女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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全部見せろとは言ってない

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名前 イゼッタ・シンプロン・ナーバーグ
種族 ヒューマン
年齢 14
職業 元貴族 ナーバーグ伯爵家三女
レベル 14

HP 72/72
MP 146/146
体力 36 
精神力 73
賢さ 87
素早さ 31
運 19

スキル 元素魔法 水(2) 風(3) 光(1) 言語(8) 剣術(1) 交渉術(3) 舞踏(3) 音楽(2) 乗馬(1) 
ギフト なし
称号 元伯爵令嬢 逃亡者

所持品 上着(E) 肌着(E) 下着上(E) 下着下(E) スカート(E) 靴下(E) 靴下留め(E) 革靴(E) ネックレス(E)
皮袋

銀貨×11 金貨×10


「嘘吐き」

「ごめんなさい」

「全部見せろとは言ってない。何故見せた?」

「ごめんなさい…」

「俺よりステータス高い癖に、俺に集るつもりだったのか」

「そんな事ない!」

「はぁ~~~…。まぁ良いや。自分の服は自分で買えよ?」

「はい…」

「で、これからどーすんの?どうしたいの?」

「どうって?」

「逃げ続けるのか、帰って敵討ちでもするのか。お前の居た街は山二つと砂漠を越えた所だろ?追手が来ないとも限らんじゃないか」

「うん…」

「で?」

「家族はもう…、居ないと思う。逃げなきゃ駄目…だと思う」

「そうか」

「一緒に…お願い」

「……明日の行動予定を変更する。忘れていたがギルドでの話し合いもあったしな。ギルドで話し合いをした後装備を整え街を出る。良いな?」

「何処、行くの?」

「追手の来ない所さ」

良い街だったのにな。まあ、俺のギフトには丁度良いお荷物か。話を切りあげ部屋に戻った。何故さっきは開かなかったのだろうか?


 憂鬱な気分で朝を迎えた。ガチャガチャと部屋を横切る音がやけに煩く聞こえる。
ギルドに行くのが億劫でならないが飯を食って出て行こう。
装備を整え外に出るとイゼッタが待っていた。

「待ち伏せか?」

「うん」

「飯に行くぞ」

「うん!」

 今日から別払いの朝食だ。スープと煮物とソーサー食ってすぐにギルドに向かう。料理の味は分からなかった。

「おはようございますカケルさん、イゼッタさん」

ギルドに入ると忙しい時間帯であるにも関わらず待っていたであろう登録の人が居た。
促されるままに個室に向かうと、部屋には先客が居た。白髪混じりの角刈りと髭の筋肉だ。
ソファに座りこちらを見つめている。

「お前がカケルか。んで其方がナーバー…イゼッタ嬢か」

頷いてソファの対面に座る。イゼッタも座らせる。

「俺はこいつの話に興味無い。忙しくなるからとっとと始めてくれ」

不快な顔をした男が話を始める。ギルドの調査に依ると、クーデターによりナーバーグ家は滅んだそうだ。犯人は政敵の何れかとしか分からず、追手を差し向けられる可能性も捨て切れない、と。

イゼッタは終始俯いていた。
だが敵討ちについてはキッパリ断った。

「もう話は終わったか?」

「お前はどうするんだ」

「逃げるさ。おまけを連れてな」

「お前程度すぐ捕まる」

「行動を起こさないのはクズだ。行くぞイゼッタ」

「はい!」

「待て!」

「逃げる準備で忙しいんだが?」

「何処へ逃げる?」

「口を割るかも知れん相手に話すか?」

「俺はギルドマスターだぞ!」

「そのうち金を引き出す。それで察しろ。じゃあな」

今だ混み合うギルドに別れを告げ、雑貨屋の婆さんの店に向かう。
婆さんにイゼッタの上着とズボンとカバンを見繕ってもらい、皮の上下と布製の肩掛けカバンを中古で買わせた。次は防具屋か。

俺が女連れで来た事でまたおかしくなったが、腕と脛当てを買わせる事が出来た。俺は革手袋を買った。五千ヤン也。
魔法の行使に杖があると捗るのだそうで、魔法道具屋を紹介してもらった。

成金趣味の豚が魔法道具屋の店主だったが買うのは辞めた。値段をぼってる訳では無かったが、イゼッタが嫌がったのだ。

最後に露店でイゼッタにマントを買わせ、以前買った昼飯を二人分俺が買って買い物を終えた。金が足りなそうだったのでギルドに戻り銀貨三十枚回収する。好きなだけ察してくれよギルマス。

「じゃあ、行こうか」

「うん」

草原に向けて歩を進めた。
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