184 / 244
休日の、過ごし方
しおりを挟む「でー、あンた女ントコ行くのねー」
「ユカタさん、見損なったぜ?オレが居るだろうがよぉ」
ガサツな2人から非難を浴びる。
「兄弟、お前にゃ荷が重いぜ?」
「俺が代わりに行ってやろうな?ソレが良い。だろ?」
マッチョ兄弟は歳上と聞いて熱くなっていた。他の女子達からは冷たい視線を浴びている事も知らずに。
なぜこんな事になってしまったのか。それは夕方、整備室に集まったパーティーの面々にお菓子の匂いがバレてしまい、ペニーとカシーが尋問された結果、全て口を割ってしまったのだ。
「最初は打ち合わせだから僕だけで良いよ」
「そんな事言って、オトコになって来るんでしょ?やーだー」
ロシェルよ、僕は男だぞ?今まで女の子だったみたいな事言うな。
「弟よ、兄弟が怪我をしたら俺達が代わってやるのが筋ってモンだよな?」
「兄貴、冴えてるな」
冴えてないぞ赤肉共。アーケードさん、ムキムキ嫌いって言ってたからな。見ず知らずで会いに行けば叫ばれて衛兵呼ばれるだけだ。念願の兵士になれるぞ?奴隷兵だがな。
「明日が楽しみだな?ナニしたのか教えてくれよな?」
嫌味に聞こえるエヴィナの声をスルーすると、報告は義務だとか抜かすマッチョ。何も無くても悔しがらせてやる。
「ユカタ。ギルドを通さぬ個人依頼は問題も多いと聞きます。ゆめゆめ油断無きよう」
「コロッと騙されちゃダメよ?」
エリザベス様に言われてハッとする。依頼は依頼。冒険者としてちゃんとしなきゃな。報酬もちゃんと、適正なだけもらわなきゃいけない。
「ユカタ君、信じております」
「何かあれば、お爺様に言って男手を出して貰いますっ」
本当に必要な時は頼むよ。
「ユカタ君、外泊ですか?1人だけ…女ですよね?私以外の」
「夜でないと時間が空かないってから」
整備が終わって解散の後、1人事務室に届出を出しに行く。コラリーさんは届出を見て女の気配を察したようで、両手に持った届出用紙を握り締めた。依頼である事を説明したが、本来学生冒険者である僕達に個人依頼をする者はまれである事。危険だしギルドに目を付けられるので薦められないと助言をくれた。
「何より、見ず知らずの女性と致すのなら私と致してください!お願いしますっ」
「致すかどうかなんて知らないよ。コラリーさんは結婚したいのでしょ?致す致さないの前にさ」
「もちろん結婚したいです!私働きますので!」
それって僕がヒモっになるって事?セーナに以前言われたな。出来れば僕は、恥ずかしい男になりたくない。グズるコラリーさんに依頼は依頼だからと届出を受理させて寮に戻った。明日は依頼人と会う訳だし、たまにはしっかり垢を落とそう…。
朝。ゆっくりと食事を摂り、お弁当をもらって学園を出る。今日は皆休みだそうで、どこかで見てるかもと思うとゾッとするが、日中は暇なので南門から出た先の草原でちょちょっと草摘みして過ごす。キズグスリにツルゲネツ、ジャリソウなんかを採るのに時間を忘れ、遅い昼食を食べたら夕方前にギルドへ向かった。買取カウンターで品を卸すと威圧感が飛んで来て足が止まる。誰かと思ったら手を振るルイ姐さんだった。手を振り返してギルドを出たが、何だったんだ?
「こーら、待ちなさい」
「え?」
外に出た所で呼び止めたのはルイ姐さん。並んでるのを放っぽって出て来たのか。
「どうしたの?僕に用だった?」
「どうしたの?じゃないわ。コッチ来なさい」
逃げたら捕まりそうな雰囲気に抗えず、ルイ姐さんに連れられて昨日入った尋問室へ。僕が入るとルイ姐さんが入り、カチャリと鍵を閉められた。
「貴方、個人依頼を請けるようね」
と一言。なぜそれを…いや、誰かに聞いたのか。誰かとはあの辺の者だろう。
「話を聞きに行く予定だよ?依頼人は夜にしかギルドに来れないって言ってたし」
「商業ギルドの職員よね、女の」
性別はこだわる所なのだろうか。
10
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる