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仕事は、選べ

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 それから講師が来るまでの時間、ロシェルと机を並べて今日の日付等々色々教わった。5日授業で今日補習。明日は休み…覚えた。

 補習授業は金勘定。それ冒険者に必要か?とも思うが報酬をぼったくられたりしないためにも必要らしい。だがギルドにはぼったくられてんだよなぁ。

「では85,00ウーラを7人で分けるとして、1人幾らになるか。ロシェル、答えなさい」

「7人で仕事しない!」

「論外。ではその隣。名前は?」

「僕ユカタ。えっと…銅貨12枚で、1枚余る」

「…まあ、良いだろう。なら余った銅貨はどうする?」

「1,00ウーラ…14ウーラ?に分けられるけど、鉄貨2枚余るし、分かんないや」

「それで良い。合わせて1人12,14と余り2ウーラとなる。今は分けた後の事を考えるのでは無く、分けたら幾らになるのかを考えるだけで良いのだ。なので実際にはロシェルの様に考え無しに仕事を蹴っても構わない。それで食えて行けるならな」

 依頼書に書かれた報酬を見て、1人幾らになるかを判断出来ないと仕事を終えた後で面倒になる…と言う訳だ。

「ではその隣、余った銅貨1枚を前にした7人はどうするか」

 食べ物を買って分けたり、固定パーティーなら貯めといて後で分ける、なんて答えが次々に出て来た。殴って決めると呟いたのは右隣だけで、ここに居る補習者は勘定が出来ないだけなんだな。

「アンタ、勘定得意なんだな!アタシに教えてよ!?」

 補習が終わり、講師が去ると直ぐに椅子を滑らせて寄って来るロシェル。僕は肩を組まれて逃げられず、頭を頬ずりされる。

「教える程頭良くないし、離れてよー」

 次の補習先に向かう生徒達の中で、外には向かわずコチラに近付いて来る者が3人。次は武器取り扱いの補習だから僕も外に出たいんだが。

「あの、私にも…」「「お願い!」」

「何で僕なのさ。講師に教えてもらいなよー」

 お金掛かるんだって。なるほど。

「あの人、男だし、2人きりになったら何されるか…」

「僕男だよ!」

「ユカタなら、おっぱい触らせても良いよ?」

「……クセになるよ?」

 体を密着させるロシェルの言葉に棘を返す。

「上手いから?」

 ダメだ分かってない。正面に居る3人が細かく説明してやると、ロシェルは熱くなって離れた。

「僕まだ補習だから」

 そう言って部屋を出る。次は1階の奥の部屋、だったな。武器取り扱いの補習は刃引きされた武器を使っての整備で、武器取り扱いと言っても防具や野外道具の手入れもあるそうだ。

「野外から帰ったら必ず手入れが必要だ。遠征中に刃を研いだなら、鍛冶屋に行って直してもらえ。プロの手には敵わんからな。だがそれでは金が掛かり過ぎる。そのために少しでも自分の手で何とかするようにするんだ。…お前、刃物の持ち込みは禁止だぞ?」

「え?そうなの?」

 学生証を入れた冊子に書いてあるそうなのだが、読み飛ばしてしまったようだ。干し肉切るのに持って来たんだけど、切ってから持って来い、だって。

「取り敢えずケンカには使うなよ?どれ、見せてみろ」

 ナイフ取り上げられちゃった。鞘から抜いて、刃身を見てる…。

「手入れは良いが、脂はもっとよく拭け。鞘が臭くなるぞ?」

 あ、返してくれた。補習のついでに拭いておこう。武器取り扱いの補習は面倒臭がりの生徒が多いみたいで、どこを見ても適当仕事だった。なので他よりちゃんと仕事をしてる僕の傍に居るのが心地良いみたいで、講師はずっと僕の傍で説明してた。剣と槍も整備しなきゃな…。

 鐘が鳴り、昼を告げると長かった補習が終わる。今日の補習はこれで終わりだ。グチャグチャに集められた整備品を講師と一緒に片付けさせられ、一足遅く教室を出ると女生徒達に捕まった。後ろから持ち上げられて左右に1人と2人。

「何だよもう」

「勘定教えてよー」「お願い、出来ます?」「「お願いしますっ」」

「お腹空いたからお弁当食べようよ…」

僕は脱力し、流れに身を任せた。









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