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 翌日は俺の方が先に目覚めたが、目を開けると蟹だらけだった。飾ってある干し肉に二センチ程の蟹がくっ付いてツマツマしてる。よく見る横に歩く奴ではなくて、体の丸い前進できるタイプの奴だ。塩分過剰にならないか心配になるな。
天井だけでなく床にも、毛布の中にまで。食べられなくて良かったぜ…。

その内イゼッタも目覚めたようで、多過ぎる客にドン引きしている。
慎重に靴を履き、摺り足でテントの外へ出てみると、湖に蟹が群がってた。群れは森の中から来ているようで、俺達のテントは往復の途中にある障害物兼レストランと言った所か。
テントの外に出てたゴーラの皮や骨もツマツマされていた。そっちは一杯お食べ。

「何、これ」

「産卵時期なんじゃないか?」

「…なるほど」

テントの中の蟹に退去して頂き、蟹の食べ残した干し肉を炙って朝食に。炙った方が美味いぞ蟹共よ。


 蟹を踏むのは嫌なので、建築現場に飛んで行く。イゼッタが風魔法で蟹共を優しく吹き散らしてくれたので作業再開。残り半分程度で敷き詰め完了だ。頑張ろう。
丸太を乗せて、押して、削って、みっちり嵌め込む。

乗せて、押して、削って、嵌め込む。
乗せて、押して、削ってる間に休んで、嵌め込む。

筋肉を酷使した後一日休むと超回復すると言うが、ほんの少し体力的に楽な気がする。作業に慣れたからか?丸太が乾燥したからか?
何と日が高いうちに終わらせてしまった。

「やっと床になった…」

「良かったね。凸凹だけど」

「削って平らにするんだ。頼むぞ」

「任せて」

風魔法のグラインダーで器用に表面を削ってく。所々丸太同士に隙間が空いているが、これは後で何とかしよう。

「魔力消耗」

やり切った顔をしたイゼッタを撫で回し、休んでる間に森とテントを往復し、木の実などを取ってくる。高床の上に毛布を敷いて昼食にした。


 殻のコップに水と灰を練り混ぜ墨を作ったら、土台の位置を確認し、蔦を張った直線をスケールに線を描いていく。外周を描いたら十字に描いて、ここに壁が出来る訳だ。

今日はここにテントを建てるので建築作業はこれまで。明日以降使う予定の木をイゼッタに伐採、枝払いしてもらう。
俺は荷物と木材の移動と新テントの作成だ。

 荷物を纏めて移動して、薪を抱えて移動して、砂と石を背負子に乗せて…移動…して…。肩抉れそう。
伐採で払った枝を棒に加工して、蔦でテント型に縛る。縛る。横棒付けてとにかく縛る。生の葉っぱを刺しまくる。中に入って飛び出た枝を切り、毛布を敷いて完成!

床に直火はしたくないので切り株を切りだし、中を抉って砂と石入れて竈完成。イゼッタ作。
竈と言うか囲炉裏と言うか、火鉢と言うか…、臼?とにかく火が使える。

火起こしはイゼッタに任せて材木を移動しよう。
あ、これはダメな奴だ。竈の前にいるイゼッタに仔犬の視線を向けると優しい笑顔を返してくれる。

「ご飯作るから頑張って」

頑張らざるを得ない!軽いのだけでも纏めとくっ!
…途中で力尽きました。
丸太に抱かれてる所を引っ張り出してもらい、今湖に肩まで浸かってます。皮膚から水分吸収してる感。

 新テントに戻ると食事が出来ていた。
干し肉の炙りとソーサー。
鍋の中に貼り付けて焼いたのだと。中に山葡萄もどきが刻んで入ってる。焼けた山葡萄もどきは薩摩芋の味に似てる。甘くて美味い。

「料理上手いのな」

「カケルと会って覚えた」

「それまでは…する必要無いか」

「知識はあった。実践はしなかったけど…美味しいの、食べて欲しいから」

あ、キュンとした。心臓痛い。
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