218 / 229
掃除を魔法で、楽したい
しおりを挟む階段に足が乗った状態の僕は、天井部屋から見たら頭だけ出してるように見える事だろう。けれど天井部屋には荷物もあって、僕が上がると狭過ぎて身動き取れなそうに思えて上がる事を躊躇わせた。
「こんなんだけど、寝られそ?」
「オレは良いぜ?」「アタシも」
3人衆も大丈夫そうだ。
「ベッドを置くのが大変そうね」
エリザベス様も寝る気満々だな。けどこの入口からベッドを入れるのは無理だと思う。
「ベッドは無理かも。床が抜けるわ。すのこを敷いて、マットで寝るのが良いかもね。取り敢えず、掃除の手順を決めようかしらね」
天井部屋の荷物を下ろし、掃除をしたらすのことマットを敷いて取り敢えずの寝室にする。それから下へ下へとキレイにして行く運びとなった。
「じゃあ私はすのこの材料とマットを買って来るわ」
「1人で大丈夫?」
「届けさせるだけだから問題ないわ」
寝具店と木材商は店の並びにあるそうで、行って帰って10分もしないそうだ。僕が3階に降りてセーナも降りると、僕は作業部屋に物が置けるように、整理しとけと指示された。
「ユカタ君、荷物を下ろしますのでお手を」
「もう少し待って。先に下を広げるから」
テーブルを隅に押しやって空間を作り、上から来る荷物を階段で受け取ると、なるべく詰めるように置いて行く。
「窓が無いから風魔法で埃を吹き飛ばせないわ」
「エリザベス様、埃まみれになりますよ」
「レイナ。ベス、でしてよ?」
「はい。ベス様」
荷物の下ろしは終わったみたい。広くなった上の部屋では魔法で掃除しようなんて話をしてるようだ。けど諦めて箒と雑巾でやるそうな。
「ユカタ君、バケツにお水をお願いできる?私は箒を持ってくから」
「雑巾の場所はどこだろう」
「使い古しのタオルでも良いだろ。ジュン、オレの使って良いぜ」
ジュンとエリザベス様が降りて来た。エリザベス様は下の荷物を拭き掃除する係を命ぜられたそうで、僕も手伝う事にした。
しばらく経ってセーナが帰宅。注文した品物は1時間程で着くそうで、木材商の職員が来る頃には天井部屋と3階の掃除はほぼ終わらせられた。玄関と天井部屋を往復し、角材と板材を天井部屋に上げると並べて敷いてを繰り返し、木の匂いのする床になったようだ。
「ベコベコするね」
なんて言葉が上から聞こえる。釘が無いから仕方ないね。気になるようなら後から買って打ったら良い。そんな事より寝具屋さんが来たからまた搬入だ。円柱になったマットを上げたら下の階の掃除に向かう。
「ジロジロ見ないの」
「掃除する所を確認してるんだよ」
2階はセーナの部屋兼作業部屋。薬品を使うのは3階で、ここは魔道具を作る部屋だそうだ。
「拭き掃除だけで足りそうだね」
「掃除してから出て来たもの。ここは私だけで良いわ。あンたは1階をやってちょうだい」
「では、私も」
箒とバケツを持って1階へ。そして入口と開けられる窓を開けて行く。店舗側は1番最後。セーナの指示でやった方が良いと思う。
「ユカタ、魔法で吹き散らしましょうか」
「まずはクモの巣とかを落としてからね」
箒で天井を掃いてクモとその巣を絡め取り、埃を下に落としたら、ある程度床を掃いてから魔法を使ってもらった。
「そっとね」
「ええ、お任せなさい」
掌から放たれたそよ風が、テーブルの上を凪いで行く。埃が舞う量は少ないが、風量も少なくては効率が良くない。
「セーナ嬢に杖をお借りして来ますわ」
「杖?」
魔法の発動体があるなしでは魔法の効率が大きく変わると習った。けどエリザベス様は発動体の指輪をしてるよな。
「埃を吸ってしまいそうなのよ」
「タオルで口元を塞ぐのが良いよ。後、杖の代わりにコレでどうかな」
と言って箒を差し出したけどどうだろう。ただの箒でも、魔法使いの日用品ならそれっぽい効果があっても良いよな。
10
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
素人配信者さん、初回でうっかり伝説級の大バズりを披露してしまう(願望)~あれ? モンスターってS級でもこんなものなの?(他人任せ)~
こまの ととと
ファンタジー
世はまさに大ダンジョン配信時代!
