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初めてのモンスター
しおりを挟む空中に留まり目視にて安全確認。
川幅は三十メートルくらいか?
パッと見じゃ分からないが水は澄んでるし、大きな影も無いようだ。だが飲むには不安が残る。
川岸には砂と玉砂利だけ。あとは流木がちらほら転がってる。
玉砂利や流木が襲ってくる世界…無くはない気がする。
その先は下草が生えた草地が少しあり、その先は元来た森が続く。葉が茂っててここからじゃ何が居るか確認しようが無い。
さっきまで川に着いたら上流へ…と思って居たが、ここに来てやる事ができた。
武器を拾うのだ。
手に馴染む大きさの石をいくつかと、一メートル程のできるだけ真っ直ぐな棒が欲しい。
実際に、石をぶつけて棒で殴ってどれだけやれるのか、なんて見当もつかないが丸腰で上流に行くのは無謀な気がする。
上流を背にして着陸したら、すぐにしゃがんで辺りを伺う…。
何も無さそうだ。
その場から良さげな石を数個チョイスしてジャンパーのポケットにしまう。左右に三つずつゲットした。
更に一つを手に持って、次は流木探しだ。
しかし残念ながら手に持って殴れるに適した良い棒がそうそう見つかる事は無く、流れて来て枯れた大木。同じく低木。細い枝。枯葉。枯れ草。
焚き火をするには完璧なメンバーだが残念な事に火が無い。きりもみ式をする前にもう少し安全な水が欲しい。
丸太を持って戦う事も考えた。まぁ考えただけ。
投擲武器は手に入れたので棒は諦め上流に向かおう。
クリープして上流を目指す。
棒に未練があるので高度は低く一メートル。
速度もゆっくり良い木は無いかとキョロキョロと。
そこで見てしまった。
初めてのモンスターを。
「マジかー」
初めてのモンスターはゴブリンかスライムが定番なのに、
なんで一つ目巨人なんだよ!?
一つ目の巨人だが違う名前かも知れない。だがそんな事はどうでもいい。森の木の上から青黒い顔を出して居たので思わず見つめ合ってしまった。
目玉に当てて怯んだ隙に…とか無理無理無理無理!
怒らせちゃいかんあんなでかいの!
上空で確認した時見えなかったのは、姿勢を低くしていたからではなかろうか。
敵にならんと考えて姿を見せたのだろう。
「上手く逃げないとマジで死ぬぞこれは…」
一つ目巨人がニヤリと嗤う。
こんなの居たら野獣もモンスターも出て来れないわな。
ゲロを吐く覚悟を決める!
(気絶しないギリギリの速度であいつの攻撃を躱しながら急上昇!千メートル上空で弱い敵しか居ない場所まで移動!その後停滞!)
「うぐぅぅぅーっ!」
強いGに耐え、飛び上がる!
持ってた石を落としたが気にしても仕方ない。
それを見た一つ目巨人が駆け寄り飛び付くがギリギリの所で回避する。
着地した一つ目巨人が砂利を掴んで投げつける。音を立てて飛んで来る大小様々な飛礫を避けまくる!小さいのでも当たれば死ねる。
ゲロをぶちまけ千メートルに着く頃には一つ目巨人も砂粒くらいになっていた。つか見えん。
弱い敵の場所を指示していた横移動は何故か上手くいった様だ。検証する気力はない。
ぐったりと体を傾け空を仰ぎ、夜に向かって飛んで行く。
「ハハハ…。このままじゃ、脱水で死ぬ」
蜂蜜と柑橘ののど飴を口に放り込み、ゴミはポケットへ。少し速度を落として目をつむった。
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