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ぶちのめす!
しおりを挟むゴーラナイフは予備も含めて三本帯刀。ちゃんとテイカに研いでもらった。
服と鎧にコートも着込んだ。メイドに洗われて臭くない。ポケットには飛び道具二つ。
お弁当はイゼッタが干し肉を炙って叩いて柔らかくしたのを数枚と、此方もイゼッタ作の水筒にお茶を入れて、肩掛けカバンに詰め込んだ。
「カケル、準備よろし」
イゼッタも準備万端な様子で、俺におぶさり革ベルトで繋がれている。
今日は二人でゲビトをぶちのめす!
一昨日からずっと気になっていたのだ。彼奴等、何処に向かっていたのかと。
戦力はだいぶ削いだが主力は八人残ってる訳だし、仲間を増やされても、人の、特にランナー族の集落を襲われても困るのだ。ランナー族だってそんなに弱くは無いだろうが、殺られる前に殺るしかない。
昨日、武器を買えたら一人で行こうかと思っていたが、皆が抱き着いて離さないのでイゼッタが着いて来る事になった。
だが敢えて言おう、過剰戦力であると。
飛行砲台となった俺は昨日の場所へと飛び立った。
イゼッタの耐えられる速度で飛び、漸くして激闘の跡地に到着した。
死体は粗方野獣に食われたようで、ブフリム達の臭い袋や武器が散乱してる。小銭やアイテムを探してうろうろし、カバンが武器になる程度に重くなった。
「中々の稼ぎ」
「殆ど鉄貨だろうけどな」
ゲビトの居場所をギフトで探すと、一昨日向かっていた方向に進んでいるようで、体が引っ張られた。手下は要らないのか、行く先々で増やすのか、それとも自分達だけで充分なのか。何方にしてもやる事は変わらない。
森の上に上がり、追跡を開始したが進行方向の先に幾本もの煙が立ち上っているのが見える。
彼奴等に加熱調理の概念が無ければ集落が襲われているって事だな。
「カケル」
「急ぐぞ」
ちょっと早目に移動した。
煙の下は戦場だった。八対多数でボコボコにされている。勿論、ボコボコなのは八人では無い。
マッチョボディはどう言う訳か矢が刺さらない。魔法も何だか効いてないみたいだ。
「魔法で堅くなってるかも?」
「被害が出ないように殺れるか?」
「わかんない」
「上からより横からだな。以前森を斬ったみたいに。首を狙えば被害も少なかろう」
「そうする」
ごにょごにょと呪文を唱えている隙にゲビト達の横に回り、八つの円盤が敵の首目掛けて飛んで行った。
八本の血柱を上げて戦いが終わる。
やっぱ過剰戦力だった。俺も結構苦労したのになぁ…。
「大丈夫か!?」
「た、助かった!礼を言う」
「待てっ!貴様ら何者だ!?」
また貴様かー。
「見ての通り、通りすがりの強い奴らだ」
「後ろの女は確かに物凄いが貴様は何もしてないだろうが!」
「俺は一昨日頑張ったんだよ」
「変なヤツめ。とにかく礼はする。浮いてないで降りて来い!」
確かに見下すようで失礼だったな。降りて謝辞を受けよう。集落は入口付近が潰れたりしていたが殆どの家屋は無事だった。まあ時間の問題だったかも知れんがそこは言わぬが花。
「余計な手出しをした事を詫びた方が良いか?」
「否、正直助かった。矢が刺さらずジリ貧だったからな。俺はカヤンだ。この村で狩人をしている。長の所へ案内する」
「カケルだ」
「イゼッタだ」
真似んな。革ベルトを外して降ろしてやる。
謝辞を述べる村の戦士達を抜けて、カヤンの後を付いて行った。皆耳が隠れる帽子だか防具を着けているが、多分ランナー族だろうなー。
長の家はそれなりに大きい。寄り合い所とかにも使ってるのかな?
玄関前で待ってる間にそんな事を考えてると、暫くして入って良しと中に誘われた。
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