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序の段 納屋御寮人の遭難 暴虐(一)
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家中では、「ご名代」でとおる。
齢七十を過ぎた現在の蝦夷代官、老当主・季広の嗣子。
対岸の津軽浪岡に「御所」をかまえていた名族北畠氏の猶子(養子に次ぐ扱い)から近年離れて蠣崎家に正式に戻り、いまや名実ともに老父の役職を代行している。
季弘の三男で、たしか十四郎愛広とは十六、七も違うはずだ。三十代なかばの武将であり、最近も武勇と計略の才をみせて、主家での評判も高い。
あやめが思わず湯船に隠れるように身をすくめてしまったのは、本能的なものであった。
だが、このとき、すぐに湯船から飛び出していれば……と、何度後悔しても足りなかった。
小風呂は行き止まりの部屋であるが、せめて蒸風呂か、できることなら前室まで逃げてしまえば、あれほどやすやすと男に抱きすくめられることはなかったのではないか、と。
「湯の加減はいかがか。」
新三郎慶広は前を隠すでもなく、いつもの(あやめには、わざとらしく、作ったかのように思えてならぬ)闊達な調子である。無言のまま下を向いてしまったあやめに、これも普段通り丁寧な口調で呼び掛けた。
近寄り、カイゲをとって、自分の固い筋肉の張った、武芸で鍛えた体躯を湯で濡らす。背の高さは十四郎ほどではないが、身体の分厚さでははるかに勝るであろう。だから、実際よりも巨躯にみえた。
はっと気づいてあやめは飛び上がるように湯船から出ようとした。
(まさか、そんな馬鹿なはずはないが、……)
浴衣のない真裸のまま男女が混浴するのも万が一こちらの風だとしても、代官たる武家、さらにこの家の主人に自分が一礼もないのはおかしい。
また、湯船に入るのは代わらなければならないというものだろう。
「ご無礼をいたしました。」
とことさらに声を張り上げ、恥を忍んで全裸をさらそうと決意したところを、
「まあ、よいではござらぬか。」
後ろから裸の肩を軽く抑えられた。
(まさか?)
であった。新三郎はそのまま、湯船の中に足を入れ、全身を湯船の板とあやめの間に滑り込ませたのだ。湯がはげしく溢れた。太い腕が、あやめの肩にかかって、無防備な前にまわった。
もしっ、と呼びかけようとした侍女は、すでに姿を消していた。
そのとき後ろから強く抱きすくめられ、あやめは硬直した。
新三郎は無言で、しかし鼻息をやや荒くして、女の躰を締め付ける作業をすすめた。
「ご名代様? お戯れは、そこまでに。」
ことさらに平静を取り繕い、あやめは悪ふざけをたしなめる調子でいった。
新三郎はそれに答えず、湯の中でもがくあやめの胸の隆起を強く握った。
(痛い。)
そのまま、男の手は胸を揉み続けた。荒い息が首筋にかかったかと思うと、生暖かいものが首筋に押しつけられた。男の唇だ。あやめの全身に鋭く怖気が走った。
あやめは、蠣崎新三郎慶広の太い腕にがっちりと抑え込まれ、固い腿の上に小さな尻を載せられる形になっていた。背中がぴったりと新三郎の胸板につけられ、ちょうど、小さな子どもが大人に甘えるような姿にもみえたが、もちろんあやめは懸命に抗い、立ち上がろうとしきりに湯をはねた。
だが、新三郎の筋肉の張り切った毛深い脚は、あやめの白く伸びた脛を抑え込んで放さない。
男の左手は女の細い頸越しに回され、腕を固く締めている。右は胸乳をおさえこみ、掌だけが熱心に動いていた。大男の掌にちょうどおさまる胸の隆起をしきりに揉む。乳首を指でつまみ、捏ねた。
「おやめください。」
あやめは小さく、しかし鋭い声をあげた。
「大声を出しまするぞ。ひとを呼びまする。」
新三郎は、さきほどから崩さぬ、いかにも余裕ありげな笑みを深めるだけであった。
「出してみよ。」
ここは何処だと思っている、というのである。あやめは唇を噛む思いだ。最初の動転から醒めて、いま自分が犯されようとしていることをはっきりと認識すると、絶叫したいほどの恐怖に襲われる。
だが、声を出したとて、ここは蠣崎家の本拠である松前大舘の居館であった。
小高い丘を占める、小さな城といっていい大舘の居館部の、それも離れ屋として奥まった場所に、あやめはひとりである。この湯殿の前室の隣で釜が湯を沸かす音だけしか聞こえず、ひと気もない。
あやめは商人ながら日ごろ賓客扱いされていたとはいえ、大舘の若い主に逆らって、女ひとりを助けようという者がいるはずもなかった。
そして大抵の者は既に―新三郎が裸で風呂場にずかずかと乗りこんでくるや、顔色を変え、そして無言で逃げてしまったさきほどの侍女のように―、陽にも暗にも言い含められていたのだろう。(それに気づくと、はげしい羞恥と屈辱感にあやめは打たれた。)
万が一誰かが叫び声を聞いて、知らずいったんは近寄ったとしても、この様子をみれば黙って引き下がるだけに違いない。たとえお方様と呼ばれるこの男の妻君が来たところで、きっとそうなるのだ。
あやめが一人だけ従えてきた小者がどこかで待っているはずだが、もしも女主人のただならぬ声が遠くに届いて駆けつけてこようものならば、きっと、あれすらもただではすまぬ。
それは、すでに襲われているあやめ本人も同じことであった。
抵抗したり逃げたりすれば、この男の力が暴発するかもしれない。それも恐ろしかった。たとえ身に寸鉄も帯びずとも、新三郎は簡単にあやめを縊り殺すこともできよう。
(油断した。どうして、あのコハルを連れてこなかったものか。)
コハル、というのはあやめの最も頼る、店の者であった。ただものではないから、ここでも何とかできるはずだった。
(コハルの手の者がこの大舘には潜っているのではなかったのか。あれらの者が気づかぬのか?)
(あっ、やめろ、やめろ、やめぬかっ。痛いっ。)
「御寮人。」
新三郎は手を止めて、あやめに呼びかけるかのような静かな声を出した。
あやめが落ち着くのを待つかのようだ。
あやめは、むろん、それどころではない。新三郎の様子など気づかず、身を揉んで逃れようとすると、からだが動く。はっとして、そのまま新三郎の腕を振りほどこうとした。逃げ出さなければならない。
「……」
新三郎は無言で女をまた抑えつける。所作はまた、ひどく荒々しくなった。あやめが抵抗をやめないので、まだ余裕をもって女を御する態ではない。あやめはまた締め付けてくる痛みに顔をしかめた。
「やめ」声が途切れた。新三郎は後ろ抱きにしたあやめの頭を、そのまま急に湯に沈めたのだ。愕然としてあやめは湯の中でもがく。湯を飲み、この状態で溺れる。男はもがき続けるあやめを渾身の力で抑え込んで、沈めたままでいる。
(殺される?……溺れ死ぬ?)
恐怖に水中で目を見開いた。ようやく、頭を上げて貰える。水を吐き、荒い息をついたが。苦しさは去らない。そこをすぐに、また沈められた。湯の中であやめは悲鳴を漏らした。動転し、また水を飲んでしまう。引き上げられる。また沈められた。
三度目に湯からあげられたとき、あやめはものもいえない。酸素を奪われたのと、むき出しの暴力への本能的な怯えで、すでに消耗しきっている。
「手荒をした。……せっかくの白粉がもう流れてしもうた。」
新三郎は何かすまなさげにいったが、空気を求めて喘ぎ続けるあやめは、その声もまだ耳に入らない。殺されはしなかった、という安堵感に襲われる。すっかり抵抗を忘れてしまった。
「……しかし、御寮人は化粧などされずとも、見目麗しい。」
(……何をいいおる、この男。)
と、あやめがかっとしたとき、腕と胴を締めあげていた男の手がふと解けたかと思うと、あやめの頤に伸びた。力を入れて頸を向けさせ、唇をあわせ、乱暴に吸う。
「……!」
あやめは愕然とした。頭が片手でかかえられ、唇は離れない。小さな前歯の並びを割って、口中に太い舌が入り、驚くような速さで動き、舌に絡み、口の隅々を蹂躙した。
息ができず、もがくが、男は執拗に口腔を舌で犯しつづけ、さらに掌を器用に動かして柔らかい丘を撫でさすり、それを両方の胸で繰り返して、思うままに弄んだ。
(なんということを……!)
あやめはもがきながら頭のなかで叫ぶ。眼前に太い眉の髭面があるが、すでに男は瞼を閉じ、あやめの唇と舌を味わう様子だ。
驚きが去り、あらためて激しい怒りが湧いたが、体格と体力の差は圧倒的であった。力任せに締めつけられるのをもう止んでいたが、それなのに女はほとんど抵抗もできなくなっていた。
いっそこの気味の悪い舌を噛み切ってやろうか、とあやめは反射的に思ったが、男の片手が突然、股を後ろから割ったとき、驚きのあまり、それも忘れた。
すでに蝦夷島南部の半島沿岸部の若い支配者は、昂奮のなかにも余裕をとりもどしている。これはあの「納屋の御寮人」あやめであるが、同時に、もはや我が手の中にある女体にすぎぬ。齢のわりに房事にまだ長けていない風の女を十分に味わい、痴れ狂わせてやるのに、もはや何の気後れもない。
あやめは痛みにのけぞり、声にならぬ声を漏らした。背後から責める男のたくましい肩に、自然にうしろ頭を預けるような形になる。
目を固くつぶり、上気した顔を、新三郎はすぐ眼の下の間近に見た。
(これも、女に違いないわ)
再び興奮が高まり、そのなかで、蠣崎新三郎慶広は思い出していた。
齢七十を過ぎた現在の蝦夷代官、老当主・季広の嗣子。
対岸の津軽浪岡に「御所」をかまえていた名族北畠氏の猶子(養子に次ぐ扱い)から近年離れて蠣崎家に正式に戻り、いまや名実ともに老父の役職を代行している。
季弘の三男で、たしか十四郎愛広とは十六、七も違うはずだ。三十代なかばの武将であり、最近も武勇と計略の才をみせて、主家での評判も高い。
あやめが思わず湯船に隠れるように身をすくめてしまったのは、本能的なものであった。
だが、このとき、すぐに湯船から飛び出していれば……と、何度後悔しても足りなかった。
小風呂は行き止まりの部屋であるが、せめて蒸風呂か、できることなら前室まで逃げてしまえば、あれほどやすやすと男に抱きすくめられることはなかったのではないか、と。
「湯の加減はいかがか。」
新三郎慶広は前を隠すでもなく、いつもの(あやめには、わざとらしく、作ったかのように思えてならぬ)闊達な調子である。無言のまま下を向いてしまったあやめに、これも普段通り丁寧な口調で呼び掛けた。
近寄り、カイゲをとって、自分の固い筋肉の張った、武芸で鍛えた体躯を湯で濡らす。背の高さは十四郎ほどではないが、身体の分厚さでははるかに勝るであろう。だから、実際よりも巨躯にみえた。
はっと気づいてあやめは飛び上がるように湯船から出ようとした。
(まさか、そんな馬鹿なはずはないが、……)
浴衣のない真裸のまま男女が混浴するのも万が一こちらの風だとしても、代官たる武家、さらにこの家の主人に自分が一礼もないのはおかしい。
また、湯船に入るのは代わらなければならないというものだろう。
「ご無礼をいたしました。」
とことさらに声を張り上げ、恥を忍んで全裸をさらそうと決意したところを、
「まあ、よいではござらぬか。」
後ろから裸の肩を軽く抑えられた。
(まさか?)
であった。新三郎はそのまま、湯船の中に足を入れ、全身を湯船の板とあやめの間に滑り込ませたのだ。湯がはげしく溢れた。太い腕が、あやめの肩にかかって、無防備な前にまわった。
もしっ、と呼びかけようとした侍女は、すでに姿を消していた。
そのとき後ろから強く抱きすくめられ、あやめは硬直した。
新三郎は無言で、しかし鼻息をやや荒くして、女の躰を締め付ける作業をすすめた。
「ご名代様? お戯れは、そこまでに。」
ことさらに平静を取り繕い、あやめは悪ふざけをたしなめる調子でいった。
新三郎はそれに答えず、湯の中でもがくあやめの胸の隆起を強く握った。
(痛い。)
そのまま、男の手は胸を揉み続けた。荒い息が首筋にかかったかと思うと、生暖かいものが首筋に押しつけられた。男の唇だ。あやめの全身に鋭く怖気が走った。
あやめは、蠣崎新三郎慶広の太い腕にがっちりと抑え込まれ、固い腿の上に小さな尻を載せられる形になっていた。背中がぴったりと新三郎の胸板につけられ、ちょうど、小さな子どもが大人に甘えるような姿にもみえたが、もちろんあやめは懸命に抗い、立ち上がろうとしきりに湯をはねた。
だが、新三郎の筋肉の張り切った毛深い脚は、あやめの白く伸びた脛を抑え込んで放さない。
男の左手は女の細い頸越しに回され、腕を固く締めている。右は胸乳をおさえこみ、掌だけが熱心に動いていた。大男の掌にちょうどおさまる胸の隆起をしきりに揉む。乳首を指でつまみ、捏ねた。
「おやめください。」
あやめは小さく、しかし鋭い声をあげた。
「大声を出しまするぞ。ひとを呼びまする。」
新三郎は、さきほどから崩さぬ、いかにも余裕ありげな笑みを深めるだけであった。
「出してみよ。」
ここは何処だと思っている、というのである。あやめは唇を噛む思いだ。最初の動転から醒めて、いま自分が犯されようとしていることをはっきりと認識すると、絶叫したいほどの恐怖に襲われる。
だが、声を出したとて、ここは蠣崎家の本拠である松前大舘の居館であった。
小高い丘を占める、小さな城といっていい大舘の居館部の、それも離れ屋として奥まった場所に、あやめはひとりである。この湯殿の前室の隣で釜が湯を沸かす音だけしか聞こえず、ひと気もない。
あやめは商人ながら日ごろ賓客扱いされていたとはいえ、大舘の若い主に逆らって、女ひとりを助けようという者がいるはずもなかった。
そして大抵の者は既に―新三郎が裸で風呂場にずかずかと乗りこんでくるや、顔色を変え、そして無言で逃げてしまったさきほどの侍女のように―、陽にも暗にも言い含められていたのだろう。(それに気づくと、はげしい羞恥と屈辱感にあやめは打たれた。)
万が一誰かが叫び声を聞いて、知らずいったんは近寄ったとしても、この様子をみれば黙って引き下がるだけに違いない。たとえお方様と呼ばれるこの男の妻君が来たところで、きっとそうなるのだ。
あやめが一人だけ従えてきた小者がどこかで待っているはずだが、もしも女主人のただならぬ声が遠くに届いて駆けつけてこようものならば、きっと、あれすらもただではすまぬ。
それは、すでに襲われているあやめ本人も同じことであった。
抵抗したり逃げたりすれば、この男の力が暴発するかもしれない。それも恐ろしかった。たとえ身に寸鉄も帯びずとも、新三郎は簡単にあやめを縊り殺すこともできよう。
(油断した。どうして、あのコハルを連れてこなかったものか。)
コハル、というのはあやめの最も頼る、店の者であった。ただものではないから、ここでも何とかできるはずだった。
(コハルの手の者がこの大舘には潜っているのではなかったのか。あれらの者が気づかぬのか?)
