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教え、教わる
しおりを挟む「ジュンは買取総額を頭割りしなかったの?」
「あ…、はい…皮の質もありますし、どこで買われたのかを考えてしまいました…」
考えるのソコなのか。問題には全然関係無いけど具体的に説明してみる。
「買取先は移動先のギルド、6枚は50,00ウーラ、1枚は程度が悪くて45,00に値落ちしたんだ」
「それで3,45,00ウーラですか…。それで、お肉は、あ、牙や骨も…」
「まずは皮の頭割りしよ?」
要らん事を考える子はココにも居た。何とか86,25Uを導き出し、依頼料の3万Uを忘れていた。
さて、此奴をどうするか。
「ロシェル。足りないと食い逃げとかになっちゃうから多めに狩るのが良いよね?」
「まあ、そうね。…100匹くらい?」
「けど日が暮れるまで狩ってたら町の門が閉まっちゃうかも知れないし、どこかで切り上げなきゃいけないよね?」
「ま…まあね。野宿怖いもん」
「食事と寝るのに10,00と5,00ウーラ。1個50の核がいくつあれば足りるかな?」
「1、2…10個で寝られる…11、12…20個でご飯。ご飯、ご飯…」
「10個と20個で?」
「30個」
「そうだねぇ」
思考がご飯で止まってやがった。これ、問題にご飯が絡まなければ解けたのだろうか?4.は最後に干し肉が来たから答えられたのでは?
とにかく、3人衆と1人に分ける事が出来た。3人衆は無駄な思考に陥らなければ問題が解けるので、これならすぐにでもロシェルを教える側に回れるだろう。新たな問題を書いてみんなに解いてもらう。
1.
5人で分ける。
報酬18,00,00U。買取品9,74,00U。
2.
所持金10,00,00U
品物a5,25,00U、b83,00U、c1,95,40Uを買った。
お釣りはいくら?
どうかな?1.は5,54,80Uで2.は1,96,60U。桁が多いが指折り数えてるロシェル以外はすんなり解けた。3人衆は与える情報が少なければ解けるんだ。
「ロシェル、一旦報酬と買取を足してみて」
「う…、4,00と、70,00と、2、27万」
「27銀貨と74銅貨」
「…5銀貨で2枚余る……14銅貨で…4枚…。銅貨1枚あげるから4人で分けてっ」
「諦めるなよ。5ウーラ2つでいくらだ?」
「10」
「10が2つで?」
「20っ」
「20が2つは?」
「さ、40!」「「「ほっ…」」」
「40と40で80ウーラ!」
「全部足して?」
「5銀貨、14銅貨、80鉄貨」
「銀貨2枚忘れてるぞ?」
「うっ、5…10、15、20が2銀貨だから…5、10、5、10…5銀貨!」
増えちゃったよ。
「200銅貨で考えるんだ。銀貨じゃ配れないからね」
「10、10、10、10、10…」
1人ずつ配り出したな。残りが見えてれば分かるけど、どうだろ?4周して止まったが…。
「2人に80、そっちに80、アタシ40!」
「足して足して」
「5銀貨54銅貨40鉄貨」
パチパチパチパチパチパチ…
3人衆から拍手が上がる。ウーラに直して5,54,80ウーラと書き直し、正解となった。
「つ、疲れた…」「僕も」
「以前、講師の方が言ってたのだけど」
「教える喜びが無きゃやってられん、でしたね」
「ええ。その気持ちが今分かったわ」
「まだ教わる立場、ですけどね…」
その後、同じ問題をウーラで勘定させるとちゃんと答えを導き出せた。
「鉄貨銅貨より分かりやすい!」
「良かった良かった」
凄く疲れた。お昼には早いけどお開きにしよう。
「楽しそうね」
外の風を浴びたくて、疲れた心を立ち上がらせると近くでそんな声がした。近くには人は居ないのだけど、少し離れた場所から5人組の女生徒がコチラを見ていた。
「僕達の事?煩かったらごめんね?」
「聞こえなかったけど、まあ良いわ」
相手の声は聞こえるのにこちらの声は聞こえないと言う。何でだ?
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