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19.ハイテクな身分証
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「ふむ、新規登録ですか……」
新規登録者受付カウンターに座っていたのは、50代半ばくらいの男性ギルド職員だ。
老眼が始まっているのかカウンターに置いてあった老眼鏡をかけ、棚から一枚の書類を引き出した。
準備が整うとニコリともせずに俺とジルタの顔をチラリと見て何かを書類に書き込むギルド職員。
今俺達は試されているのだ、社会性を。
俺なんかは正直サバゲーマニアで社会不適合者で銃の作り方を熟知した犯罪者予備軍だが、見た目でそれが分かるとは思いたくない。
ジルタは獣人だが、それはきっと査定には関係ないはずだ。
それが関係あるのならば冒険者ギルドなんてこちらから願い下げだ。
ニポンジンの人権侵害へのうるささを舐めるなよ。
弁護団を組織して断固裁判だ。
「いいでしょう、お2人とも登録を認めます。頑張って魔獣を狩ってくださいね」
「え、あ、はい」
「ありがとうございます」
10秒ほど睨み合いをしていたのだが、なぜかあっさりと冒険者ギルドへの登録が認められた。
まさかこいつ、鑑定したんじゃなかろうな。
いくら面接官であっても勝手に鑑定したらプライバシー侵害だぞ。
「ああ、鑑定したわけではないのでお気を悪くしないでいただきたい」
「ではなぜ、自分たちを登録させても良いと思ったのでしょうか」
「雰囲気ですかね。そもそも冒険者への登録の審査はそこまで厳しいわけではありません。明らかにアウトローな雰囲気の方を振るい落とすだけのものです。ちゃんとしていれば誰であろうと受かりますよ。それこそ、獣人さんでもね」
ギルド職員はジルタの耳を見てそう話す。
その顔に嫌悪や侮蔑の色は無い。
珍しいことに、このギルド職員は獣人への隔意を持っていないらしい。
他の冒険者やギルド職員も、ジルタの獣耳が目に入っているだろうに顔を顰めるということもなく無反応だ。
ギルドの中はまるで別の国のようだ。
しかし冒険者ギルドの登録審査は会社の面接みたいに狭き門ってわけじゃあないんだな。
たしかに考えてみれば冒険者ギルドは別に給料を払うわけでもない。
ただ冒険者の管理責任の一端を任されているというだけだ。
どうせ素行の悪い者は魔獣をたくさん狩って魔力値が高くなる前に規約違反で冒険者ギルドを除名される。
登録を狭き門にする必要もないか。
「ではこちらの欄にお名前と魔力値を自己申告で、こちらには明かしても構わないスキルを記入してください」
「明かしてもいいスキルっていうのはなんのために書くのでしょうか」
「一緒に冒険者をやるための仲間を募集するときのアピールポイントなどに役立ちます」
「わかりました」
ジルタは一緒に冒険者登録をしにきてはいるが仲間というわけではない。
俺はこれから先もいけるところまでソロでいくつもりだ。
少し孤高を気取っている部分もあるが、一番の理由は銃や分身などの見られたくないものが多いからだろうか。
ジルタには鑑定でステータスを見てしまった引け目があって固有スキルを明かしてしまっているが、銃を作っているところは見せていない。
多少ジルタに情が湧いているのは確かだが、俺が身体強化スキルを習得してジルタの対人戦闘術が様になったら契約関係は終了だ。
ジルタには後ろ暗い目標があるようだし、そこから先の付き合い方はまた考える。
というわけで俺はソロなので明かすスキル欄はなしでいいな。
「書けました」
「僕も」
「はい、ありがとうございます。では登録作業に入らせていただきますが、登録料として銅貨5枚必要になりますが大丈夫でしょうか」
登録するのに金がいるのか。
狩人ギルドはそんなの無かったけどな。
その代わり身分証はぺらっぺらの木片だが。
身分証が立派なものになるのであれば払ってもいい額だな。
ジルタにも俺の雑用の手間賃としてそのくらいは払えるだけの金を渡している。
俺とジルタはほぼ同時に銅貨5枚をギルド職員に渡す。
「はい確かに。それでは登録作業を行なって参りますので少々お待ちください」
それだけ言うとギルド職員はバックヤードに下がってなにかしらの作業を始めた。
狩人ギルドは木片に魔道具で焼印みらいなのをジュッと入れてお終いだったけどな。
これは身分証のクオリティは期待できそうだ。
「大変お待たせいたしました。こちらがお2人の身分証でございます」
10分ほどで戻ってきたギルド職員の手には、2つの指輪が握られていた。
冒険者ギルドの身分証って指輪なのか。
洒落てるな。
何度も言うが狩人ギルドは(以下略)。
「本人登録のために血液を一滴ずつ頂いてもよろしいでしょうか」
「血液で本人登録ができるんですか?」
「ええ、正確には血液に含まれる魔力の波動やらなんやらでやっているらしいのですが私は専門家ではないものですから大変申し訳ありませんが詳しくはご説明できません」
