160 / 1,519
シルケ以外の神
しおりを挟む気付いたら朝?眩しいくらいに明るくて目が慣れないが、どうやら部屋じゃないみたい。また女神に呼ばれたか?しかし何時もの罵詈雑言は聞こえない。まさか聴力を潰されたか?
「あー、あーあー」
声を出すと音は聞こえる。半身を起こして見回すと、頭の中に声が響いた。これが世に言う《此奴、直接脳内に!》ってヤツか。
「察しが良いのぅ」
「声出るんかい!」
「否、耳から入るように調整しただけだ。此方の体は遠くに居るからの」
「シルケ以外の神か?」
「うむ。地球方面の管理者だ。たまに神っぽい事もしておる」
「俺をシルケに送った者か?」
「それはまた違うヤツだ。アレは処分された」
一方的に個人を攻撃し、同意も無く存在を移動させ、移動先の管理者に丸投げした。人で言う所の殺人、死体遺棄、不法投棄、不当契約等諸々の罪が俺に関する事で発生し、余罪もたんまりあって削除処分とされたそうだ。
「狩場翔よ、汝は其方の管理者にも不当な扱いを受けていたようだの?」
「知らぬ間に生殖不能にさせられてた。初めて来た日も、地上に着いたらギフトの確認をしろって空から落とされて、空中で確認してなきゃ死んでた」
「此方でも確認した。勿論この方面の管理者は処罰対象となり、現在拘禁されている。そこで、狩場翔に回答を求める」
「私、狩場翔は、今から行われる質問に対し、全て、嘘偽り無く回答する事を宣言する」
「察しが良いの」
「嘘ついてもバレそうだし」
「うむ、では始める」
物々しいが単純だ。女神から受けた恩と仇、会話の内容、その時の心境等の確認作業だった。
神様が何時も我々を見守って下さるならば、ログとして残ってるだろうし、それと照らし合わせて確認出来るだろうな。
「狩場翔よ、加害者から与えられたギフトを破棄するつもりはあるか?」
「代替品と替えてくれるなら破棄しても良い。破棄の仕方知らないが。ただ、今より使い勝手が悪くなるのは嫌だ」
「加害者が削除処分された場合、与えられたギフトは消滅する。何時失うか分からないより、使う前から解っている方が良いと思われるがの」
「代替品は無しって事か?」
「ギフトとは管理者の力の一端。管理者が変われば与える基準も変わ…暫し待て」
暫し待つ。座ってるだけなんだけどね。
『逃げる』が使えなくなると家からの移動はイゼッタに依存しなきゃならん。唯でさえ普段から頼りっきりなのだから何とか代替品を貰わないと真面に生きられんぞ…。
更に待つ。時間の感覚が無いのでどれだけ待ったか分からないが、漸くして声が帰って来た。
「加害者の刑が確定した。そちらの地域には新たな管理者が送られる事になる。狩場翔についてはギフトの代替品を授ける事が決定した」
「具体的に何を授けるのか聞かなくてはならないな」
目の前に半透明な画面が現れ、中には文字列が並んでいる。スワイプしてスクロール…出来た。沢山の中に《鑑定》や《魔法》の文字を見付けた。懐かしい、日本語だ。
「これは…スキルか?」
「そのようだの」
「ギフト『逃げる』は逃げる為の色々なスキルを纏めた物だ。空を飛んだり物を移動したり、一つのスキルでは賄いきれないぞ?」
「そうだの。破棄するギフトと同じ効果になるよう、スキルを選択すると良い」
何とも太っ腹だな。だが嘘はバレるだろうからギフトの時に使えた効果を思い出しながら正直に選んで行った。
「正直者は馬鹿を見るぞ?」
「それでもこれ、結構な数だよ?熟練度もほぼ最高値だし。こんなに覚えきれるかな…」
「ならば《スキル作成》を取得して作ってしまえば良い」
「それは欲張りだろ?逃げる前提が無いだけで貰い過ぎだし」
「逆に言えば、逃げる前提とやらが付けば何でも出来ると言えよう。ならば…」
0
お気に入りに追加
137
あなたにおすすめの小説
喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜
田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。
謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった!
異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?
地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。
冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
転生テイマー、異世界生活を楽しむ
さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる