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トイレの蟹様
しおりを挟む朝起きて、トイレのチェックは欠かせない。夜は見えないからな。
タマゲル三つは健在。蟹もそれ程増えてない。臭いは土の匂いしかしないので大丈夫だろう。
仲良くやってくれていて嬉しいぞ。
この島の中だけで言えば、蟹だけでも屎尿処理は出来そうだな。水が苦手なので多少湿っている程度の環境がお好みの様子。
逆にタマゲルは水に強いらしい。下水道に放して清掃をさせて、増え過ぎたら間引きされるのだとか。
「カケル様、いらっしゃいますか?」
「居るぞ、どうした?」
「もしかして、…なさってます?」
「チェックしてるだけだ。テイカはなさりたいのか?」
「はい。出来れば」
「良し、入れ」
ドアを開けて中へ入れてやる。テイカも理解したようで、中でズボンとパンツを脱いでしゃがむ。
「どうぞ、ご覧下さい」
両手で大きく開いて大小吐き出して行く。
オイニーキツイー。
ボトボトシャシャーっとタマゲル達に降り注ぐのをじっと見てる俺はふと気付く。
「お前拭く物は?」
「あ!……カケル様ぁ…」
葉っぱ取りに行って来ましたよ。
匂いの籠る個室の中で二人しゃがんで観察中。
蟹もタマゲルも仲良くうんこ食ってるな。
蟹はツマツマ、タマゲルは表面から吸収する感じ。
「食ってる食ってる」
「恥ずかしいです…」
屎尿処理は完璧だ。臭いは換気のせいで散ってるのかも知れん。
家の中に作るなら換気をしっかりしなくてはいけないな。
「屋内トイレは換気が必要な気がする」
「是非ともお願いします」
「蟹にも頑張って貰う」
「是非も有りません…」
トイレの構想は決まったな。
「カケルー居るー?」
「居るぞ、どうした?」
「トイレするー」
「良し、入れ」
テイカを解放し、イゼッタの健康チェックと蟹達の観察をした。
「恥ずかしい」
「蟹の有用性を確認して欲しかったんだ」
「仕方ないの…」
朝食後、屋内トイレの作成に取り掛かる。場所はキッチンの横、干し肉を作ってるテントの部屋だ。ここには風呂も付ける。
先ずはドアの大きさを確認し、補強材の角材を用意する。この部屋には二つドアが付くので補強しないと壁が崩れるのだ。鎹を打ち込み角材を嵌めてドアを取り付ける。風呂側のドアが付く場所にも鎹を打っておく。
次は壁作りだ。墨で線を引いてその上に壁を建てて行くのだが、普通に組むと倒れてしまうので、丸太の前後と山型に、外壁と内壁はV型に溝を彫って貰った。
「これじゃ長過ぎ。嵌らない」
「大丈夫だ、問題無い」
斜めにして嵌め込めばすっぽり収まった。
「な?」
「おおー」
一度外して、隙間が出来ないように底面を平らに削って貰った。
次の段からは底面に溝を足してもらう。此方側の壁は天井付近迄真っ直ぐなのでギリギリ迄壁を伸ばし、最後は鎹を打ち込んで壁の完成だ。
次は床に穴を開けるのだが先ずは補強。床の隙間から墨を垂らし目印に、床下に降りて補強箇所の確認をする。横木が邪魔してなくてとても助かる。これなら補強は要らなそうだ。
穴を掘る位置を軽く足で円を描き、上に戻って床を四角く切り落とした。
角材と板で浅い箱、と言うか簀子に近い物を作る。穴の位置に床を貫く長さの木枠を嵌めて、汚れてもここだけ交換すれば良い感じにした。
テイカの作った昼飯を食べて、休憩したら床下に穴を掘る。イゼッタの風魔法で土を柔らかくして貰い、掘る。二ハーン掘った。疲れた。
俺が疲れている為、女子二人が囲いを作った。
長さを測った角材に、足元に隙間を作って板を張り、コの字にしたら穴の位置に設置、最後にコを閉じるように板張りし、囲いの完成だ。下の隙間から蟹が入れば屎尿処理してくれる筈。
探すと居ないんだよな、蟹。
蟹が入る迄はうんこし難いので野菜クズや生皮を入れて大漁祈願する。
「トイレの蟹様、起こし下さい」
「処理出来るギリギリで希望」
「タマゲルが増えて入っておりますように…」
三者三様な祈りを捧げ、トイレの完成となった。
明日も朝一でチェックせねば!
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