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仲良く、するのか?

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「へー、そっちの弁当は焼肉挟みパンなのねー」

 挟んである具とパンの形しか違わないのに、ロシェルは僕の食べてるヤツを見て、あわよくば反対側から食ってやろうと狙ってる。女子達の挟みパンは切れ目を入れた小さな丸パンに葉っぱが敷かれ、茹で芋を潰して燻製肉や細切れ野菜と和えた物が挟まれてるヤツ、茶色い何かを挟んだヤツ、アカナスと豆を煮たのを挟んだヤツと、3種の味を楽しめる感じになっていた。僕が食べてる方は、箱パンの薄切り2枚の間に薄切りにして焼いた芋と肉、千切りにされた葉っぱが挟まれて、厚さ5cmくらいになってるのが2つ入ってる。女は質、男は量って感じだな。欲張って2つもらって来ちゃったけど、コレなら1つで十分かも知れない。

「ねえねえ、コレ2つも食べられる?アタシが食べたげよっか?」

 言われるとあげたくなくなるが、2枚目の挟みパンを口にして多いと思い始めてたので、仕方無く弁当を差し出した。

「…んく。女子寮は弁当1つしか貰えないの?」

「あぐ、んま。んまんま」

「もらえないですね」「1つで十分ですから」「お弁当をもらえない生徒が出ると虐めに発展しかねません」

 挟みパンに齧り付いてる奴以外の3人が口を揃える。虐めなんてあるのか。それは嫌だな。

「ほれではーユハター」「食べてから話せよ」

 何か言い出したロシェルを止めると、先に食べ終えていた3人が再び口を開いた。

「ユカタ君、さっきの件なんですが」「私達にお勘定を教えて欲しいの」「男の講師、苦手なので…」

「男の生徒は良いの?さっきも言ったけどさ」

「に、苦手では、あるのですが…」

 他の男より小さい僕なら話せるんだって。失礼しちゃうよ。大きい男が苦手なこの子はジュン。商家のお嬢様だそうだ。商売人の娘が勘定出来ないってどう言う事よ。

「ユカタ君にしか頼めないの。お願い」

「他の女生徒に頼むのはダメなの?虐められちゃう?」

 …当たりだそうな。下位で元とは言え貴族の子女が、勘定の1つも出来ないなんてやーねー…って感じ?なんだとさ。やーねー。元下級貴族のお嬢様なレイナは、平民の世界で生きて行かなければならないので必死だ。

「2人共、ココを追い出されたら見知らぬ男の所に嫁がされるの。あなた自身には全く関係無い話でしょうけど、どうか助けて」

 嫁がされないこの子はレイナの従者の娘で一緒に育ったマキ。3人は幼なじみなんだってさ。…じゃあロシェルは?

「アタシ、みんなから浮いてるみたいでさ。ほとんど話した事無い」

「そんな気はしてたよ。折角だから4人仲良くしようね」

「ユカタも入れて5人でね!」

 勘定を教えるのは置いといて、4人は仲良くするようだ。僕の心は後退り、体も出来れば離れたい。

「ユカタ、アンタパーティー決めてないでしょ?どーすんの?」

「パ、パーティーとは」

 元貴族もいるし、友達同士集まって楽しく騒ぐ方のパーティーを想像して、違うと思い直した。確か野外訓練でパーティーを組まなきゃいけなかったんだ。日程表によると月に二度あるそうで、4人は二度経験してる事になる。幼なじみの3人は3人パーティーで、ロシェルは空いてる所にフラフラ入ってたみたい。僕もロシェルと同じ口になるのかと思ったが、体格に恵まれたロシェルと、他の男子よりほんの少しだけ小さめの僕。フラフラして入れるのか不安になった。

「ユカタ君さえ良ければ、ですが」「私達とパーティーを組みましょうよ」「ユカタ君にとっても良い事ですので、どうか一つ…」

「モテモテハーレムパーティーだよ?だめぇ?」

「そう言う事言うからだよ?」

「ごめん。けど、男の子って、好きだよね?」

「好きだけどさ。女の子は好きじゃないでしょ?」

「まあ、それで家を出たので…」「同じく」

「だから男は思ってても我慢するの。だからそう言うので釣らないでよ」

「分かった。ごめんね、みんなも」

 空気が重いよ…。






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