「いえ、すごいってことはわかりましたから」
本気ですごい。
あちらの世界でも血液で本人確認しようと思ったらDNA型で判別できるのだろうが、それはかなり最近の技術だ。
こんなあちこち中世だか近世だかの世界にこれほどハイテクな本人認証システムがあるとはな。
本当に偏った進歩を遂げた世界だ。
「それではこちらの針を火で炙ってお使いください」
「わかりました」
痛いのは嫌いだが、この程度の痛みは腹を化け物鹿の角で穴だらけにされる痛みに比べたら屁でもない。
俺はさっと指の腹に針を刺し、血を絞り出した。
ギルド職員の持つ透明の皿みたいな入れ物にポタリと垂らす。
ジルタのほうもあまり楽しくない理由から痛みには慣れているようで、躊躇することなく指に針を刺して血を絞り出している。
「はい、ありがとうございます。十分でございます。本人登録が完了いたしました。どうぞ身分証をお受け取りください」
「ありがとうございます」
「ます」
ジルタは懲りもせずお礼を省略する。
お前いつかそれが原因で面接落ちても知らないぞ。
まあこの世界の採用方法に面接なんてものがあるのかも知らないけどな。
「そちらの指輪、魔道具になっておりまして。読み取りのための魔道具に乗せると情報が読み取れるようになっております。大変高度な技術が使われておりますので、銅貨5枚で発行できるのは初回のみです。次回紛失などによって再発行される場合は銀貨2枚いただくことになりますので、失くさないように気をつけてください」
「わかりました」
「気をつけます」
銀貨2枚と聞いてジルタは顔を青くする。
銀貨2枚といえば2万円くらいだ。
それだけハイテクなものなら再発行が2万円というのは俺にしてみたらそれほど高くないと思うのだが、ジルタの懐状況からしたら一度たりとも身分証を失くすことはできないだろう。
俺も失くしたらなんとなくショックだから皮ひもかチェーンで首から提げておいたほうが安心かもな。
俺は指輪を付け慣れていないから常に指にはめているのはちょっと違和感があるし。
「指輪は別にずっと付けていなければならないわけじゃあないんですよね」
「ええ、外壁門やギルドで本人確認の際提示していただければ結構です。ですが身分証の材質は冒険者ランクという当ギルド内での実力を現すパラメータのようなものに即した材質でできておりますので、ひと目見ただけでその人の冒険者ランクを知ることができるようになっております。見える場所に付けておくと同ランクくらいの仲間が集まりやすいですよ」
「へぇ、そうなんですね」
まあ仲間はいいから。
首からかけて服の中だな。
新規登録者受付カウンターに座っていたのは、50代半ばくらいの男性ギルド職員だ。
老眼が始まっているのかカウンターに置いてあった老眼鏡をかけ、棚から一枚の書類を引き出した。
準備が整うとニコリともせずに俺とジルタの顔をチラリと見て何かを書類に書き込むギルド職員。
今俺達は試されているのだ、社会性を。
俺なんかは正直サバゲーマニアで社会不適合者で銃の作り方を熟知した犯罪者予備軍だが、見た目でそれが分かるとは思いたくない。
ジルタは獣人だが、それはきっと査定には関係ないはずだ。
それが関係あるのならば冒険者ギルドなんてこちらから願い下げだ。
ニポンジンの人権侵害へのうるささを舐めるなよ。
弁護団を組織して断固裁判だ。
「いいでしょう、お2人とも登録を認めます。頑張って魔獣を狩ってくださいね」
「え、あ、はい」
「ありがとうございます」
10秒ほど睨み合いをしていたのだが、なぜかあっさりと冒険者ギルドへの登録が認められた。
まさかこいつ、鑑定したんじゃなかろうな。
いくら面接官であっても勝手に鑑定したらプライバシー侵害だぞ。
「ああ、鑑定したわけではないのでお気を悪くしないでいただきたい」
「ではなぜ、自分たちを登録させても良いと思ったのでしょうか」
「雰囲気ですかね。そもそも冒険者への登録の審査はそこまで厳しいわけではありません。明らかにアウトローな雰囲気の方を振るい落とすだけのものです。ちゃんとしていれば誰であろうと受かりますよ。それこそ、獣人さんでもね」
ギルド職員はジルタの耳を見てそう話す。
その顔に嫌悪や侮蔑の色は無い。
珍しいことに、このギルド職員は獣人への隔意を持っていないらしい。
他の冒険者やギルド職員も、ジルタの獣耳が目に入っているだろうに顔を顰めるということもなく無反応だ。
ギルドの中はまるで別の国のようだ。
しかし冒険者ギルドの登録審査は会社の面接みたいに狭き門ってわけじゃあないんだな。
たしかに考えてみれば冒険者ギルドは別に給料を払うわけでもない。
ただ冒険者の管理責任の一端を任されているというだけだ。
どうせ素行の悪い者は魔獣をたくさん狩って魔力値が高くなる前に規約違反で冒険者ギルドを除名される。
登録を狭き門にする必要もないか。
「ではこちらの欄にお名前と魔力値を自己申告で、こちらには明かしても構わないスキルを記入してください」
「明かしてもいいスキルっていうのはなんのために書くのでしょうか」
