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セーナ様、何者?
しおりを挟む大通りに出て、セーナの後について行く。彼女は自分でも素材の採集をしてる事もあり、冒険者装備の店にも詳しいと言うのだ。
「あンたがたっぷり働ければ私もその分儲かるんだから。足は使ってなんぼよ」
「頑張って大棚目指しておくれ」
「おばあちゃんと二人じゃ捌き切れないわ。ほら、アソコよ」
杖指す方に冒険者。吊るし看板にはランタンにナイフ。確かにこの店で間違いないだろう。商品を物色している冒険者もそれなりに良い物を着ている。それなりの冒険者が悩んでるって事は少し良い物なのだろうな。
冷やかし客をすり抜けて店内に入ると、外に飾られてる物より少しだけ値が張りそうだったり壊れたら困りそうな物が陳列されていた。僕は迷わず剣の安売りコーナーへ。
「あンた、剣見に来たんじゃ無いでしょ!?」
筒に差し込まれていた剣を戻し、カバンコーナーへ…。
「いらっしゃい。剣の他に、何が要るんだい?」
「剣じゃなくて採集用ナイフとカバンよ。剣も鎧も買っても怪我するだけよ」
「鎧は必要だと思うがね…って、お客さん、セーナの知り合いかい」
「剣と鎧はいずれ必ず。…見るだけでも…」
「ダメよ。時間は有限なの」
セーナの言葉を聞いて、店長はナイフとカバンを持って来た。ナイフは刃渡り10cm、全長20cm程の片刃のナイフで革のシースが付いている。
「砥石も欲しいね」
「用意しよう。小型のが良いよな」
「安いので良いわよ?」
カバンの方はと言うと、ボトムが20cmくらいあって容量がある皮カバン。中を開けると何も無いシンプルな作りで、フラップとフロントの留め具はホネを使ったボタンと紐だ。ストラップの長さは変えられないが、斜掛けして丁度良い長さに思える。
「今持ってる方が沢山入りそうね」
「柔らかいから丸く膨れそうだけど、値段からすれば十分だろうね」
「気に入らなかったかい?」
「布のカバンで同じくらいの容量のはあるかな」
「良いのかい?高く付くぜ?」
「高いならそれで良いじゃない」
そうかな…そうかも。カバンとナイフと砥石で1,85,00ウーラ。1銀貨85銅貨だ。
「やっぱりセーナが買ってやるんだったか」
「うちで働く必要経費よ」
「そうかい、頑張って働きな」
知らぬ間に僕はセーナの店の店員になってしまったようだ。
「ああでも言わないとあンたヒモ扱いよ?」
「ヒモ?」
「働かないで女に養ってもらう男の事よ」
「それはヤダな」
店を出て、話をしながら向かうのは銀座。カードを手に入れてから財布を買った方が良いのだと言う。
「これはセーナ様。本日はどの様なご用向きで?」
「うちの従業員にカードを作って欲しいのよ。給与の振込用にね」
「畏まりました。ではお二方、此方へどうぞ」
銀座の店員が凄く丁寧で緊張する。特にセーナに対しての扱いが他の客とは違う気がする。少なくとも、僕が1人で来たら門前払いされかねないと感じた。
「何よ緊張して。さっさとクチャクチャの身分証を出しなさい」
「う、うん」
「代筆致しますね」
「う、うん」
文字くらい書けるけど、断れなかった。僕の名前が正しく書かれているのを確認し、ビカッと光る箱から取り出されたカードに血を垂らして僕しか使えない銀座カードが完成した。
「お振込みはなさいますか?」
「ええ。会員証からお願い」
セーナは職員の出した振込用紙にサラサラと金額を書き込み会員証を出すと、ビカッと光る箱に入れてビカッとして返された。これで銀座カードにお金が振り込まれたらしい。
「何で先にカードを作ったか分かる?」
「何でだろ…」
身分証とカードを見比べる…。クチャクチャで、端の欠けた紙は硬い銀座カードより少し小さくなっていた。
「成程…」
「分かったようね。さあ、次はお財布よ」
財布は雑貨屋で20,00ウーラだった。カードが入るかを確認してから買う。先にカードを作って正解だった。
「はいこれ。入れなさい」
銅貨3枚くれた。
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