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大人になるまで
しおりを挟む昨夜はあの後皆として、リュネの中に溜めに溜めた魔力と子種を吐き出した。後からリュネに聞いたが、魔力を出さないように射精すれば良いだけの事であった。
もっとドバドバ、シマウマみたいに子種が出るかと思ったんだよ…。
朝食を食べながら、今日は皆休みで自由に過ごしてもらう事とした。俺は特に用事も無いのでミズゲルを叩くがな。
そんな訳で一人海に来た。今まで殆ど貸切状態の海岸だったが、今日は数人人が居る。子供が遊んでるようだ。邪魔にならんように壁際で仕事しよう。
スキルで集めてベシャリベシャリとやってると、子供等の興味を引いてしまったらしくチラチラ見てる。気にせずベシャリとしていると、生意気そうな子供が寄って来た。
「お前冒険者の癖にそんなの潰して食ってけるのかよ?」
ミズゲルの核を一つ、海水で洗って見せてやると、遠巻きに見てた子供等もぞろぞろやって来た。五ミリの玉だから皆顔が近い!
「これ、一つ幾らだと思う?」
「んなモン金になんのかよ!?」「まさかそれは伝説の!?」「わかんなーい」
「ギルドに入って買い取りされて、一個五ヤンだ」
「それじゃー串焼きも買えねーじゃん」
「だから取る奴も居なくてな。数が欲しかったら自分で取るしか無い訳だ」
「ねー、それ、何すんのー?」
「知らんかも知れんがこんなのでも魔石なんだ。加工して属性魔石や魔道具の部品になるんだよ」
「それ、俺達にも出来るか?」
「ミズゲルを倒すのは子供でも出来るぞ。ベチャベチャになってかーちゃんに怒られても良いならな。後は、子供の持ち込んだ物をギルドが買い取ってくれるかどうかって所だな」
「それな!」
「何だ経験ありか」
「俺達、畑の近くでブフリムの袋とか拾ったりしてんだけどさー、たまに入ってる指輪とか鍵とか全然買ってくんねーんだよ。ずりーよなー!」
「大人になるまで取っとけよ?鑑定料掛かるけど当たりを引けるかも知れんからな」
「何だよ当たりって?」
「鑑定料五百ヤンで鑑定するとな、持ち主や家族が懸賞金を掛けてたり、価値がある物だったりするんだ。外れたら丸損だがな」
「「「へー」」」
「ねーねー、これ、あたしの宝物なの。いくらになるかわかるー?」
ちっちゃい女の子が大事そうに両手に包んでいた物を《鑑定》して驚いた。王金貨だった。貴族しか使えない金なので俺も初めて見たが、これ一つで一千万ヤンだ。
「大人になるまで誰にも見せないように大事に保管しとこうな。悪い大人に取られたりしたら嫌だろ?」
「わかったー」
最近使ってない鉄貨用の皮袋を取り出して、中に入れて首に掛けてあげた。袋の《強化》も忘れない。
「旦那、妹の為に皮袋くれてありがとな」
「気にすんな。たまたま使わなくなったのがあっただけだ。仕事するから向こうで遊んどいで」
子供等はキャッキャしながら離れて遊び出した。やっと仕事に戻れるぜ。それにしても、凄い当たりを引く人も居るんだな…。
キャッキャするのを聞きながらベシャリベシャリと二百個近く核を集めてそろそろ昼か。腹も減ったし串焼き買って帰ろうと腰を上げるとキャッキャしてたのがキャーになる。逃げ惑う子供等を追いかける黒い塊。体長は五ハーンくらいか。トドやアザラシみたいな見た目の奴が、子供等を食おうと涎を撒き散らしながら腹を波打たせていた。ミズゲルの核を一粒、ノーガードの脳天に直撃させると、顔と赤い汁を涎の如く撒き散らし、ビクビク動く塊になった。
「平気か?」
「死ぬかと思ったー!!」
元気そうで何よりだ。食えそうな見た目だし臟と血抜きして持って帰るか。大鉈でサクサク臟を取り、序に魔石も取り出して、海水で血を洗い流したら担いで帰宅した。
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