ダンジョンが生まれ、配信者がいれば当然の成り行きで生まれいずる。これぞ世の成り立ちである!
若きも男も女も、皆夢中になる。
そんなトップコンテンツに挑む者は、時勢について行けない老人を除いて後を絶たないそんな時代のお話。
ここにダンジョン配信者に憧れる純粋な少年がいた!
誰もが憧れるカッコいい仕事だから、単純な理由だからその思いは力強い。
彼の純粋な心に触れた視聴者は、次第に惹かれて彼を求めてやまなくなる。
彼の通った後にはモンスターの屍。たどり着いたボスとの死闘。そして仲間との……。
果たして彼の築き上げる伝説の目撃者に、アナタも成れるのだろうか?
*あらすじと本編では若干の差異がある場合がございます。あらかじめご了承下さい。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
独自ダンジョン攻略
sasina
ファンタジー
世界中に突如、ダンジョンと呼ばれる地下空間が現れた。
佐々木 光輝はダンジョンとは知らずに入ってしまった洞窟で、木の宝箱を見つける。
その宝箱には、スクロールが一つ入っていて、スキル【鑑定Ⅰ】を手に入れ、この洞窟がダンジョンだと知るが、誰にも教えず独自の考えで個人ダンジョンにして一人ダンジョン攻略に始める。
なろうにも掲載中
赤毛のアンナ 〜極光の巫女〜
桐乃 藍
ファンタジー
幼馴染の神代アンナと共に異世界に飛ばされた成瀬ユウキ。
彼が命の危機に陥る度に発動する[先読みの力]。
それは、終焉の巫女にしか使えないと伝えられる世界最強の力の一つだった。
世界の終わりとされる約束の日までに世界を救うため、ユウキとアンナの冒険が今、始まる!
※2020年8月17日に完結しました(*´꒳`*)
良かったら、お気に入り登録や感想を下さいませ^ ^
------------------------------------------------------
※各章毎に1枚以上挿絵を用意しています(★マーク)。
表紙も含めたイラストは全てinstagramで知り合ったyuki.yukineko様に依頼し、描いて頂いています。
(私のプロフィール欄のURLより、yuki.yukineko 様のインスタに飛べます。綺麗で素敵なイラストが沢山あるので、そちらの方もご覧になって下さい)
チュートリアル場所でLv9999になっちゃいました。
ss
ファンタジー
これは、ひょんなことから異世界へと飛ばされた青年の物語である。
高校三年生の竹林 健(たけばやし たける)を含めた地球人100名がなんらかの力により異世界で過ごすことを要求される。
そんな中、安全地帯と呼ばれている最初のリスポーン地点の「チュートリアル場所」で主人公 健はあるスキルによりレベルがMAXまで到達した。
そして、チュートリアル場所で出会った一人の青年 相斗と一緒に異世界へと身を乗り出す。
弱体した異世界を救うために二人は立ち上がる。
※基本的には毎日7時投稿です。作者は気まぐれなのであくまで目安くらいに思ってください。設定はかなりガバガバしようですので、暖かい目で見てくれたら嬉しいです。
※コメントはあんまり見れないかもしれません。ランキングが上がっていたら、報告していただいたら嬉しいです。
Hotランキング 1位
ファンタジーランキング 1位
人気ランキング 2位
100000Pt達成!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる