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欲情する、女
しおりを挟む16日間の長期休暇を明日に控え、僕達は学園の玄関前に集まった。皆外出用の装備で固められ、2台の馬車に荷物を載せる。今回の乗客は総勢11人。エリザベス様に、以前会ったメイドさん2人。僕達5人にエヴィナと、彼女のメイドが2人だ。
「エヴィナってメイドさんいたんだね」
「ぉあ?お嬢に舐めた口聞っと、殺すぞ」
「止めな。オレのイイヒトなんだ」
「…すんません、お嬢。あンたさんも、勘弁願います」
エヴィナのメイド、怖ぇ。女の子ならざる顔をしたロシェルがエヴィナに宥められてら。エヴィナはアレでも貴族様だから、メイド達は言い寄る男に敏感になっちゃうんだって。8割くらい嘘だろうな。止めろロシェル、白目で睨み合うな。
1台目にはエリザベス様とメイドさん2人に3人衆。2台目にはエヴィナとメイドさん2人に僕とロシェルが乗る事になった。乗ったは良いが、メイド2人の目が細ーくなってる。ロシェルがベッタリくっ付いているからだろう。
「なあユカタ。オレもくっ付いて良いか?」
「何でよ。広いんだからゆったり使いなよ」
「オラァ女っぽい事したコタねーからよ。たまには男にしなだれてみてぇんだよ。な?ロシェルゥ」
「ユカタがメイドに刺されても知んないかんな?」
「刺されたく無いよぉ」
「胸くらいなら揉んで良いからさ」
「ユカタは吸うのが好きなんだよねー」
「お客人…」「モノには限度がありやすぜ」
「あ?お前ぇ等も吸ってもらうか?」
「「…すいやせん、お嬢」」「僕も吸いやせん」
ロシェルはニヤニヤしているが、今まで何度も野外演習して来て一度も誰のも吸った揉んだした事無いでしょ!
前後に各3人、その間にメイドの座る1人席が向かいあわせになった8人乗りの客車で、僕を挟んで左右にくっ付いた2人はこのまま寝るつもりらしい。
「寝たら夕飯食べられないぞ?」
「起こしてくれや」「アタシも~」
メイド達を見ても、細目にしたのを逸らすだけ。もう知らん。僕は不貞寝した。
起こされて、食事の時間。外に出るとエリザベス様達は既に降りていて、用意された簡易椅子に座って遅れて来た僕等を待っていてくれてた。
「待たせてごめん。しっかり寝ちゃってたよ」
「どこでも寝られるのは良い事です。さあさ、お座りなさいな」
食事を終えたら車内を整え再出発。エヴィナの馬車は前後の椅子が薄いベッドに変わり、真ん中は椅子のまま。不寝番の席なのだろう。メイドの2人が椅子に座った。
「ユカタ、添い寝したげる」
「僕こっちで寝るから2人はそっちで寝なよ」
「ああ、ソッチはソイツ等に残してやんな。ユカタが年上好きってんなら止めやしないが」
「ユカタってお姉さん好きなトコあるよね~。妹いる?」
「何それ?居ないよ?」
「オレ兄貴いるけど歳関係なく男好きだぜ?」
「それ、節操なくね?」
「誰彼構わずってんじゃ無ぇよ。好きになった男に歳なんて関係ねぇだろって話。ユカタもそうなんじゃねぇの?」
「そうかもね。村だと家族関係なく子供をひとまとめにするからさ、村の子供全員兄弟みたいな感じなのかも」
「じゃあどんな子に欲情するのさ」
「寝ろよもう」
ロシェル曰く、年上好みの男は家族に妹がいるかららしい。その話を真に受けると、女兄弟しか居ない所は男好きの男になってしまう。全く信頼性の無いデタラメ話であった。
前のベッドはメイド用と言われては使う訳には行かず、後ろのベッドで横になる。意外にも2人はベタベタして来なかった。流石に魔物が出るような時間は変な事して来ないか。
「やっぱコッチだよねー、アタシが1番おっぱいおっきいし」
「エヴィナ、場所代わって」
「すー…」
寝よう。
「お目覚めですか。もうすぐ村に入りやす」
「あ…村?」
この日は異常無かったようで、起こされたのは朝だった。…村?朝?
「夜の番は…?」
「お客人にさせる訳には」
今夜からはやると念押しした。
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