上 下
54 / 1,519

目地剤が必要

しおりを挟む


 夜と朝とにたっぷり種蒔きし、清々しい朝を迎えた俺達三人、朝食の生干し肉の炙りを食いながら今日の予定を話し合う。
新しい岩を見付けたのでイゼッタと俺は石切りに、テイカは家事と、家の周りの草毟りをする事にした。

食後、俺とイゼッタは島の反対側にある岩に飛んだ。この岩は下に伸びてそうなので横向きにスライスしてもらう。
先ずは要らない上の部分。指先から放たれた風の鋸が音を起てて岩を削り切って行く。
そのままだと途中で割れてしまうので楔を打って補強しながらの作業だ。
十数分程で硬そうな岩を切ってしまった。威力上がってるなー。
切れた岩を押し出して、楔を回収して使う為の石を切り出す。後一枚なのですぐに終わってしまった。イゼッタと岩をピストンで輸送した。残った岩は階段にするかな。

 切り出して来た石板六枚は床板にする予定なのだが、防水対策が今一湧いて来ない。
普通に敷き詰めても隙間から水が零れるのは明らかだ。地球ならコーキングで解決なのだがシルケにその辺の概念があるのかどうか。石板を前に胡座をかき思案に耽る。

「召し上がりますか?」

目の前に上着を脱いだテイカのたわわがたゆんたゆん。俺はおっぱい舐めたら知識が湧き出るスキルなど持ち合わせて無いのだが、取り敢えず先っぽを口に含む。ほんのり塩気を含む柔らかな舌触りとテイカの香りに心満たされる。

水が零れてから排水まではそう時間は掛からない。正味一分程持てば良い。しっかり組み上げられるのならば木製…、確実にカビが生えるだろうからやはり木製は無い。やはりコーキングか…。

「テイカ、水に強くてカビない素材ってあるか?」

「カビないのでしたら目の前の石ですが、それは望む答えではありませんよね?」

「ああ、石板を貼り合わせて床にすると隙間から水漏れするだろう?」

「目地剤が必要ですね」

「知って居るのかテイカ」

「船の製造に使うと聞いた事がありますので耐水性は問題無いかと」

「海の街だったな、そう言えば」

「お風呂も小さな船と考えれば応用可能かと思います」

昔は船に湯を入れて風呂にしたと言うし、中々の情報を得たぞ。

「テイカのおっぱいは舐ると知識の湧き出る奇跡のおっぱいだな」

「お役に立てて嬉しいです。もっと吸って下さい」

イゼッタがジト目で見てるけど気にしない。無心でご褒美チューチューした。幸せ。

昼飯は糖の実の出涸らし二つの乗ったソーサーだった。イゼッタめ、ご褒美ですぞ?
イゼッタを見ながら厭らしい音を立てて双丘にむしゃぶり付くと赤くなってモジモジしだした。寂しかったのだな。

「来いよイゼッタ」

イゼッタの双丘にもむしゃぶり付いた。
昼を過ぎ、摂取より消費カロリーの高い食事を終えて、午後は三人街に来た。
ギルドで船作りや目地剤、目止め剤に詳しい店を聞いてみると、造船所を教えてくれた。が、

「生憎当社では個人取引は致しておりません。国が管理する秘匿情報ですので情報の提供もお断りさせて頂いております」

だと。軍事機密と言われたら二の句が無い。

「因みに、どの様なご要件でお取引されようと思われましたか?」

「家に風呂を作ろうと思ったのだが、木造なので床の防水対策をしないと腐ってしまうんだ。浴槽もだ。普通貴族が使ってる…あれ」

「焼き物」

「そう、焼き物は手に入れられないのでこれも木造にする予定なのだが、耐水加工すれば長持ちするだろう」

「ほう…」

オシャレに聰い受付嬢の目が変わった。

「言っておくが、風呂は下手な家だと床が抜けるくらい重いぞ?」

オシャレに聰い受付嬢の目が戻った。

「船員の福利厚生についてなんて俺は知らんが船に貴族が乗りました、何て時はあると有難いだろうな」

「浴槽運ぶ貴族も居る程」

「水魔法とお高い属性魔石で風呂に入れるなら船旅が楽しくなるな」

「詳しくお聞きしても…?」

簡単に概要を説明しただけだが相手は商船を作れる会社だ。浴槽を作るなど造作もないだろうな。
上の者と繋ぐと言われ暫く待っていると部屋に通された。ナイスミドルな髭に良い身形、コイツ貴族か?

「はじめまして、わたくしハイネルマール商船会社の代表を務めておりますハイネルマール家次男、グラウン・ハイネルマールと申します」

ここは俺の出番じゃないな。イゼッタを前に、俺は後ろに。

「御丁寧な挨拶痛み入ります。私はナーバーグ家三女、イゼッタ・シンプロン・ナーバーグと申します」

「ナーバーグ…大陸を移られたのですか?」

「あちらには敵が多過ぎまして、逃げ落ちた次第です」

貴族同士の会話は続く…。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~

月見酒
ファンタジー
 俺の名前は鬼瓦仁(おにがわらじん)。どこにでもある普通の家庭で育ち、漫画、アニメ、ゲームが大好きな会社員。今年で32歳の俺は交通事故で死んだ。  そして気がつくと白い空間に居た。そこで創造の女神と名乗る女を怒らせてしまうが、どうにか幾つかのスキルを貰う事に成功した。  しかし転生した場所は高原でも野原でも森の中でもなく、なにも無い荒野のど真ん中に異世界転生していた。 「ここはどこだよ!」  夢であった異世界転生。無双してハーレム作って大富豪になって一生遊んで暮らせる!って思っていたのに荒野にとばされる始末。  あげくにステータスを見ると魔力は皆無。  仕方なくアイテムボックスを探ると入っていたのは何故か石ころだけ。 「え、なに、俺の所持品石ころだけなの? てか、なんで石ころ?」  それどころか、創造の女神ののせいで武器すら持てない始末。もうこれ詰んでね?最初からゲームオーバーじゃね?  それから五年後。  どうにか化物たちが群雄割拠する無人島から脱出することに成功した俺だったが、空腹で倒れてしまったところを一人の少女に助けてもらう。  魔力無し、チート能力無し、武器も使えない、だけど最強!!!  見た目は青年、中身はおっさんの自由気ままな物語が今、始まる! 「いや、俺はあの最低女神に直で文句を言いたいだけなんだが……」 ================================  月見酒です。  正直、タイトルがこれだ!ってのが思い付きません。なにか良いのがあれば感想に下さい。

異世界ハーレム漫遊記

けんもも
ファンタジー
ある日、突然異世界に紛れ込んだ主人公。 異世界の知識が何もないまま、最初に出会った、兎族の美少女と旅をし、成長しながら、異世界転移物のお約束、主人公のチート能力によって、これまたお約束の、ハーレム状態になりながら、転生した異世界の謎を解明していきます。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

第三王子に転生したけど、その国は滅亡直後だった

秋空碧
ファンタジー
人格の九割は、脳によって形作られているという。だが、裏を返せば、残りの一割は肉体とは別に存在することになる この世界に輪廻転生があるとして、人が前世の記憶を持っていないのは――

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

処理中です...