(あっ、やめろ、やめろ、やめぬかっ。痛いっ。)
「御寮人。」
新三郎は手を止めて、あやめに呼びかけるかのような静かな声を出した。
あやめが落ち着くのを待つかのようだ。
あやめは、むろん、それどころではない。新三郎の様子など気づかず、身を揉んで逃れようとすると、からだが動く。はっとして、そのまま新三郎の腕を振りほどこうとした。逃げ出さなければならない。
「……」
新三郎は無言で女をまた抑えつける。所作はまた、ひどく荒々しくなった。あやめが抵抗をやめないので、まだ余裕をもって女を御する態ではない。あやめはまた締め付けてくる痛みに顔をしかめた。
「やめ」声が途切れた。新三郎は後ろ抱きにしたあやめの頭を、そのまま急に湯に沈めたのだ。愕然としてあやめは湯の中でもがく。湯を飲み、この状態で溺れる。男はもがき続けるあやめを渾身の力で抑え込んで、沈めたままでいる。
(殺される?……溺れ死ぬ?)
恐怖に水中で目を見開いた。ようやく、頭を上げて貰える。水を吐き、荒い息をついたが。苦しさは去らない。そこをすぐに、また沈められた。湯の中であやめは悲鳴を漏らした。動転し、また水を飲んでしまう。引き上げられる。また沈められた。
三度目に湯からあげられたとき、あやめはものもいえない。酸素を奪われたのと、むき出しの暴力への本能的な怯えで、すでに消耗しきっている。
「手荒をした。……せっかくの白粉がもう流れてしもうた。」
新三郎は何かすまなさげにいったが、空気を求めて喘ぎ続けるあやめは、その声もまだ耳に入らない。殺されはしなかった、という安堵感に襲われる。すっかり抵抗を忘れてしまった。
「……しかし、御寮人は化粧などされずとも、見目麗しい。」
(……何をいいおる、この男。)
と、あやめがかっとしたとき、腕と胴を締めあげていた男の手がふと解けたかと思うと、あやめの頤に伸びた。力を入れて頸を向けさせ、唇をあわせ、乱暴に吸う。
「……!」
あやめは愕然とした。頭が片手でかかえられ、唇は離れない。小さな前歯の並びを割って、口中に太い舌が入り、驚くような速さで動き、舌に絡み、口の隅々を蹂躙した。
息ができず、もがくが、男は執拗に口腔を舌で犯しつづけ、さらに掌を器用に動かして柔らかい丘を撫でさすり、それを両方の胸で繰り返して、思うままに弄んだ。
(なんということを……!)
あやめはもがきながら頭のなかで叫ぶ。眼前に太い眉の髭面があるが、すでに男は瞼を閉じ、あやめの唇と舌を味わう様子だ。
驚きが去り、あらためて激しい怒りが湧いたが、体格と体力の差は圧倒的であった。力任せに締めつけられるのをもう止んでいたが、それなのに女はほとんど抵抗もできなくなっていた。
いっそこの気味の悪い舌を噛み切ってやろうか、とあやめは反射的に思ったが、男の片手が突然、股を後ろから割ったとき、驚きのあまり、それも忘れた。
すでに蝦夷島南部の半島沿岸部の若い支配者は、昂奮のなかにも余裕をとりもどしている。これはあの「納屋の御寮人」あやめであるが、同時に、もはや我が手の中にある女体にすぎぬ。齢のわりに房事にまだ長けていない風の女を十分に味わい、痴れ狂わせてやるのに、もはや何の気後れもない。
あやめは痛みにのけぞり、声にならぬ声を漏らした。背後から責める男のたくましい肩に、自然にうしろ頭を預けるような形になる。
目を固くつぶり、上気した顔を、新三郎はすぐ眼の下の間近に見た。
(これも、女に違いないわ)
再び興奮が高まり、そのなかで、蠣崎新三郎慶広は思い出していた。
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