104 / 1,519
ダンジョンあるのか…
しおりを挟む新しい武器は手に入ったが、ナイフじゃこのデカいのを殺るのはキツイな。粘膜に刺さないと殺れなそう。デカいのの持ってる剣を奪えたら少しは捗るか?
デカいのの攻撃を避けながら残ったブフリムとゴーラを斬って行く。今度は少し慎重に、ナイフを奪うのを忘れない。
ゴーラとブフリムは全部殺した。吐き切ったし臭いにも慣れた。ナイフの替えもある。
それでも手詰まり感で一杯だ。デカいのは雑魚が消えて逆に伸び伸びしてるし、一人殺ったがまだ八人も居やがる。
「ここまでだな」
ふぅーっと息を吐き力を抜くと、デカい奴等はニヤニヤしながら寄って来た。俺を殺そうとしているのだろう、全く馬鹿な奴等よ。
デカいのが剣を振り上げようとした瞬間、俺は奴等の視界から消えた。
まあ、上空に居るだけなんですけれど。
武器の性能で負けた感があるし、そろそろ良い武器欲しいな。
デカいのから離れ、ボッチのゴーラを首チョンパして持ち帰った。
家に着いたら夜中だった。
「カケル様…、っ!誰にやられましたか!?」
ボロボロなのを見て血相を変えて飛んで来たテイカに獲物を渡し、とにかく風呂に入る。今の俺、臭いもん。
メイド二人に洗われて、湯上りの水が染み渡る…。
「カケル、大丈夫?」
「デカい群れに殴りかかったらゴーラよりデカいのが居てな。善戦虚しく敗走して来た」
「ゴーラより大きいとなると、デストロイヤーですか?」
「否、人の形してたので違うな。四ハーンくらいで剣持ったマッチョだ」
「ご主人様よ、それはゲビトかも知れん」
「知っているのか?」
「森のゲビトならフォレストゲビトだと思うが、人の形をしたモンスターだ」
もう少し声張って?
食事しながらゲビトの強さや恐ろしさを聞いた。
モンスターのみならず野獣も従えて大きな群れを作って他の群れや人の居る集落を襲うそうで、百匹程度じゃ小さい方なのだそうだ。
それでもソロで立ち向かって生還したのは驚かれた。
武器さえしっかりしてれば多分殺りきれたと思う。
「すまんが今夜はしないで寝たい。明日は街に武器を買いに行くよ」
その夜はテイカのおっぱいを吸った揉んだしただけで安らかに意識を失った。
今日はイゼッタと街に繰り出している。
何時もテイカはこの世の終わりみたいな顔で送ってくれるのだが、メイドと王女だけを残して行く訳にもいくまい。
日帰りだからカロさんちに厄介にもなれないしな。
サッと行って、買い物したらスっと帰るのだ。
ここの武器屋は何時来ても客が居ないな。どうやって生活してるのか?
「久しぶりだな小僧」
「今日はなんと、武器を買いに来たぞ」
「寝言は寝て言え。この間作ったばかりだろうが?」
「ああ、あれは素晴らしいな。今回は俺用のが欲しいんだ」
「お前ぇ、獲物は何使ってんだ?」
「ゴーラのナイフで粘ってたんだが、ゲビト?とか言うデカいマッチョを相手したら壊れちまった」
「そもそもお前ぇのランクで殺り合う相手じゃねえよ」
「一匹は殺ったぞ?まあそれで懲りたがな」
「…そこの長剣持ってみろ」
遂に俺もファンタジーな武器を持つ事になるのか…。言われるがままに安っぽい剣を持ってみるが、中々重くていらっしゃる。
素で重いのでは無く、バランスが悪いのだろうな。もしくは俺の持ち方か。
「ダメだな」
「ダメかー」
「この大鉈を持ってみろ」
ゴーラナイフより一回りデカくて厚みのある刃物を渡された。刃先が鋭くないので刺すには向いてないが重い刀身で叩き切るには向いてそうだ。刃も鋭く、焼いたハムを切りながら食えるな。
「これ良いな。バランス的に二つ欲しい所だ」
「そう言うだろうと思ったわ。だがそれ一本しか残っとらん」
「じゃあ新品で二本叩いてくれるか?」
「良いだろう。だが戦争用に材料を使っちまったから暫くは無理だな」
「ゴーラナイフなら売る程溜め込んでるが?」
「お前ぇ、ドラゴンを殺れるくせにそんなゴミ集めてどーすんだ?」
「そのゴミで殺ったんだ。どこで聞いたが知らんがレッサードラゴンだよ」
「全く呆れるぜ…。冒険者ならダンジョン行って金属鉱石くらい拾って来い!」
「ダンジョンあるのか…」
「カケル、ミスリル」
「ミスリルだ?お前ぇそんなモン何処で手に入れた!?」
イゼッタの言葉に秒で食い付いて来たな。それだけ入手し難いのか。
「他言無用を守れれば少しだけ持って来るぞ?」
「十ナリ持って来たらタダで作ってやるぞ?」
「明日か明後日にでも持って来るとしよう。純度については期待するなよ?」
