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ラージブフリムと、ブフリムウォーリア

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 なまくらではなくなった中剣が、ちょっとデカいブフリムの鳩尾に深く突き刺さる。それと同時に首から臭い緑の血が溢れ出た。

「うぷっ、ロシェルか!?」

「ユカタ!臭っ!」

 流石と言うか、ミルコの作った隙を見逃さなかったロシェルは僕と狙いが被ったようだ。ちょっとデカいブフリムに回り込み、ナイフで首を掻き斬ると、すぐに間合いを取り内側にいるちょっとデカい奴の視界から隠れるようにデカいのの横に回った。僕のすぐ横だ。

「ロシェルは奥のを。クリスは雑魚を集めてっ!」

「うん」「お、おうっ!ちょっとデカい程度でへっぴり腰な兄ミルコの弟、恐れを知らぬクリスチャンが雑魚共まとめて蹴散らしてやるぜええっ!!」

 声を上げて雑魚への注目を集めるようだ。同時に女子達の周りを走りながら、長剣で雑魚を斬り散らす。ヘイトを集めているようだ。

 戦況が変わる。ミルコはデカいのと相対し、ロシェルはちょっとデカいのの視界から外れるよう動き回る。クリスは雑魚を一纏めにした。

「小型に魔法を撃ちます!回避準備!」「おうっ」

 詠唱するジュンの代わりにマキが声を掛ける。レイナの魔法は使う訳には行かないので指示役に回っている。僕はロシェルを追ってキョロキョロするちょっとデカい奴に飛び込んだ。

「ユカタ!迂闊よっ!?」

 僕は迂闊だ。レイナの言葉が届くと同時に、薙ぎ払われた棍棒が僕を襲う。

ガインッ!

「うぎっ!」

 今度は僕が受けの構えで棍棒の攻撃を食らう。フェイントも無く叩き付け、吹き飛ばされて地面を転がる僕は、敵の首から緑の臭い血が噴き出るのを見て成功を確信した。

「ユカタ、生きてる!?」

「抱き起こしてチューしてくれたら生き返るぞー」

「ヤダー臭いもーん」

 チューしてくれないので1人で起き上がると、ジュンの範囲魔法がブフリムの顔に穴を開けていた。顔だけ狙ってるのか?庇う腕を避けて抉り込むように曲がって飛んだぞ?魔法1つで塊になったブフリムを全滅させやがった。

「お、お前、すげぇな…」

「そ、それ程でも…」

「気を付けろ!ソイツはナンパ野郎だ!」

「兄貴にこそ気を付けろ?目の前に居るなら男も女も構わず食っちまう悪食だからな!」

「男の人も…。ユカタ君!?」

 ジュンが僕を呼ぶ。ミルコはお弁当2つ食って足りないと言ってたけど、僕はどこも食べられてないぞ?

「俺は女ァ一筋だあああっしゃあああっ!!」

 ミルコの長剣がデカい奴の腕を斬り落とし、石斧と右腕が落とされる。腕の骨を斬るとは凄い膂力だ。武器を落とされ出血するデカい奴は、程なくしてミルコに倒された。

「加勢助かりました。お2人が来てくれなければ森を焼く事になっておりました。私はマキと申します」

「ユカタ、わたしはもっと役立ちたいわ。貴方もありがとう。私はレイナよ」「アタシロシェル」

「ミルコだ。ユカタとは無二の親友なんだ」「兄貴いつの間に!?」

 無二の親友なら肩くらい組むものだろう?なぜ離れて行くのだい?

「とにかく、討伐部位と剥ぎ取りしたらここを離れましょう。血の匂いが濃過ぎます」

 マキの一言で剥ぎ取りが行われる。ブフリムの討伐部位は両耳だ。無いなら耳の穴を抉り取る必要がある。そして魔石。今回殺した三匹はデカいので魔石を獲るべきとなり、僕はもっと臭くなる。袋の中身は女子達が手分けして集め、死体を一纏めにしたらレイナが火球で燃やしてくれた。肉が焼ける匂いすら臭い。

「うわっ!臭っせ!?」「ブフリムの血塗れで入って来んじゃねえ!」

 ギルドに入ろうとして冒険者達に追い出された僕は、ギルドのスイングドアの前で途方に暮れる…振りして匂いをお届けしていた。向かい風が気持ちいいぜ…。

「貴方!洗浄してあげるから臭いを振り撒かないで!」

 見兼ねたお姉さん冒険者が水魔法で洗浄してくれたよ。チップに銀貨を握らせたら3回洗ってくれた。





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