69 / 1,519
客だぞー
しおりを挟むイゼッタは三日目。お茶の効果か、動いてる方が楽なのか、それともお留守番が嫌なだけかも知れんが三人で街にやって来た。
「ここが泥棒猫のハウスね」
ギルドだよ。
ギルドの受付に昨日の二人のギルド証を提出し、状況報告。何事も無く解放された。
因みに女二人の死体は穴を掘って埋めた。他のは茂みにポイ。
買取カウンターで皮八枚売り払った。作る手間を考えると買った方が早いからな。
荷物が軽くなったので武器屋に寄る。
「客だぞー」
「客なの」
「いらっしゃいました」
「うちの客に女連れなんて居らんぞ」
両手にハンマー持ってやって来た。
「おお、小僧か!」
ハンマー振り翳すな危ない。イゼッタ押すな!テイカはナイフで迎撃するな!!
ハンマーとナイフがガチンとぶつかった。勿論テイカの負け。ゴーラナイフ折れちゃったよ。
「カケル様から頂いたナイフががが…」
「程度は多少良かったが所詮は鋳潰す素材よ」
「カケル様がー!」
俺は折れてない。
「親父、コイツのナイフを見繕ってくれ、料理にも戦闘にも使える感じでな」
「承った。それより鋸だ、逆にしただけであんなに楽になるとはな!」
泣いてるテイカを撫でてあやして慰めて、親父が持って来た鋸を手渡してやる。
「これは俺がテイカの為に作らせた鋸だ。貰ってくれるな?」
俺も使いたかったけど。
「いっぢょうだびじぃじばじゅー」
よしよしよしよし、よーしよしよし。
女泣かせな親父に皮屋を聞いたら防具屋を紹介された。大工道具が武器屋で買える世界ならそれもまたあり、か。
「私のは?」
イゼッタのナイフも依頼したよもう!
防具屋の店主は見た目メイン盾自称アーチャーの、元冒険者の女だ。
「また来たー」
「あらイゼッタちゃんお久しー」
仲も良さそうだし革帯に関してはイゼッタに丸投げしてしまおう。
雑談しながら革帯からハーネスの話になり、だったら俺用の革鎧を作って、それにベルト通しを付ければ良いんじゃね?って話になって行った。
だがそれだと俺がマント着けられなくて寒くね?
男は我慢…だと…。解せぬ。
で、採寸。
最後に強度だけは一箇所でもテイカ二人分以上と、かなり強めに注文して商談を終えた。加速して取れたら死んでしまうからな。
オーダーメイドなので高い。ミスリル貨十五枚だって。先払いして接続パーツの類はまけさせた。出来上がったらギルドに知らせとくそうな。
時間は夕方。お茶と食材を買ってサミイの家に寄った。店仕舞いの途中だったのでテイカと俺でお手伝い。イゼッタにはお茶を沸かしてもらった。
「旦那さま、もっと一杯来てくれても良いんですよ?」
「一昨日からイゼッタが生理でな、わたわたしてたんだ」
「それでこのお茶ですかー」
「知ってたか」
「わたしは軽めなのですけど、ママが重いみたいなので毎月では無いですが飲んでますね」
「サミイは冒険者みたいに避妊魔法を受けてたりするのか?」
「わたしに限らず一般人はほぼしませんねー。ママも弟欲しいって言ってますし」
跡取り息子は欲しいだろうなぁ。
「じゃあサミイは俺の子を孕む可能性があるのか…」
「ありますね。嫌…ですか?」
「私が先!」
「だ、そうだ。所でサミイ、女の司祭が居る街って知らないか?」
「嫁にするのですか?」
「良い提案だが家を広くしなきゃな。イゼッタに避妊魔法が掛けられてる可能性があるので調べたいんだ」
「なるほど。地図を持って来ますね!」
階段を上がって暫くして、地図らしき物を持って降りてきた。テーブル一杯に巻物を広げると、戦国時代の古地図レベルの地図が描かれていた。地図よりも芸術品に見えるし羊皮紙って初めて見た。
「ここがバルタリンドで…、この辺りにメルタールの街があります。確かこの街だと思うんですが…、うろ覚えでごめんなさい」
「気にすんな」
地図を見る限りだとちと遠いな。黒っぽい森の手前の森がこれだとして、ここからだと倍は離れてる。
「何時頃行かれますか?」
「直ぐにでは無いが早目に行ってみたいな」
「お供します!」
「だが断る。と言うか時間が掛かり過ぎて連れて行けないんだ」
ハーネスが完成しても腹に一人背中に二人はキツい。マント着けられなくて寒いだろうし。
「待つのも妻の勤め」
お前はお留守番させようとすると泣くだろが。
良い事言った感を間に受けたサミイは納得してしまった。素直な良い子だ。
「夕飯が出来ましたのでお持ちします」
テイカの夕飯を食べて、サミイをたっぷり甘やかして帰宅した。
0
お気に入りに追加
137
あなたにおすすめの小説
喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜
田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。
謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった!
異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?
地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。
冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
最弱ユニークギフト所持者の僕が最強のダンジョン探索者になるまでのお話
亘善
ファンタジー
【点滴穿石】という四字熟語ユニークギフト持ちの龍泉麟瞳は、Aランクダンジョンの攻略を失敗した後にパーティを追放されてしまう。地元の岡山に戻った麟瞳は新たに【幸運】のスキルを得て、家族や周りの人達に支えられながら少しずつ成長していく。夢はSランク探索者になること。これは、夢を叶えるために日々努力を続ける龍泉麟瞳のお話である。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる