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日に一万は稼ぎたい
しおりを挟む朝もはよから騒がしい。ガチャガチャ鳴らしながらドタドタ降りる音で目が覚めた。
冒険者は勤勉だな。だが一日最低五千ヤン必要なのだ。彼奴ら酒も飲むからもっと稼がないといかんのだろう。
俺も日に一万は稼ぎたい所存。飯食ってギルド行くとするか。
装備を整え食堂に降りて行くがガラガラだった。給仕のおばお姉さんによると、冒険者共は依頼を受けてから戻って飯を食うか、屋台で済ませるかするそうだ。
依頼は早い者勝ちだからそれも頷ける。俺は完全に出遅れてるので優雅に朝食を愉しむ。
腹も脹れてギルドに行くがまだ混んでた。
今日も採取だけの予定だし、来なくても良かったかな?
「おはようございます、カケルさん」
横から急に女子に声を掛けられ冷静では居られない。女子に挨拶をされたのなんて小学生以来だからなっ。
「お、おは、おはようございます」
振り向くとそこに微笑む美人。買取カウンターのお姉さんでした。眩しい。
「依頼はもう確認なさいましたか?」
「いや、今来たばかりで「でしたらまたワタウリをお願いしてもよろしいですか」」
食い気味に来たな。ワタウリは実入り次第で旨味もあるし美人の依頼を断る事など出来よう筈が無い!
「種まき前で数が必要なのでお願いします。若い実も…できれば一つか二つ…」
「カバンいっぱい取れるよう頑張ってみるよ」
美人の前で長居すると良くない事が起こる気がしたのですぐに出ようとするが、駄目だった。
「お前ぇ見慣れねぇ顔だな、新入りか?ギルドのねーちゃんにちょっかいかけるなんざええ度胸してんじゃねぇか」
ガタイの良いハゲとローブの男、それに豚が凄んで来た。揃って使い込んだ装備を着込んでる。
「こんな役得でもなきゃ朝っぱらからギルドに顔出したりしねーよ。お前らもちょっとは期待してんだろ?」
「………」
「………」
ウケた。大いにウケた。
周りに居た男衆がガハガハ笑ってる。
その内の数人がハゲ達に事の成りを説明すると、ハゲ達も笑いだした。
「ブヒヒ、お前ぇなかなかやるじゃねぇか」
豚よ、俺は何もしてないぞ。
「無駄に絡んで済まなかったな」
ローブにはウケなかったようだ。
「ああ、新入りとか言って悪かったな、嬢がナンパされてんのかと思っちまった」
「新入りなのは事実だから問題ないさ」
「死なねぇ程度に頑張れよ」
「死んだらギルド証拾いに来てくれ。じゃあ行ってくる!」
ケンカにならなくて本当に良かった。棒じゃ絶対勝ち目無いし。
スタコラサッサと逃げるように街の外へ駆け出した。
畑ゾーンまでクリープ移動で走って来たが、農民も冒険者も結構居て飛ぶ事ができない。
仕方ないので畑ゾーンを抜けてすぐ柵沿いに迂回した。
タマゲル可愛いよタマゲル。
柵にくっ付いてるタマゲルを拾っては草地に戻し、撫で揉みしながらの急ぎ足。足使ってないけど。
畑ゾーンの柵が無くなり草地を越えて低木生い茂る薮に入る。森まではもう少しって感じ。
まだ飛ぶ訳に行かないので薮漕ぎして行くと急に横Gに引っ張られた。
薮に紛れたブフリムが攻撃してきたようだ。薮に当たってはダメージにならんので、ここでは棒を振り回せない。避けながら戦える場所に行こう。
薮を抜けたらブフリム十匹くらいに増えてた。そんなに居たのか。
核の取り方を覚えたいし殺っておくか。
回避はギフトにお任せして、フルスイング。一発か二発で気絶するので先ずは全員引っぱたく!
全部で十二匹居た。次にナイフで頸動脈を切ってトドメを刺し、一纏めに山にしておく。そして落としたナイフを回収し、臭い袋や装備品を剥ぎ取る。最後に鳩尾下からナイフを入れて、心臓の裏にある核を取り出す。
臭い!
これ、カバンに入れたら絶対臭くなるじゃん。
臭い袋の中身だけカバンに入れて、後は放置する。
ナイフと血塗れの手はタオルで拭いて、タオルも放置。五百ヤン、さらば!
解体で時間を食ったので新たな敵が来るかも知れん。人に見られないよう指定してワタウリ狩りに向かおう。
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