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それなりに、出来てる
しおりを挟む資料室は日が入らないので、明かりの下にある円卓を選んで席に着く。僕の右隣にロシェル、ジュン、マキ、レイナで一回り。各自紙束と炭ペンを用意して、勉強する支度だけは整えたようだ。
「仕方無い。やるか…」
「よろしくねー」「お願いします」
「うっ、じゃあ、みんながどれ程の使い手かを確認するね。今から書く問題を解いてみて。どんどん簡単にするから」
1.
6人パーティーが3人パーティーと合同で討伐に出た。討伐報酬はa5,00,00U、b10,00Uでa3、b16を討伐し依頼を終えた。負傷者が1人出たため、報酬から治療費を出す事になった。各自の取り分はいくらか?
※治療費は1,00,00U掛かるものとする。
2.
4人パーティーが護衛依頼を行った。道中の討伐にて毛皮を7枚入手した。各自の取り分はいくらか?
※依頼料12,00,00U、買取料総額3,45,00Uとする。
3.
タマゲルの核を幾つ集めれば1回の食費とボロ宿代を捻出出来るか?
※タマゲルの核の買取額1つ50U、ボロ宿1泊(食事無し)5,00U、食費1食10,00Uとする。
4.
剣1本を2銀貨、盾1枚を1銀貨と50銅貨、干し肉を50銅貨分買った。全部でいくら?
問題を書く。答えは僕も知らないので一緒になって解いた。
1.は2パーティー合同なので1ウーラ単位まで計算し、まずは報酬総額16,60,00U。1人当たり1,84,44…4U。治療費1,00,00を9人で負担し11,11…1U。これを引いて1,73,33Uに、余りの4Uから足りない1Uを引いて余り3U。答えは1,73,33Uで余り3U。先に治療費を引いてから計算しても答えは同じであった。
2.は4人なので割り切れる。依頼料3,00,00と買取86,25で3,86,25U。
3.は50Uを15,00U貯まるまで狩るだけ。30回で30個だ。
4.ただの足し算。3銀貨。
多分合ってると思うが、見返して過ごしみんなの回答を待つ。やがて1人が根を上げた。
「出来たー」
両腕を上げて伸びをするロシェルはきっと嘘をついている。まあ出来る所だけやれって言ったので全くの手付かずでも問題は無いが、それだと出来てはいないからな。
どれどれと紙を取り上げ回答を見る。4.だけ合ってた。3.は足りなかったらまた狩りに行く。だって。そりゃあそうなんだが、飯食った後で足りなかったら捕まっちゃうぞ?1.と2.は手付かずだった。
次に諦めたのは商家のジュン。3.と4.は出来てた。2.の途中で諦めていたが、皮7枚に引っ掛かっていたようで、1枚捨てろ!と強い文字で書かれていた。何枚捨てても割り切れるんだよ…。
レイナとマキは同時に諦めた。マキがレイナに合わせた感じだ。2人は2.まで解けていた。が、1.の答えは何方も僕の出した答えとは違った。何故か10人で割って1人1,66,00U。怪我人が2倍取りの3,32,00Uでそこから捻出しろだと。66,00U儲けたな。
「何で怪我人が多くもらえたの?」
「え?怪我は治しましたが装備が壊れているかも知れませんし」
「何となくだけど、間違っているようね」
マキの発言の後にレイナが答える。装備の手入れは全員がする物だし、怪我は無くても装備は壊れているかも知れない訳で、そこは計算に入れちゃダメだと説明した。けど実際には修繕費、治療費を全額抜いてから頭割りするのは間違ってない。しかし合同パーティーでそんな時間は掛けられないとも説明した。
「ギルドのカウンター前でサッとやり取りしないといけない訳ですか」
「考え過ぎたわね」
2人の勘定苦手の原因はソコにあるようだ。逆に頭が良いとも言える。
「問題に書かれてない事は無視して良いよ。もしくは条件が同じだと考えるんだ。講師も言ってたでしょ?」
「成程ね」「ええ、精進しましょう」
頑張ってください。
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