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買取不可
しおりを挟む「買取不可」
「買取不可!?なんで?」
ギルドにて俺が吠える。注目を集めるが気にならん。折角取ってきたスキンクテール二千六百六十八本、全て買取不可とされたのだ。
「一つ目に貴方方は依頼を受けておりません。二つ目に量が多過ぎます。三つ目にランクが足りてません。四つ目に信用が有りません。以上四点の理由で買取不可とします。ご苦労様でした」
ここではこう言う感じなのか…。来て損したな。
「解った。外に行って燃やそう」
「肉も焼く?」
「露店で串焼き買って食いながら焼くか」
燃料をカバンに詰め直し外へ出るとメルゲル一行と鉢合わせた。
「お前達は昨日の」
「ああ、昨日ぶり。そしてさらばだ」
「何処か行くのか?」
「信用が無くても買い取ってくれる街にな」
「これ」
イゼッタはカバンから蜥蜴の尻尾を握って出した。
「スキンクテールか。それにしても取るに取ったな」
「ざっと百万くらいな」
「でも買取不可」
「おい!フリオだろ!買取不可なんてやらかす馬鹿は!!」
中々の威圧だ。イゼッタはビックリして俺の陰に隠れてしまった。
「ひっ!メル…ゲル…さまぁ」
「お前達、すまんがちょっと顔貸してくれ」
「男が頭を垂れるなら聞かない訳にいくまい」
「話が解るな。付いて来てくれ」
メルゲルはフリオの襟首をひっ捕まえて、一行と階段を上がって行った。俺達も続こう。
ギルドの三階は関係者専用だが構わず進んで行き、ノックも無しに一番奥の部屋のドアを開けた。
「兄貴!」
「煩い!」
「フリオの馬鹿が馬鹿なんだ!」
「お前もな!一から説明しろ!」
俺達二人、メルゲルの兄の前に立たされ説明する。主にイゼッタが。交渉スキル持ってるんだったな、忘れてたけど。
「フリオ…」
「は、はい…」
「馬鹿者!」
「やっぱりフリオは馬鹿だろ!」
「お前は黙ってろ!」
これから説教タイムが始まる訳なんだが、俺達ここに居たくないんだけど…。皆立ちっぱなしで足痛いよ…。イゼッタ寄りかかるな。
フリオの馬鹿が泣いて土下座してメルゲルの兄に詫びていた。先ずは俺達に詫びるもんじゃねーの?
「カケルと言ったか、馬鹿が済まなかった。買い取りはしっかり「待ちなよ」何?」
「俺達はこの馬鹿から詫びもクソもしてもらって無いんだが?」
「ご…ごべんだざい…」
「冒険者は命張って食ってんだよ。それを無しにする事がどう言う事か判ってるのか?」
「……」
「お前は俺達を殺そうとしたんだよ。食い扶持を亡くす事に依ってな」
「…そんな」
「だからこそ、その人がお前を叱り、下げる必要無い頭を下げたんだ。メルゲルもな」
「あ….あぁぁ…」
「殺されても文句言えんよな?」
「すっ!すみません!すみませんでしたぁぁぁ!」
「買取額三倍」
「ひっ!」
「優しいなイゼッタは」
撫でてやろう。メルゲルの兄も渋い顔で頷いている。
「これで手打ちにする。良いかな?」
メルゲル兄弟の同意を得られたので一階に戻り、三倍価格で買い取らせた。しめて三百二十万千六百ヤン也。
因みに、金貨十枚でミスリル貨となり、ミスリル貨百枚で王金貨となるが王族しか使えないそうだ。これ家買う時どーすんの?って思ってたらギルド証や身分証に貯めた額を増減させるだけとイゼッタ先生が教えてくれた。
その晩は酒場でメルゲル一行に酒を振舞った。ほんの感謝の気持ちだ。
俺も飲んだしイゼッタも飲んだ。飲むなよ…。メルゲルの兄とフリオも来て飲んだ。
朝起きると宿屋のベッドの上で寝てた。
裸のイゼッタを布団にして。酔い醒ましにお乳飲もう…。
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