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報酬の、取り分

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「今度から気を付けなさい?臭い男はモテないわよ?浴場で洗ってから来ても遅くないんだから、ね?」

 僕を洗ってくれたお姉さんは急に優しくなり、僕の頭を撫でて笑顔をくれる。銀貨は力なのだ。

「はぁい。ありがとうお姉さん」

「あら可愛い」「ユーーカターー。こーっちーー」

 ロシェルが女の子がしちゃいけない顔してるので合流する。ここは昨日、手を振る僕を無視した受付嬢の所だ。2つ隣から手を振るルイ姐さんに、流石のロシェルも目を合わせられない様でまっすぐ正面見詰めてる。ロシェルがビビるなんてよっぽどだな。

「それで、学園生がコレを討伐した、と」

「お三方の助力で何とか殺り通せました。死体はレイナ様が火魔法で焼いております」

 カウンターの上には臭い耳の山と、大きな魔石と、少し小さい魔石が2つ。そして採集した薬草の山。サボってたクリスの達成分も含まれていて、隣に座る塩対応の受付嬢は渋い顔。

 キノコを採りに森に入ったら戦闘中のクリスと遭遇し、逃げ出したブフリムを追って行ったら囲まれてしまったそうだ。クリスもキノコを採りに行っていたと証言したが、きっとウソだろう。お小言と報酬を貰い、売れる物を売り払ってギルドを出る。男3人女4人の大所帯に絡んで来る荒くれ者は居なかった。



「俺は要らねぇ。俺のせいでみんなを危険に晒しちまったしな」

 学園に戻り、整備室。ほんの少し欠けてしまった刃にヤスリを当てるクリスは報酬の受け取りを辞退する。

「だったら俺も要らねぇな。銭なんかより貴重な体験出来たしよ」

 そう言ってミルコも見栄を張る。彼が対峙したデカい奴はラージブフリムと言う強い奴で、今回みたいな群れにしか現れない希少種だ。群れの中にいる以上、一対一で相対出来る事は稀で、今回の勝因も取り巻きのブフリムウォーリアを排除して一対一の状況に持って行けた事が大きい。と、ギルドにて受付嬢からご指導ご鞭撻を賜った。

「ユカタ君は受け取ってくれますよね?」

「臭い思いした分は貰っておくよ」

 マキの言葉にそう返し、整備を続ける。机の上に小山にされた硬貨を数えて仕分けたジュンが、紙にペンで総額を書き込んだ。

「総額、53,17,44ウーラでした…」

「53万?そんなに儲かるのか」「魔石の値段だよな?」

「え、えっと…。討伐報酬が、ラージブフリムが10万ウーラ、ブフリムウォーリアが2匹で1万ウーラ…」

 見栄を張った2人も整備中の武器から目を離し、銀色に光る硬貨に注目した。討伐報酬、魔石の販売価格、袋の中身。全て合わせてこの金額だそうな。ラージブフリムがとにかく金になっている。コイツだけで37万を超えてるんだって。

「ロシェル、良きように分けてみろ」

「え?アタシ?」

 実践でやった方が経験になると思い、ロシェルに報酬を分けさせてみた。3人衆もそれで良いみたい。ナイフをしまったロシェルはお金の前で渋い顔をすると、銀貨の塊を掴んで5つに分けた。

「余ったのは2人で分けて」

 僕等の取り分は1人10銀貨。余った3,17,44Uをマッチョ兄弟に押し付ける。普通の合同パーティーなら横暴も良い所だが、2人は受け取りを辞退してるので貰えるだけマシだ。体を使って何も無いのは良くないと、ロシェルなりの優しさだと思う事にする。

「余ったなら仕方無ぇな。俺はこんだけありゃあ良い」

 ミルコはそう言い放ち、銀貨3枚握り込む。これが本当の横暴だ。クリスは特に文句も言わず、小銭を掻き集めて腰の袋に詰めていた。

「所で兄貴よ。ユカタと2人で昼過ぎまで何してたんだ?」

「ユカタ君っ!ナニを、してたんですか!?」

 腰の袋をパンパンにしたクリスが問うと、ジュンは謎の食い付きを見せる。君達僕が今日何してたかマキに聞いてるハズだよね?

「なかなか楽しかったぞ?濡れたし汚れたけどな」

「濡れて…けがされたんですね!?」

 分かるように説明したよ。





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