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供給、過多
しおりを挟む今回の採集ではパーティーを二分してしまったので、ガサツな2人と主従ペアにはアッチとコッチの護衛に徹してもらった。僕がたくさん摘めたのは、教える者が居ないから自由に探し回る事が出来たのもあるが、前回より良い場所に当たった事の方がデカい。ジャリソウが生えない程の湿った場所にキノコの群生を見付けた時は、思わず小躍りしたくなったよ。
「お腹空いたよー」「ジャリソウだっけ?口ン中ジャリジャリするぜ」
それ土毎食ってるぞ?選別を終えて夕食の時間。お互いに午前中の出来事を話しながら食卓を囲む。低い椅子はどうかと思ってたけど、胡座かいてる感覚で案外悪くない。女子達は椅子の下に足をしまったり、横に出したりして座ってる。
「ホリーさん、どうだった?」
「いつもの通りね。おばあちゃんなりにお友達と元気にしていたわ」
僕の問いにセーナは答える。お友達共々早く曾孫が見たいそうだ。出来上がりに少なくとも1年は掛かるから、それまで元気でいて欲しい。
「今回の稼ぎを売りに行けば家が建つわよ?産む?」
「エヴィナの鄉にも行きたいし、まだ産めそうにないよね」
「飛竜便にも乗れなくなってしまうわ」
「だな。飛竜の数もそう多くねぇだろうし、金が嵩むぜ?」
赤ちゃん泣くだろうしな。それに赤ちゃんも1人料金だとすると、その分稼がなきゃいけない。
「所でエヴィナ。飛竜便っていくら掛かるの?」
「悪ぃ、オレ値段までは知らねぇや。アッゼニに家のモンがまだ居るなら聞き出せるが…」
自分の金を使ってないエヴィナらしい言葉が返って来た。財布持たせてもらえなかったのだから仕方ないか。ちなみに飛竜便は王都ドーヴィルから各地へと往復しているそうだが、一度に8頭も出せないので数回に分けて移動になると言う。エヴィナの時は馭者、メイドとエヴィナ、メイドの順で、3回に分けて移動したんだと。飛竜が2頭来たのはラッキーだったそうだ。
「僕等だと8回掛かるのか」
「余裕を持って稼いでおきたいわね。けど買い手の方も在庫を抱えたくないでしょうし、難しい所ね」
キセルタケはお金になるが、キセルタケばっかり持って来られても困るそうだ。ただでさえ皆で住める家が建つ程の量だし、他の素材での金策も必要だとセーナは言う。
「と言ってもキノコはまだまだ生えてるんだよね。3年くらい保存出来る箱なんて、無いよね?」
「新造するわ。魔石への付与を試してみたいから、素材を集めて来てちょうだい。作る事は出来るから」
セーナの背嚢もジュンのと変わらず高性能だが、より長く持たせるようなら新造しなければならない。セーナは素材を集めろと言うが、ヒヨっ子冒険者に集められる物なのか?
「まずは魔石。ブフリムの上位種くらいの大きさが欲しいわね」
「群れとやんのかよ…」
「殺れないなら買えばいいのよ。後はカバンね。丈夫なのを3つ。魔石は9つ用意して」
午後の行動が決まった。皆で街に出てカバンと魔石を買い付けに行く事となった。ついでに食料と飲兵衛の飲むお酒も。
まずはギルド。セーナが顔を出すとすぐに職員がやって来て対応してくれる。会議室に連れられて話をするが、ブフリム上位種の魔石は手持ちに無く、そうポンポン買取りに来ないとも言われた。
「無い物は仕方ないわね」
「僕等が学生の頃、アッゼニに3つ売ったけどまだ残ってないかな?」
「あンた、そんな危ない目に遭ってたの?」
「男手があって無事だったよ」
「みんな元気かしらね」「そう簡単には」「だね」「きっとハゲてるよ」
職員は、あればすぐに売れてしまうと言う。売り先はほとんどが魔法ギルド。魔道具の材料になると言えばお分かりですね?だと。
「1番近くて、王都よね?」
「はい。セーナ様はご存知でしょうが、あそこも売り先の1つです」
セーナの古巣、宮廷魔導士隊、だそうな。
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