「一緒に冒険者をやるための仲間を募集するときのアピールポイントなどに役立ちます」
「わかりました」
ジルタは一緒に冒険者登録をしにきてはいるが仲間というわけではない。
俺はこれから先もいけるところまでソロでいくつもりだ。
少し孤高を気取っている部分もあるが、一番の理由は銃や分身などの見られたくないものが多いからだろうか。
ジルタには鑑定でステータスを見てしまった引け目があって固有スキルを明かしてしまっているが、銃を作っているところは見せていない。
多少ジルタに情が湧いているのは確かだが、俺が身体強化スキルを習得してジルタの対人戦闘術が様になったら契約関係は終了だ。
ジルタには後ろ暗い目標があるようだし、そこから先の付き合い方はまた考える。
というわけで俺はソロなので明かすスキル欄はなしでいいな。
「書けました」
「僕も」
「はい、ありがとうございます。では登録作業に入らせていただきますが、登録料として銅貨5枚必要になりますが大丈夫でしょうか」
登録するのに金がいるのか。
狩人ギルドはそんなの無かったけどな。
その代わり身分証はぺらっぺらの木片だが。
身分証が立派なものになるのであれば払ってもいい額だな。
ジルタにも俺の雑用の手間賃としてそのくらいは払えるだけの金を渡している。
俺とジルタはほぼ同時に銅貨5枚をギルド職員に渡す。
「はい確かに。それでは登録作業を行なって参りますので少々お待ちください」
それだけ言うとギルド職員はバックヤードに下がってなにかしらの作業を始めた。
狩人ギルドは木片に魔道具で焼印みらいなのをジュッと入れてお終いだったけどな。
これは身分証のクオリティは期待できそうだ。
「大変お待たせいたしました。こちらがお2人の身分証でございます」
10分ほどで戻ってきたギルド職員の手には、2つの指輪が握られていた。
冒険者ギルドの身分証って指輪なのか。
洒落てるな。
何度も言うが狩人ギルドは(以下略)。
「本人登録のために血液を一滴ずつ頂いてもよろしいでしょうか」
「血液で本人登録ができるんですか?」
「ええ、正確には血液に含まれる魔力の波動やらなんやらでやっているらしいのですが私は専門家ではないものですから大変申し訳ありませんが詳しくはご説明できません」
「いえ、すごいってことはわかりましたから」
本気ですごい。
あちらの世界でも血液で本人確認しようと思ったらDNA型で判別できるのだろうが、それはかなり最近の技術だ。
こんなあちこち中世だか近世だかの世界にこれほどハイテクな本人認証システムがあるとはな。
本当に偏った進歩を遂げた世界だ。
「それではこちらの針を火で炙ってお使いください」
「わかりました」
痛いのは嫌いだが、この程度の痛みは腹を化け物鹿の角で穴だらけにされる痛みに比べたら屁でもない。
俺はさっと指の腹に針を刺し、血を絞り出した。
ギルド職員の持つ透明の皿みたいな入れ物にポタリと垂らす。
ジルタのほうもあまり楽しくない理由から痛みには慣れているようで、躊躇することなく指に針を刺して血を絞り出している。
「はい、ありがとうございます。十分でございます。本人登録が完了いたしました。どうぞ身分証をお受け取りください」
「ありがとうございます」
「ます」
ジルタは懲りもせずお礼を省略する。
お前いつかそれが原因で面接落ちても知らないぞ。
まあこの世界の採用方法に面接なんてものがあるのかも知らないけどな。
「そちらの指輪、魔道具になっておりまして。読み取りのための魔道具に乗せると情報が読み取れるようになっております。大変高度な技術が使われておりますので、銅貨5枚で発行できるのは初回のみです。次回紛失などによって再発行される場合は銀貨2枚いただくことになりますので、失くさないように気をつけてください」
「わかりました」
「気をつけます」
銀貨2枚と聞いてジルタは顔を青くする。
銀貨2枚といえば2万円くらいだ。
それだけハイテクなものなら再発行が2万円というのは俺にしてみたらそれほど高くないと思うのだが、ジルタの懐状況からしたら一度たりとも身分証を失くすことはできないだろう。
俺も失くしたらなんとなくショックだから皮ひもかチェーンで首から提げておいたほうが安心かもな。
俺は指輪を付け慣れていないから常に指にはめているのはちょっと違和感があるし。
「指輪は別にずっと付けていなければならないわけじゃあないんですよね」
「ええ、外壁門やギルドで本人確認の際提示していただければ結構です。ですが身分証の材質は冒険者ランクという当ギルド内での実力を現すパラメータのようなものに即した材質でできておりますので、ひと目見ただけでその人の冒険者ランクを知ることができるようになっております。見える場所に付けておくと同ランクくらいの仲間が集まりやすいですよ」
「へぇ、そうなんですね」
まあ仲間はいいから。
首からかけて服の中だな。
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