の絶景である。六角柱の太さは一ハーン程、高さは三十ハーン程もあり、杭として充分な長さだ。
柱状節理の根元を大体の長さで横幅×三十奥行ハーンを真横に切るように《散開》させる。次に、上方向から百×二十ハーンで同じく《散開》すると、切れた岩が僅かに沈みこんだ。切り出し成功である。
切れた石材毎ゆっくりと空に上がると、スポッとキレイに抜けてくれた。後は帰ってから一本ずつ柱にすれば良い。以前までヒーヒー言ってた石材加工もスキルのおかげで楽チンポンだ。
大質量の岩塊に乗って島に飛んでった。

「何かと思えばカケルじゃないか」

島の前で誰何して来たのはミーネである。そりゃこんな岩塊が飛んで来たら飛んで来るわな。





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