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俺はフツメン
しおりを挟む朝、目覚めるとイゼッタがキスしてた。顔を赤くして逃げ出そうとしたがクラッチして逃さん。
「寝込みを襲うとはエロいヤツめ」
「朝はムラムラする…と聞いた」
「もっとしろよ。したかったんだろ?」
「嫌いにならない?」
「好きだと思ってたか?」
泣きそうな顔すんなよ。抱き締めて頭を撫でくり回す。
「性欲はあるんだし女好きだとは思うんだよ。けど昔嫌な事があってな、奥手になっちまった。何よりご覧のブ男だしな」
「顔は普通」
シルケ人にとって俺はフツメンなようだ。良かった。
その後、嫌がるイゼッタと無理矢理チュッチュして飯を食い、テントをバラして移動の支度。
「汚された…」
「街に着いたら風呂に入って洗い流せ」
「責任取るべき」
「そんな事言うと飛んでる間ずっとキスすんぞ」
「望む所」
二人抱き合い大空高く飛び上がった。
海の上を飛び続ける事数時間、ヒズラー大陸が見えて来た。体感的にはキネイアッセン大陸の方が近い感じがするが、寝ていたからか?それとも高度と自転の関係か?
「ここからだとウラシュ島はどの方角かな」
「んー、遠くてわかんない。地図無いし」
「何とかするしかないか。速度を上げるぞ」
ギフトに指示して回答を得るしか無いか。
(ウラシュ島から一番遠い、且つ大きい街へ加速して移動)
移動のGが強まった。どうやら指示は上手く行ったようだ。イゼッタは速度がキツい様でガッチリ密着している。街に着いたら移動用のハーネスを作っても良いかも知れない。また金策だな。
それから暫く森の上を飛び続けているとゆっくりと減速して行くのが解る。イゼッタも街を発見したようだ。その場でクリープさせて胡座をかいて直立になると、自然と対面座位の格好になる。
辺りを見回すと、街には港があり大型の帆船が数多く浮かんでいた。それから街道があって周りは拓けて畑が敷き詰められ、その外は鬱蒼とした森。
前の街とそう変わらんな。
「この大陸って、メルタル大陸の金は使えるのか?」
「ギルドに行って確認するのが手っ取り早い」
「便利だなギルド」
「何処に降りる?」
「拓けた所は論外だしなー」
「森一択?」
「そうなるわな」
一度十キロ程離れ、森の高さギリギリに下降してから再び街を目指す。
「暫く進んだら地面を歩くぞ」
「おっぱい名残惜しい?」
「今すぐ吸って揉んでしたいくらいには」
「お風呂が先なの」
人気の無いのを確認し着陸したが蔦は解かない。
ここの野獣やモンスターがどんなのか判らないからだ。
「名残惜しいのね」
イゼッタが密着して頬擦りしてくるが違うのだ。
名残惜しくなど無いのだ。
背負いカバンから棒を取ってもらい、街に向かって進む。回避行動の指示は出してるので攻撃は喰らわないだろう、多分きっと。
「あそこにいる熊っぽい奴は野獣か?」
「熊?」
「あの茶色いのだ」
「…ブラックデストロイヤー」
かっこいい名前だなまた。茶色いのにブラックなのは謎だが。
「強いの「強いです」…そうか」
ブラックデストロイヤーが獲物を見る目で此方を伺っている。
「フッ!フッ!フッ!」
興奮しているな。迂回してやり過ご…せないな。走って来たよ。
「目を瞑ってろ」
「あい!」
立ち上がると五メートルはある茶色い熊だが、スキルのせいで俺は全然怖くない。
振りかぶり振り降ろされる右手を躱し、その手を軽く棒で叩く。更に眉間を軽く小突く。
急所に軽い衝撃を受けて落ち着いた熊は四足に戻り警戒している。こちらはその隙に横に回りこみ、ゆっくり距離を離して行く。
どうやら上手くやり過ごせたようだ。
「生き延びたぞ」
「強い…」
「能力は俺よりお前の方が遥かに高いがな」
「レベルを聞いても?」
「声を出すなよ?俺のレベルは、二だ」
「んんーっ!」
だろうと思ってキスで塞いだ。
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