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見ている!
しおりを挟む個室から出た俺達はその足で買取カウンターへ向かう。今日も美人な買い取り美人さん。
「カケルさん、こんにちは。その娘の買い取りですね」
鷹のような目をしながら辛辣なギャグを飛ばしてくれる。
「売るなら洗ってこなきゃな。それより今日も取ってきたよ」
背負いカバンを降ろし、カウンターにスケイルの実を乗せていく。
「行き倒れを拾ったおかげで量は少ないんだ」
「それは大変でしたね。こちらをどうぞ」
カウンターの下から籠を出してくれたのでそっちに入れていくと、肩掛けカバンの時と同じくらいに入ってた。確認作業の合間に鑑定のマニアの所へ。
「マニア、ちょっと良いか?」
「こんにちは。機材は買えましたか?」
「ああ、良い買い物だった。この瓶の中身を見てくれ、こいつをどう思う?」
背負いカバンから瓶を二つ取り出しカウンターに並べると、瓶を開け手を振って匂いを嗅ぐマニア。
「口に入れても?」
「大丈夫だ、問題無い」
蓋に着いた雫を手の甲に乗せペロる。
「!?この甘「口に出すな」」
「そ、そうですね。失礼しました」
しかしもう遅い。一昨日と同じく静かになってしまった。
見ている!見られている!瓶に矢印が向かっているのがわかる程に女子の視線が集まっている。
「二つとも同じ物だから鑑定代一回分で頼むぜ」
「まあそれくらいは。では鑑定しますね」
水晶球の前に瓶を置きスキルで鑑定を始めるマニア。葉書サイズの紙に取れたデータを書いている。
「終わりました。凄いですねこれ」
「どう凄いんだ?」
「先ず一つは、これを発見した事。次にこれの内容ですね。これを見てください」
書き留めた紙を見せてくれた。なになに…。
名前 ドラゴンスケイルの果液
ドラゴンスケイルの実に含まれる果汁と同じ成分。
ポーションの原料として使う場合実から果汁を搾る手間が省け質が向上する。
瓶一本で八個分の果汁と同量。
強い甘味がある為食用、アルコール精製に利用可能。
「ほう。瓶一つ四千したから最低価格で一万二千って所か」
「欲が無いですね。手間と向上分でキリよく八は上げましょうよ」
「それで買い取「買いましょう!」」
横に居た買い取り美人さんが手にジャラリとした袋を持って割って入る。あなたが買うのか?
男二人、何も言えず、差し出すしか無かった。しめて4万ヤン也。
「スケイルの実の確認も終わりましたのでこちらへどうぞ」
にこやかな笑顔で瓶を握る美人さん。笑顔のままの君で居て。
スケイルの実は全部で七十一個、七万千ヤン。計十一万千ヤン也。
機材で一万使ったので、鑑定代払って無いので十万五百ヤンの儲けだ。
忘れてた鑑定代を払って換金を済ませる。金貨十枚と銀貨十一枚になった。こんなに持つと怖いな。
「お金を持ち過ぎて不安になってる顔ですね」
「わかる?」
「ギルドに預けますか?出し入れはギルドでしかできませんが無料で出来ますし各都市のギルドで利用できますよ」
風呂だとか寝てる隙に取られる心配が減るのはとても有難いので金貨九枚預ける事にした。
預けた残高は登録した時に作ったギルド証に記載され、ギルドにて確認出来るそうだ。
「カケルぅ…」
イゼッタめ、腹減り過ぎて切なくなってるな?
先に飯にしてやるか。
飯に行くと告げてその場を後にした。
飯と言ったらここしか無い。
「女連れか、良い身分だな」
「二部屋頼む」
「やらんのか?」
「やらんよ」
二人分の六千ヤンを払って木札も二枚。何時もの花の木札と犬?の木札だ。
「ウォリスの木札はお前の手前の部屋だ」
二人で二階に上がる。
可愛い犬の木札を渡し、鍵の掛け方を教え、荷物を置きにいつもの部屋へ。
何故に着いてくるイゼッタよ。…ああ、荷物無かったね。
背負いカバンを置いてマントを脱いで肩掛けカバンにタオルを入れたら準備は完了。飯だ飯だ。
「食事の前に手を洗いたい」
「それは排泄的な意味か?」
「手を洗いたいの!」
お嬢様め。井戸に移動し、ついでにトイレも案内して今度こそ飯だ!
ジト目を向ける食堂のウェイトレスに二人で千ヤン支払って、水をちびちび今日の晩飯何だろなー?
夕飯は謎肉の塊の入った多分シチューと漬物っぽいのとソーサーだった。
シチューと思ったがスープと言われた。繊維解れる謎肉と赤いスープがよく合う。ウロの実入ってるか聞いたら沢山買えたから久しぶりに使ってみたと言う。俺のせいか…。
漬物っぽいのは葉物野菜を酢に漬けたような。ドイツに居そうな感じ?行った事無いけど。こってりした謎肉スープに酸味が映える。
イゼッタは始終無言で味わわれておられた。ワインはだめだぞ?お金掛かるから。
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