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酔い、狂う

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 諦めの境地。まさにその一言に尽きた。下の兄様?が用意させたと言う上質な服を着させられて客間に向かうとエリザベス様も居て、3人衆と歓談に興じていた。

「あら、それは兄の子供の頃の服ね?」

「はい。マイケル様より、下賜せよと仰せでして」

「そう。貴方、シャキッとなされば貴族に見えなくもないわよ?」

「うう…」

「お嬢様、ユカタ様は湯に当たり過ぎたようです。ささ、飲み物をご用意してございますのでお掛けになってお待ちを」

 湯に当たった訳じゃないけど、メイドさんはそう言う事にしてくれるらしい。大人しく椅子に掛けて果実水を頂いた。

 休んだり話をしたりで体の火照りが冷めた頃、メイドさんが昼食を告げに来た。お茶会はどうしたのだろう?

「お喋りしながらするお食事はお茶会と同義です」

 お菓子かご飯かの違いでしかないらしい。

「普通の食事では喋らないのかな」

「お行儀が悪うございます」

 お行儀悪い食べ方をしても大丈夫なように、気を使ってくれた訳か。ちなみに僕、食事中にはほとんど喋らないんだ。その点で言えば村人の方がお行儀良いと思うけど、どうだろう?

「さ、ユカタ」

 エリザベス様の後ろに付いて歩く。その後ろを3人衆が付いて来る。メイドさん達は前後に2人ずつ付いて、何かから僕等を守ってくれているようだ。

 連れて来られたのは屋敷を出て、庭の中に建てられた屋根があり壁のない建物。建屋の中には椅子とテーブルが据えられて、下の兄様ことマイケル様が足のある金属のコップを持って待っておられた。そして凄く良い匂い。建屋の周りで肉や魚を焼いたりスープか何かを煮込んでる。

「よく来たな」

「本日はお招き頂きありがとうございますわ。野趣溢れる趣向ですわね」

「騎士団の野戦食を取り入れた。お前達は冒険者になるのだろうし、華やかなるのは気後れすると思うてな」

「ご配慮痛み入ります。私もわたくし楽しみです。ふふっ」

 僕達が席に着くと、飲み物が来て自己紹介となる。エリザベス様が下の兄マイケル様を紹介し、3人衆と僕を紹介する。レイナは面識あるようで、久方ぶりの再会を喜んだ。続いてマキ、ジュンと続き、僕。

「うむ、皆良く尽くすが良い。して、妹よ。学園では……」

 言い方は悪いが仲良くしてくれって事だな。エリザベス様に学園での話を聞いたり、逆にマイケル様が所属する騎士団での話をしてくれた。騎士団、良いなぁ…。

 騎士団での野戦食をモチーフにした食事も美味い。お茶会用に小さく切り分けられた肉や魚が、焼けた傍から欲しい者へと提供される。飲み物は酒と果実水があったが果実水をもらった。女性陣は薄めて飲んでるな。悪い奴等め。

「お兄様はユカタとお話なさらないの?あんなに楽しみになさっていたのに」

「話なら既に済ませたぞ?」

「あら、いつの間に」

 マイケル様は浴室での話をする。恥ずかしいのでやめてください。

「ユカタ君の…裸…」

 ジュンは何やら呟いて赤くなってしまった。フラフラして、酔いが回ってしまったみたいだな。気の利くメイド達がすぐに集まって来る。

「お嬢様、ご気分優れませんか?」

「え、いえ、そんな事…」

  「密室の浴室」  「男が2人」  「何も起きないハズは無く…」
「別室にて少しお休みを。退屈なさらぬようをお持ちしますね」

「い、良いんですか?」

 キョロキョロとレイナとメイド達を交互に見て挙動不審になっているジュン。すぐに休んだ方が良いだろう。レイナも同意見のようだった。

「お酒が少し濃かったようね。エリザベス様、よろしいでしょうか?」

「大事になさって」

 メイドさん達に連れられて、ジュンはしっかりとした足取りで中座した。酔っ払ってたんじゃなかったのか?それにメイド達がヒソヒソと何か吹き込んでいたが何だったのだろうか?考えるのを止めて皮をカリカリに焼いた魚を頬張った。





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