ニヤリと笑うオッサンに、ニヤリと返し店を出た。
結局武器は買えなかったのでもう暫くはゴーラナイフの世話になろう。
雑貨屋で一ナリくらい入る布袋を十袋購入。更に料理におすすめの香辛料を数種類買い、袋に詰めてもらった。その後は露店の串焼きを頬張りながらお留守番へのお土産を買って帰路に着いた。
0
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説
白紙の冒険譚 ~パーティーに裏切られた底辺冒険者は魔界から逃げてきた最弱魔王と共に成り上がる~
草乃葉オウル
ファンタジー
誰もが自分の魔法を記した魔本を持っている世界。
無能の証明である『白紙の魔本』を持つ冒険者エンデは、生活のため報酬の良い魔境調査のパーティーに参加するも、そこで捨て駒のように扱われ命の危機に晒される。
死の直前、彼を助けたのは今にも命が尽きようかという竜だった。
竜は残った命を魔力に変えてエンデの魔本に呪文を記す。
ただ一つ、『白紙の魔本』を持つ魔王の少女を守ることを条件に……。
エンデは竜の魔法と意思を受け継ぎ、覇権を争う他の魔王や迫りくる勇者に立ち向かう。
やがて二人のもとには仲間が集まり、世界にとって見逃せない存在へと成長していく。
これは種族は違えど不遇の人生を送ってきた二人の空白を埋める物語!
※完結済みの自作『PASTEL POISON ~パーティに毒の池に沈められた男、Sランクモンスターに転生し魔王少女とダンジョンで暮らす~』に多くの新要素を加えストーリーを再構成したフルリメイク作品です。本編は最初からすべて新規書き下ろしなので、前作を知ってる人も知らない人も楽しめます!
レジェンドテイマー ~異世界に召喚されて勇者じゃないから棄てられたけど、絶対に元の世界に帰ると誓う男の物語~
裏影P
ファンタジー
【2022/9/1 一章二章大幅改稿しました。三章作成中です】
宝くじで一等十億円に当選した運河京太郎は、突然異世界に召喚されてしまう。
異世界に召喚された京太郎だったが、京太郎は既に百人以上召喚されているテイマーというクラスだったため、不要と判断されてかえされることになる。
元の世界に帰してくれると思っていた京太郎だったが、その先は死の危険が蔓延る異世界の森だった。
そこで出会った瀕死の蜘蛛の魔物と遭遇し、運よくテイムすることに成功する。
大精霊のウンディーネなど、個性溢れすぎる尖った魔物たちをテイムしていく京太郎だが、自分が元の世界に帰るときにテイムした魔物たちのことや、突然降って湧いた様な強大な力や、伝説級のスキルの存在に葛藤していく。
持っている力に振り回されぬよう、京太郎自身も力に負けない精神力を鍛えようと決意していき、絶対に元の世界に帰ることを胸に、テイマーとして異世界を生き延びていく。
※カクヨム・小説家になろうにて同時掲載中です。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
異世界帰りの【S級テイマー】、学校で噂の美少女達が全員【人外】だと気付く
虎戸リア
ファンタジー
過去のトラウマで女性が苦手となった陰キャ男子――石瀬一里<せきせ・いちり>、高校二年生。
彼はひょんな事から異世界に転移し、ビーストテイマーの≪ギフト≫を女神から授かった。そして勇者パーティに同行し、長い旅の末、魔王を討ち滅ぼしたのだ。
現代日本に戻ってきた一里は、憂鬱になりながらも再び高校生活を送りはじめたのだが……S級テイマーであった彼はとある事に気付いてしまう。
転校生でオタクに厳しい系ギャルな犬崎紫苑<けんざきしおん>も、
後輩で陰キャなのを小馬鹿にしてくる稲荷川咲妃<いなりがわさき>も、
幼馴染みでいつも上から目線の山月琥乃美<さんげつこのみ>も、
そして男性全てを見下す生徒会長の竜韻寺レイラ<りゅういんじれいら>も、
皆、人外である事に――。
これは対人は苦手だが人外の扱いはS級の、陰キャとそれを取り巻く人外美少女達の物語だ。
・ハーレム
・ハッピーエンド
・微シリアス
*主人公がテイムなどのスキルで、ヒロインを洗脳、服従させるといった展開や描写は一切ありません。ご安心を。
*ヒロイン達は基本的に、みんな最初は感じ悪いです()
カクヨム、なろうにも投稿しております
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる