上 下
13 / 1,519

日に一万は稼ぎたい

しおりを挟む


 朝もはよから騒がしい。ガチャガチャ鳴らしながらドタドタ降りる音で目が覚めた。
冒険者は勤勉だな。だが一日最低五千ヤン必要なのだ。彼奴ら酒も飲むからもっと稼がないといかんのだろう。

俺も日に一万は稼ぎたい所存。飯食ってギルド行くとするか。
装備を整え食堂に降りて行くがガラガラだった。給仕のおばお姉さんによると、冒険者共は依頼を受けてから戻って飯を食うか、屋台で済ませるかするそうだ。
依頼は早い者勝ちだからそれも頷ける。俺は完全に出遅れてるので優雅に朝食を愉しむ。

 腹も脹れてギルドに行くがまだ混んでた。
今日も採取だけの予定だし、来なくても良かったかな?

「おはようございます、カケルさん」

横から急に女子に声を掛けられ冷静では居られない。女子に挨拶をされたのなんて小学生以来だからなっ。

「お、おは、おはようございます」

振り向くとそこに微笑む美人。買取カウンターのお姉さんでした。眩しい。

「依頼はもう確認なさいましたか?」

「いや、今来たばかりで「でしたらまたワタウリをお願いしてもよろしいですか」」

食い気味に来たな。ワタウリは実入り次第で旨味もあるし美人の依頼を断る事など出来よう筈が無い!


「種まき前で数が必要なのでお願いします。若い実も…できれば一つか二つ…」

「カバンいっぱい取れるよう頑張ってみるよ」

美人の前で長居すると良くない事が起こる気がしたのですぐに出ようとするが、駄目だった。

「お前ぇ見慣れねぇ顔だな、新入りか?ギルドのねーちゃんにちょっかいかけるなんざええ度胸してんじゃねぇか」

ガタイの良いハゲとローブの男、それに豚が凄んで来た。揃って使い込んだ汚らしい装備を着込んでる。

「こんな役得でもなきゃ朝っぱらからギルドに顔出したりしねーよ。お前らもちょっとは期待してんだろ?」

「………」

「………」

ウケた。大いにウケた。
周りに居た男衆がガハガハ笑ってる。
その内の数人がハゲ達に事の成りを説明すると、ハゲ達も笑いだした。

「ブヒヒ、お前ぇなかなかやるじゃねぇか」

豚よ、俺は何もしてないぞ。

「無駄に絡んで済まなかったな」

ローブにはウケなかったようだ。

「ああ、新入りとか言って悪かったな、嬢がナンパされてんのかと思っちまった」

「新入りなのは事実だから問題ないさ」

「死なねぇ程度に頑張れよ」

「死んだらギルド証拾いに来てくれ。じゃあ行ってくる!」

ケンカにならなくて本当に良かった。棒じゃ絶対勝ち目無いし。
スタコラサッサと逃げるように街の外へ駆け出した。


 畑ゾーンまでクリープ移動で走って来たが、農民も冒険者同業者も結構居て飛ぶ事ができない。
仕方ないので畑ゾーンを抜けてすぐ柵沿いに迂回した。
タマゲル可愛いよタマゲル。
柵にくっ付いてるタマゲルを拾っては草地に戻し、撫で揉みしながらの急ぎ足。足使ってないけど。
畑ゾーンの柵が無くなり草地を越えて低木生い茂る薮に入る。森まではもう少しって感じ。

まだ飛ぶ訳に行かないので薮漕ぎして行くと急に横Gに引っ張られた。
薮に紛れたブフリムが攻撃してきたようだ。薮に当たってはダメージにならんので、ここでは棒を振り回せない。避けながら戦える場所に行こう。

薮を抜けたらブフリム十匹くらいに増えてた。そんなに居たのか。
核の取り方を覚えたいし殺っておくか。
回避はギフトにお任せして、フルスイング。一発か二発で気絶するので先ずは全員引っぱたく!
全部で十二匹居た。次にナイフで頸動脈を切ってトドメを刺し、一纏めに山にしておく。そして落としたナイフを回収し、臭い袋や装備品を剥ぎ取る。最後に鳩尾下からナイフを入れて、心臓の裏にある核を取り出す。

臭い!

これ、カバンに入れたら絶対臭くなるじゃん。
臭い袋の中身だけカバンに入れて、後は放置する。
ナイフと血塗れの手はタオルで拭いて、タオルも放置。五百ヤン、さらば!
解体で時間を食ったので新たな敵が来るかも知れん。人に見られないよう指定してワタウリ狩りに向かおう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

処理中です...